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10禁治産

 

     禁治産とは:イスラーム法上の理由により、ある者が財産の管理や処理をすることを禁じることです。

 

     禁治産法が定められたことに潜む英知:

アッラーは財産の保護を命じられました。そしてその手段の1つとして、以下のような者に財産を管理したり処理したりする権利を禁じられました:

       精神的に健常でない者など財産の管理・処理に適切でない者。

       年少者など財産の管理や処理を任せればその損失の恐れがある者。

       知的発達障害者などその浪費の恐れがある者。

       多重債務などにより破産し、その結果財産の管理を任せれば他人の権利を侵害してしまうような者。

こうしてアッラーは、このような者たちの財産を保護するために禁治産法を定められたのです。

 

     禁治産の種類:

 禁治産には2種類あります:

1-他人の権利を保護するための禁治産:債権者の権利の保護ゆえ、破産者に禁治産法を適用する場合などがこれにあたります。

2本人の権利を保護するための禁治産:年少者や知的発達障害者、精神的に健常でない者などが自身の財産に対する権利を保護するために禁治産法を適用する場合などがこれに当たります。

 

     破産者の法的位置づけ:

破産者とは:自らの財産よりも債務の方が多い者のことです。裁判官[1]は債権者の全て、あるいは一部の要請を受けて破産者に禁治産宣告をし、破産者に対し債権者らの権利を害するような行為を禁じます。そしてもし禁治産宣告がされていなくても、破産者は財産に関する管理・処理権を自動的に失うことになります。

 

     破産者に関して:

1-その財産が債務と同じであるか、あるいはそれ以上の者に関しては、禁治産法は適用されません。そのような者には債務の返済が要求されますが、もしそれを拒み、かつ債権者がそう要請するのであれば、彼は拘束されます。そしてそれでも返済を拒否し続け、(債務返済のために)自分の財産を処分しようとしないのであれば、裁判官がそれを売却して債権者に返済します。

2-その財産よりも抱える債務の方が多い者は破産者であり、禁治産宣告がなされ、かつ人々が損害を被らないようそれを告知しなければなりません。尚禁治産宣告は債権者の全て、あるいは一部の要請によってなされます。

3-破産者に禁治産宣告がなされたら、彼自身から債務の返済を要請することはなくなります。そして彼は財産の管理・処理権を失い、裁判官がその財産を売却して各債権者にその債権の割合に応じて分配します。そして破産者が全財産を失った時点で、禁治産状態は解除されます。

4-裁判官が破産者の財産を売却して各債権者にそれを分配し、そしてもしそれが債権の全額返済には満たなくても、債権者が全財産を失った破産者からそれ以上の返済要求をすることは出来ません。またそれに関して彼に請求し続けたり、あるいは拘束したりすることも許されません。そうではなく彼を解放し、そしてアッラーが彼に糧を授け、残りの債務を返済出来る時が来るまで猶予を与えてやるべきなのです。

 

     年少者と精神的に健常でない者に対する禁治産の適用に関して:

知的発達障害者や年少者、精神的に健常でない者などへの禁治産宣告は裁判官を介さずとも有効です。その場合その後見人は‐宗教を遵守し、分別と財産の管理能力を備えていることを条件に‐父親、次いでその後見の義務を指名された者、次いで裁判官がなります。後見人は、物事を禁治産者の福利に出来るだけ沿う形で処理するようにしなければなりません。

 

     年少者の禁治産宣告の解除について:

年少者の禁治産宣告は以下の2つによって解除されます:

       成人になること。

       財産の管理・処理能力:これについては本人にいくらかの財産を渡し、それでもって売買させることで試します。

 至高のアッラーはこう仰られました:-そして婚姻(適齢期)に達するまでに、孤児たち(の分別)を試すのだ。そしてもしあなた方が彼らに分別を見出したなら、彼らに彼らの財産を返すのだ。,(クルアーン46

 

     知的発達障害者や精神的に健常でない者に対する禁治産宣告の解除について:

精神的に健常でない者が理性や分別を取り戻したり、あるいは知的発達障害者が分別を得たりしたら‐つまり問題なく財産の管理や処理をすることが出来、値を異常に吊り上げたり、財を非合法なことや無駄なことに費やしたりする恐れがなくなったら‐禁治産状態から解除され、自分の財産を再び手にします。

     十分な財もあり、返済する能力もあるのにそうしない者に関しては、それを法的に訴え、かつその者を処罰することが合法となります。それで財産がありながらその返済を故意に滞らせる債務者は処罰の意味から拘束することが許されますが、本当に苦境にある者に関しては返済時期を猶予される権利があります。そしてそのような者には、債務を免除してやることが最善でしょう。

 


[1] 訳者注:イスラーム法で裁く裁判官のことです。そのような機関が存在しない非ムスリム国や地域に居住するムスリムは、そこにおけるイスラーム的権威である学者やイマームなどに依拠することになります。

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