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8債務の移転

 

     債務の移転とは:債務をある債務者から、別の者に移転することです。

 

     債務の移転の法的位置づけ:

合法です。

 

     債務の移転の合法性に潜む英知:

アッラーは債務の移転を財産の保証と、それに対する人の必要性ゆえに合法化されました。

というのも人は自分の債権者に対する債務を誰かに肩代わりしてもらったり、あるいは誰かのために債権者の権利を履行してやったりしなければならない場面に遭遇することがあるからです。また財産を別の場所へ移転したくともそれが運搬の困難性や距離の長さ、あるいはその区間の安全性などの点において困難であったりすることがあります。そのような中で、アッラーは諸々の福利の達成のために債務の移転を合法化されたのです。

 

     債務の移転を請け負うことに関して:

債務者が債権者に対する義務をそれを履行することの出来る者に移転すれば、債務を請け負ったその者に債務が発生します。

もし債権者が債務を請け負うのが破産者であることを知らぬまま、債務が彼のもとに移転されてしまった場合、債権者は元の債務者に債務の履行を要求することが出来ます。しかし債権者が債務を請け負うのが破産者であることを予め了承していた場合は、債務の移転後に元の債務者にその責任を問うことは出来ません。

またその能力のある者が故意に債務の履行を遅延させることは不正であるゆえ、禁じられています。

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「裕福な者が借金返済を遅延するのは、不正である。そして裕福な者があなた方の債務を肩代わりするのなら、彼にそうさせるのだ。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[1]

 

     債務の移転によって起こる結果:

債務の移転が終了すれば、債務はその移転を依頼した者から、それを依頼された者へと移動したことになります。そして前者の債務は解消されたことになります。

 

     債務に苦しむ者を大目に見てやることの徳:

債務の移転後に債務の肩代わりをした者が破産したような場合、債務の履行時期を遅延してやったり、あるいは債務自体を軽減してやったりすること‐そしてそれが最善でしょう‐が推奨されます。

アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“人にお金を貸すある商人がいた。彼は債務に苦しむ者を見ると、使用人たちにこう言った「彼(の返済義務)を大目に見てやるのだ。アッラーも私たち(の罪)を大目に見て下さるかもしれないから。」そしてアッラーは(実際に)彼(の罪)を大目に見て下さったのだ。”(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[2]



[1] サヒーフアル=ブハーリー(2287)、サヒーフ・ムスリム(1564)。文章はアル=ブハーリーのもの。

[2] サヒーフアル=ブハーリー(2078)、サヒーフ・ムスリム(1562)。文章はアル=ブハーリーのもの。

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