遺産の残余分の返還 (⮫)


7遺産の残余分の返還

] 日本語 [

الرد

[اللغة اليابانية ]

ムハンマド・ブン・イブラーヒーム・アッ=トゥワイジリー

محمد بن إبراهيم التويجري

翻訳者: サイード佐藤

ترجمة: سعيد ساتو

校閲者: ファーティマ佐藤

مراجعة: فاطمة ساتو

海外ダアワ啓発援助オフィス組織(リヤド市ラブワ地区)

المكتب التعاوني للدعوة وتوعية الجاليات بالربوة بمدينة الرياض

1429 – 2008

7-遺産の残余分の返還

● 遺産の残余分の返還とは:相続の事例において余った遺産の残余分を、それに値する固定相続人に返還することを指します。

● 遺産の残余分が生じる理由は:相続人の相続率の合計より、遺産の基準分割数の方が大きいことによります。つまり基準分割数における相続人の超過とは逆のケースです。

● 遺産の残余が及ぼす影響は:相続人の相続分の増加です。

● 遺産の残余分を受け取る者は:

 夫と妻、父親と祖父を除く全ての固定相続人です。つまり以下の8種の者です:

① 娘

② 息子側の孫娘

③ 同父母の姉妹

④ 異母姉妹

⑤ 母親

⑥ 祖母

⑦ 異父兄弟

⑧ 異父姉妹

● 遺産の残余分の返還の条件:

 遺産の残余分の返還には3つの条件が要求されます:

1-遺産が固定相続人に全て分配されてしまわないこと:そうすれば、そもそも返還されるべき残余分は存在しないからです。

2-変動相続人がいないこと:というのも変動相続人は残余分を取る権利があるからです。

3-固定相続人の存在。

● 遺産の残余分の返還の形:

 遺産の残余分の返還が発生した場合、相続人の中には夫か妻のいずれかが存在するか、あるいは存在しないかのどちらかです・

 1-相続人の中に夫か妻のいずれかがいない場合、3つのケースが考えられます:

① 固定相続人1人しか存在しない場合:例えば相続人が娘1人、あるいは姉妹1人だけといった場合です。このような時、その者は固定相続及び残余分の返還により全遺産を獲得します。

② 相続人が同種の者からのみなる場合:例えば複数の娘や複数の姉妹のような場合です。このような場合は、事例の基準分割数を彼女たちの頭数で割ります。それでもし相続人が娘3人のみであったら、基準分割数はその頭数である3となります。

③ 相続人が複数種類の者からなる場合:

   このような場合、まず各相続人にその固定相続分を与えます。その際事例の基準分割数は、残余分の有無を問わず通常通りの形となります。

尚残余分の返還に関する事例の基準分割数は全て、6となります。そして各固定相続人の相続分を合計し、それを返還に関する事例の基準分割数とするのです。

例題:故人が、娘1人と息子側の孫娘1人を残して他界しました。

相続人

相続人の

相続率

事例の

基準分割数

相続人の

取り分

備考

娘1人

2分の1

6

3

固定相続

息子側の孫娘1人

6分の1

1

固定相続

上記の例だと取り分が2余ります。

これが返還すべき残余分ですが、この残余分を更に2人の間で各々の相続率に応じ

  て分配します。つまりこれを2人の相続分合計数である4とし、娘が内3を固定相続と残余分の返還として、また息子側の孫娘が1を固定相続と残余分の返還として受け取るようにするのです。

2-相続人の中に夫か妻のいずれかがいる場合:

夫あるいは妻は遺産の合計額の中から、その固定相続分を相続します。そして遺産の残余分に関しては、娘1人や娘3人のように同種の者であろうと、あるいは母親と娘1人のように複数種の者であろうと、残りの固定相続人がその頭数に応じてそれを相続します。