イフラーム

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巡礼者は巡礼を開始するにあたって、イフラームという特別な状態に入ります。それに伴う様々な法的規定、その方法、また巡礼者が常に念唱し続ける「タルビヤ」の意味などを見ていきます。

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③イフラーム

イフラームとは:ハッジ、あるいはウムラの巡礼の諸行の開始を意図することです。

イフラームが定められたことの英知:

アッラーはその聖なる館に、そこを目指す者がある特定のいでたちに身を包み、またある特定の意図を持たないままそこを通過することが許されない聖域と、ミーカートを定められました。

マッカの聖域の範囲:

西はアッ=シュマイスィー(アル=フダイビーヤ)までで、ハラーム・モスクからはジェッダ街道沿いに約22キロの地点です。

一方東はターイフ街道の西ウラナ渓谷までで、ハラーム・モスクからは約15キロの地点です。そしてアル=ジゥラーナ方面はシャラーイゥ・アル=ムジャーヒディーンまでで、約16キロ離れています。

 また北はアッ=タンイームで、ハラーム・モスクからは約7キロの地点です。

 そして南はイエメン街道のアダートゥ・リーンまでで、ハラーム・モスクからは約12キロの地点にあります。

イフラームの仕方:

男性がハッジ、あるいはウムラのイフラームに臨む場合、以下に挙げることがスンナ[1]です:グスル[2]をし、身奇麗にすること。体に香水をつけ、身に着ける衣類にはそれを直接つけないこと。マヒートゥ[3]を脱ぎ、白くて清潔な2枚の布を、上半身と下半身にそれぞれ着用すること。サンダルの着用。

また女性にとっては以下のことがスンナとなります:

例え月経や産後の出血が見られても、イフラームの際にグスルすること。いかなる種類であれ、全身をきちんと覆う衣服を着用すること。目立つ服装や、体の線が際立つような服装、あるいは男性や不信仰者と似通った服装をしないこと。ニカーブ[4]や手袋を身に着けないこと。

またもしそれが可能なら、義務のサラー(礼拝)の後にイフラームに入ることがスンナですが、イフラームそれ自体に関して特別なサラーがあるわけではありません。またタヒイヤト・アル=マスジド[5]ウドゥー[6]の直後の2ラクア、ドゥハーのサラー[7]などの後にイフラームに入っても問題はなく、その時にハッジであれウムラであれ、行いたい形式の巡礼に入ることを心で意図します。モスクでのサラーの直後、あるいはキブラの方向に向かって乗り物に腰を下ろした時にイフラームに入り、タルビヤ[8]の言葉を唱え出すのがスンナです。

ムフリム(イフラームに入る者)は、行う巡礼の形式を口に出して唱えることがスンナです。それでウムラのみを行う者であれば、「ウムラのためにあなたの御許に馳せ参じます」と言い、イフラード(ハッジのみを行う巡礼形式)を行う者であれば「ハッジのためにあなたの御許に馳せ参じます」と言い、キラーン(ハッジとウムラを同時進行する巡礼形式)を行う者であれば「ウムラとハッジのためにあなたの御許に馳せ参じます」と言い、タマットゥ(ウムラを終えてからハッジに移行する巡礼形式)を行う者であれば「タマットゥ(享受)しつつハッジへと移行させるウムラのために、あなたの御許に馳せ参じます」[9]と言います。またハッジを行おうとする者は、「アッラーよ、このハッジは虚栄でも名声のためでもありません」と言います。

ムフリム(イフラームに入る者)は病気や(敵による妨害などの)恐怖の状態にある場合、イフラームの際に巡礼の形式を唱える時にこう言うことがスンナです:「もし阻むものが私(の巡礼の遂行)を阻んだら、私の(イフラームを解く)場所はあなたが私を阻まれた所です」こうすれば、もし何かによって巡礼を妨害されたり病状が悪化したりしても、イフラームを解く際にペナルティとしての犠牲を捧げなくても済むのです。

タルビヤの形式:

1ムフリム(イフラームに入る者)はイフラームの直後、偉大かつ荘厳なるアッラーをタハミード[10]し、タスビーフ[11]し、タクビール[12]して乗り物に腰を下ろした後、このように唱えることがスンナです:「アッラーよ、あなたの御許に馳せ参じました。あなたの御許に馳せ参じました。あなたの御許に馳せ参じました、あなたに並ぶものはありません。あなたの御許に馳せ参じました。称賛と恩恵と主権は、並ぶものなきあなたにこそ属します。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[13]

2アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のタルビヤにはこのようなものがありました:“あなたの御許に馳せ参じました、真の神よ。"(アン=ナサーイーとイブン・マージャの伝承[14]

タルビヤの徳:

サハル・ブン・サアド(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“ムスリムがタルビヤを唱えれば、その右から左から石や木や土塊が(それに呼応して)タルビヤを唱えるのだ。そしてそれは東西の地の果てまで続くのである。"(アッ=ティルミズィーとイブン・マージャの伝承[15]

ムフリム(イフラームに入る者)は、ハッジとウムラのスローガンとも言えるこのタルビヤを沢山唱えることがスンナです。男性は声高に、そして女性も支障がない限り[16]、声高に唱えます。そして時にはタルビヤを、また時にはタハリール[17]を、また時にはタクビール[18]を唱えるようにします。

ウムラにおけるタルビヤは、聖域に入った時点で唱えるのをやめます[19]。ハッジにおいては、アル=アカバジャムラ[20]への投石の時点で、唱えるのをやめます。

成年男女が一旦ハッジかウムラのためにイフラームに入ったら、それを完遂しなければなりません。一方未成年の場合、そもそもまだ諸々の義務が課せられてはいないので完遂の義務はありません。

ハッジを行う者がすること:

 ハッジをする者は特に、アッラーへの服従行為の遂行と禁止行為の回避において努力しなければなりません。至高のアッラーはこう仰られました:-ハッジ(の季節)は周知の数ヶ月である。それでその間にハッジをしようとする者は、淫らな言動や罪深い行いや言い争いをしてはならない。あなた方がするいかなる善も、アッラーはご存知になられる。旅の準備をするのだ。そして旅の蓄えでも最善のものは、タクワー[21]である。知性ある者たちよ、われ(の怒りを誘うような物事)から身を慎むのだ。,(クルアーン2197

イフラームにおいて禁じられること:

 イフラームにおいて禁じられることとは、イフラームに入ることによって禁じられる諸々の行いの事を指します:

 アブドッラー・ブン・アムル(彼らにアッラーのご満悦あれ)によれば、ある男がこう言いました:「“アッラーの使徒よ、ムフリムは何を身に纏うのですか?" アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“(ムフリムは)長上衣も、ターバンも、ズボンも、フード付きのローブも着用してはならない。また、くるぶしを覆う靴や靴下を履いてもならないが、サンダルがない者はそれらを履いてもよい。そして(そうする場合は)くるぶしの下までそれらを切り取るのだ。またサフランや香草(の香り)を付けた衣類を纏ってもならない。"」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[22]

ムフリム(イフラームに入った者)には次のことが禁じられます:

1-頭髪や体毛を剃ったり切ったりすること。

2-爪を切ること。

3-頭を覆うこと(男性のみ?

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