魔法と精神錯乱の治療

概要

魔法は真に存在します。またジンの攻撃による精神的疾患などについても、その実情や予防、治療の仕方などに関して見ていきます。

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Detailed Description

    ズィクル(唱念)6-魔法と精神錯乱の治療

    ﴿كتاب الأذكار علاج السحر والمس ﴾

    ] 日本語– Japanese – ياباني [

    ムハンマド・イブラーヒーム・アッ=トゥワイジュリー

    翻訳 : サイード佐藤

    校閲 : ファーティマ佐藤

    2007 - 1428

    ﴿كتاب الأذكار علاج السحر والمس ﴾

    « باللغة اليابانية »

    محمد بن إبراهيم التويجري

    ترجمة: سعيد ساتو

    مراجعة: فاطمة ساتو

    2007 - 1428

    6-魔法と精神錯乱の治療

    ● 魔法とは:心身に悪影響を及ぼす呪文やまじないの言葉、あるいは(それを意図して)紐などに結び目をつけたりする行い。

    ● 魔法は完全な悪であり、不正であり、法の違反であり、敵対的行為です。そして身体や財産、理性や人間関係などにおける、しもべの諸権利を侵害します。

    ● 精神錯乱とは:人間に対する、ジン(精霊的存在)の攻撃です。

    ● ジンとの関係における人間の状態:

     ジンとは理性を持った生命体であり、人間同様にアッラーからの命令や禁止令を課されています。ゆえに彼らにもアッラーに対する服従行為と反逆行為があり、そしてそこにおける懲罰や報奨も約束されています。

     1-人間とジンに対し、アッラーへの教えの布教や勧善懲悪など、アッラーとその使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)が命じられたものを命じる人間。これはアッラーの寵愛を享受する者の内でも、最も優れた者の1人です。

     2-シルク[1]や殺人、病へといざなったり、また敵意や卑猥な物事を煽り立てることなど、アッラーとその使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)が禁じられた物事においてジンを用いる者。これは罪と憎悪においてジンの力を借りる者です。

     3-奇跡とおぼしいことを引き起こすことにおいて、ジンの助けを借りる者。これは欺かれた者であり、彼らの罠にかかっているのです。

     4-ジンを合法的な物事において用いる者。彼は建築や移動、その他合法的な仕事において人間を使役するのと同様のことをしているのであり、これは合法です。

    ●  精神錯乱の諸要因:

    精神錯乱の諸要因は、ジンから直接的な形で惹起されます。それは彼らジンに人間同様に備わっているところの、対象である人間に対する欲望や狂気や熱愛ゆえに起こることもあれば、人間から被った彼らの不正や害悪の報復として起こることもあります。また彼らの殺害や、彼らに熱湯や便をかけることなどによっても起こりえます。あるいはその原因は人間の間にもあるように、彼らの内の愚かな者たちによって引き起こされる単なるいたずらである場合もあります。

    ● 魔法と精神錯乱の治療には2つの場合があります:

    1-魔法の(効力が発信されている)場所を突き止め、それを取り出して廃棄すること。そうすればアッラーのお許しをもって、魔法を解除することが出来るでしょう。この方法は魔法を解くのに最も効果覿面です。その場所を突き止める方法としては、夢や探索、魔法をかけられた者に対して魔除けの言葉などをかけ、それに対してジンがその場所を教示してくれることなどがあります。

    ・アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は、訪れてもいない妻たちのもとを訪れたと思い込むようになってしまうほどに、(ひどい)魔法をかけられてしまいました。‐スフヤーンは言っています:このような状況であれば、魔法は非常に強力であることを示しています‐そして(ある時アッラーの使徒は)言いました:“アーイシャよ、アッラーは私が訊ねていたところのものをついに教えてくれたのを知っているか?私のもとに2人の男がやって来て、1人は私の頭の所に、もう1人は私の足元に腰を下した。そして頭の方にいる者が、もう1人にこう言ったのだ:「一体この男に何が起こったのだ?」

    (もう1人の男は)こう言った:「魔法をかけられている。」(男は)言った:「一体誰がそれをかけたのだ?」(もう1人が)言った:「ズライク部族出身で、ユダヤ教徒の同盟者の偽信者ラビーア・ブン・アル=アァサムだ。」(男は)言った:「何をもって(魔法を)かけたのか?」(もう1人は)言った:「櫛と、それに付着した髪の毛だ。」(男は)言った:「それはどこにある?」(もう1人が)言った:「ザルワーンの井戸の底にある、(踏み台用の)岩の下にあるナツメヤシのおしべの皮の中だ。」”それで預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はその井戸へ行き、それを取り出しました・・・」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[2]

    2-もう1つの場合は、魔法の(効力が発信されている)場所が分からない場合です。このような時には、2つの解決法があります。

    ① イスラーム法に則した魔除け:これには3つの条件が必要です:第1にそれが至高のアッラーの御言葉、あるいはその使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の言葉であること。クルアーンこそは全ての心身の病に対する、完全なる癒しなのです。そして第2に、アラビア語であること。あるいはそれ以外の言語であっても、意味が理解可能なものであることです。そして第3に、その魔除けがそれ自体効力を発揮するのではなく、至高のアッラーのご威力のみがそれに効果を与えるのだということを念頭に置くことです。

    ② そしてそれに次いでイスラーム法において合法的に認められる医薬類:蜂蜜や、アジュワというナツメヤシの実の1種、黒種(ブラック・クミン)、カッピング(吸玉放血法)などがあります。

    ● イブン・アッバース(彼らにアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「治療(法)には3つある:吸玉放血法(カッピング)と蜂蜜を飲むこと、そして火による焼灼(焼きごてによる治療)である。そして私は私のウンマ(共同体)に、焼灼を禁じる。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[3]

    ● サアド・ブン・アビー・ワッカース(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私は、アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)がこう言うのを聞きました:“朝に7粒のアジュワ(マディーナ特産のナツメヤシの実の1種)を食べる者は、その日毒や魔法に冒されることはないであろう。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[4]

      そしてムスリムの伝承にはこうあります:「2つの溶岩地帯[5]の間のナツメヤシの実を朝に7粒食べる者は、夜を迎えるまで毒に冒されたりしないであろう。」

    ● アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は、アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)がこう言うのを聞きました:「黒種(ブラック・クミン)には、死以外の全ての病に対する癒しがある。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[6]

    ● アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“(月の)17日、19日、29日にカッピング(吸玉放血法)することは、全ての病からの癒しとなるであろう。”」(アブー・ダーウードの伝承[7]

    ● 魔除けをする者はまずウドゥー[8]をし、それから患者の胸元、あるいは体の一部に向かってクルアーンの句をゆっくりと読誦します。そしてアル=ファーティハ章(クルアーン第1章)、アーヤト・アル=クルシー(同第2章:255)、雌牛章の最後の2節、不信仰者たちの章(同第109章)、アル=ムアウウィザート[9]、また下記に記す魔法やジンに関する章などを自らの両手に向かって読み、そこに息を吹き込んで、それでもって患者を撫でます。

    ● -そしてわれら(アッラーのこと)はムーサー(モーゼ)に、杖を投げるよう啓示した。するとそれは(魔法使いたちの)まやかしを飲み込んでしまった。それで(ムーサーが携えて来た)真理が明らかになり、彼らの行っていたことは虚妄となった(ことも明らかになった)。その場において(魔法使いたちは)敗北し、一転して屈辱を味わったのだ。魔法使いたちは身を(地に)投げ出してサジダ(伏礼)し、言った:「私たちは万有の主、ムーサーとハールーン(アーロン)の主を信じました。」,(クルアーン7:117-122)

    ● -そしてフィルアウン(ファラオ)は言った:「全ての有識な魔法使いを連れて来るのだ。」そして魔法使いたちがやって来ると、ムーサー(モーゼ)は彼らに言った:「あなた方の投げようとしている物(紐や杖など)を投げなさい。」そして彼らが(それらを)投げると、ムーサーは言った:「あなた方の行ったことは、(アッラーのみしるしなどからは程遠い、単なる)魔術である。実にアッラーはその効果を無に帰して下さるであろう。アッラーは退廃をもたらす者たちの行いを正されはしないのである。そして例え罪深い者たちが厭おうとも、アッラーはその御言葉をもって真理を明白にされるのである。」,(クルアーン10:79-82)

    ● -(魔法使いたちは)言った:「ムーサー(モーゼ)よ、あなたが投げるか、それとも私たちが最初に投げることにするか選べ。」(ムーサーは)言った:「いや、あなた方が投げよ。」(すると彼らが投げた)彼らの紐や杖は彼らの魔術により、(動き)這い回るがごとく彼の目に映った。それでムーサーは内心恐怖を覚えたが、われら(アッラーのこと)は言った:「恐れるのではない。あなたこそが(彼らより)上手なのだから。そしてあなたの右手にある物(杖)を投げよ。そうすれば、それは彼らが作り上げた物を飲み込んでしまうであろう。実にそれは魔法使いの策略なのだ。魔法使いなどというものは、どこにあろうと成功することなどないのである。」,(クルアーン20:65-69)

    ● -そして(彼らは)、シャイターンたちがスライマーン(ソロモン)の王国に関して語るでまかせに従った・・・(節の最後まで),(クルアーン2:102)

    ● -整列し、羽ばたく者たちにかけて。また(雲や、あるいは反逆行為などを)駆逐する者たちにかけて。そして訓戒(クルアーン)を朗誦する者たちにかけて。実にあなた方が崇拝すべきものはただお1人。天地とその間にあるもの、そして太陽が昇る全ての場所の主。実にわれら(アッラーのこと)は、最下層の天を星々でもって飾りつけ、そして(それらを)全ての反抗的なシャイターンに対する防備とした。(しかし来世では)彼らに永劫の懲罰があるのだ。もし(天の言葉の)いくばくかを盗み聴きすることが出来ても、鋭い流星が(その者を)追撃するであろう。,(クルアーン37:1-10)

    ● -そしてわれら(アッラーのこと)があなたに、クルアーンに耳を傾けるジンの集団を遣わした時(のことを思い出すのだ)。(彼らはあなたの)クルアーンの朗誦に臨むと、(互いに)言った:「謹聴するのだ。」そして(朗誦が)終わると、自分たちの民のもとへと(彼らを)警告するため立ち去った。(彼らはその民に)言った:「民よ、私たちは実にムーサー(モーゼ)の後に下された、それ以前のもの(諸啓典)を確証する啓典が朗誦されるのを聞いた。そしてそれは真理へと、そして正しい道へと導いてくれるのだ。民よ、アッラーへと招く者に応え、彼を信じよ。(そうすればアッラーは)あなた方の罪を赦し、あなた方を痛ましい懲罰からお救い下さるであろう。そしてアッラーのいざないに応じない者は、地上においてかれを出し抜くことなど出来ないし、またかれ以外の保護者なども存在しないのだ。彼らは明白な虚妄の中にいる者たちである。」,(クルアーン46:29-32)

    ● -ジンと人間よ、天地の領域を超越出来るものなら、そう試みてみよ。あなた方はその権威もなしに、そうすることは出来ない。一体あなた方(人間とジン)は主のいかなる恩恵を嘘だと言うのか?あなた方には(地獄において)炎とその煙、そして(溶けた熱い)真鍮が浴びせかけられるが、あなた方はそれらから逃れることも出来ない。一体あなた方(人間とジン)は主のいかなる恩恵を嘘だと言うのか?,(クルアーン55:33-36)

    ● -実に不信仰者たちは訓戒(クルアーン)を耳にすれば、その(怒りや憎悪で満ちた)眼光でもってあなたを打ちひしがんばかりである。そして言う:「彼はジンに憑依されて錯乱した者に過ぎない。」しかしそれ(クルアーン)は、万有に向けた訓戒に他ならないのだ。,(クルアーン68:51-52)

    ● -一体あなた方は、われら(アッラーのこと)があなた方をいたずらに創ったとでも思っているのか?そしてあなた方がわが御許に戻って来ないとでも?,(クルアーン23:115)

    ● それから次項「アインの魔除け」の中で示すような、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の正統なドゥアー(祈願)でもって祈ります。

    [1] 訳者注:詳しくは「タウヒードとイーマーン」の章のシルクの項を参照のこと。

    [2] サヒーフ・アル=ブハーリー(5765)、サヒーフ・ムスリム(2189)。文章はアル=ブハーリーのもの。

    [3] サヒーフ・アル=ブハーリー(5681)、サヒーフ・ムスリム(2205)。文章はムスリムのもの。

    [4] サヒーフ・アル=ブハーリー(5769)、サヒーフ・ムスリム(2047)。文章はムスリムのもの。

    [5] 訳者注:マディーナのこと。マディーナは東西を溶岩地帯に囲まれています。

    [6] サヒーフ・アル=ブハーリー(5688)、サヒーフ・ムスリム(2215)。文章はムスリムのもの。

    [7] 良好な伝承。スナン・アブー・ダーウード(3861)、サヒーフ・スナン・アブー・ダーウード(3271)。サヒーフ・アル=ジャーミゥ(5968)参照。

    [8] 訳者注:イスラームにおいて定められたある一定の形式における、心身の清浄化を意図した体の各部位の洗浄。

    [9] 訳者注:クルアーンの最後の3章のこと。

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