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非所有地とは所有者がなく、いかなる特定化や保護的所有からも免れているような土地のことです。

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20非所有地の活性化

 

     非所有地とは:所有者がなく、いかなる特定化や保護的所有からも免れているような土地のことです。

     非所有地の活性化が定められたことに潜む英知:

非所有地の活性化には生活の糧の獲得範囲の広範化や、食物などそこから得られるものによる人々への利益、またそれに値する人々へのザカー(喜捨)の分配などにつながる効果があります。

     よい意図をもって非所有地の活性化を行うことの徳:

 アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“ムスリムが植えたり耕したりした物を鳥や人間や動物が食すれば、それが彼にとってのサダカ(施し)とならないことはないのだ。”(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[1]

     非所有地の活性化の法的位置づけ:

誰の所有にも属しない土地を活性化させれば、それはムスリムであれズィンミー[2]であれ、統治者の許可の有無を問わず、彼のものとなります。但し墓地や皆が薪を拾うための場所、ハラム(マッカ及びマディーナ周辺の聖域)やアラファ[3]の非所有地など、ムスリムの福利に関わって来る場所は例外です。

アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「誰にも属していない土地に居を構えた者は、そこにおける優先権を得る。」(アル=ブハーリーの伝承[4]

     非所有地の活性化の方法:

 非所有地の活性化は、以下のような物事によって成立します: 

非所有地の活性化は、人々の間で通例化しているような高い壁を立てたり、水路を引いたり、あるいは井戸を掘ったり、木を植えたり、といったような作業の他、人々が非所有地の活性化や開拓と見なすようないかなる習慣や慣例によっても成立します。

それで非所有地をイスラーム法に則った方法で活性化した者は、大小関わらずそこにある全ての物を自分の所有化に入れることになります。もし活性化が出来そうになければ、統治者はそれを活性化することの出来るような誰か別の者に与えることも出来ます。

     非所有地の活性化が制限されるいくつかの例:

町中、あるいはその付近に位置している土地は、統治者の許可なしに所有することが出来ません

というのもそのような土地は墓地やモスク、学校の建設などのために必要になる恐れがあり、誰か個人の所有によって社会全体の福利が失われる恐れがあるからです。

また誰かの所有地に注ぎ込む川のすぐ上流の非所有地は、その土地に特別な形で付随しているため、その土地の所有者の許可なしには活性化したり領土としたりすることが許されません。これは人々が被るかもしれない被害を予防するためなのです。

     統治者による土地の分配:

統治者は土地を開拓したり活性化したりする者に、非所有地を分配することが許されています。

また統治者は人の通行の迷惑にならない程度の範囲で、広い市場などの中の売買専用のスペースを分配することも可能です。そのスペースが特に分配されていない場合は早い者勝ちで場所取りをすることになりますが、もし同時に複数の者が1つの場所に入ってしまったら、くじ引きをします。

また人々がよく通る道は、最低7ズィラーァ[5]の幅を持たせるようにします。

そして統治者は、公共の福利実現のために様々な形で命令を行使することが出来ます。

     土地の保留:

土地の保留は決してその所有を意味するわけではなく、単なる特定化・他者に対する優先性を表しているだけです。土地の保留は低い壁や柵、堀、土の囲い、水の出る深さまで達していない井戸などによって表され、統治者によってその活性化までの期限を定められます。そしてその期間中に活性化がなされなかった場合その土地は彼の手を離れ、その所有を望む別の者へと移転します。

     保護区を設けることに関して:

統治者は、イスラーム国家の国庫に属する戦闘馬やサダカ(施し)のためのラクダなどを放牧しておくための保護区を設けることが許されています。但しこの権利は統治者にしか認められず、またムスリムがそれによって何らかの害悪を被らないこと、及びそうすることがムスリムの共同福利に叶っていることが条件となります。

また狩猟物や薪など、何か合法的なものを他人に先駆けて獲得した場合、それは彼のものになります。

尚ムスリムは3つの物を共有します:それらとはつまり①水と、②牧草と、③火、です。

     他人の権利の侵害に関して:

財産であろうと不動産であろうと、またそれ以外のものであろうと、ムスリムが他人の権利を侵害することは禁じられます。

1-アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:1シブル[6]の土地であっても不正を働いた者は、(審判の日に)7層の大地(ほどの重さの罪)を首に課せられるであろう。(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[7]

2-アブドッラー・ブン・ウマル(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は、こう言いました:“権利もなく土地を手に入れる者は、審判の日にそれもろとも7層の大地(の奥底)にまで沈み落ちるであろう。”(アル=ブハーリーの伝承[8]

 

 


[1] サヒーフアル=ブハーリー(2320)、サヒーフ・ムスリム(1553)。文章はアル=ブハーリーのもの。

[2] 訳者注:ジズヤ税を支払い、その諸規定を遵守することを条件に、イスラーム法治国家に居住するムスリム以外の啓典の民あるいは非ムスリムのこと。

[3] 訳者注:「アラファ」とはヒジュラ暦12月の9日目、ハッジの巡礼者たちが赴くことを義務付けられているマッカ近郊の台地のこと。

[4] サヒーフアル=ブハーリー(2335)。

[5] 訳者注:1ズィラーァは約50cmです。

[6] 訳者注:手を広げた親指の先から小指の先までの長さの単位。

[7] サヒーフアル=ブハーリー(2453)、サヒーフ・ムスリム(1612)。文章はアル=ブハーリーのもの。

[8] サヒーフアル=ブハーリー(2454)。

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