固定相続

概要

両親、娘、配偶者などの固定相続人の相続の仕方について、具体的な例を挙げつつ見て行きましょう。

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Detailed Description

    固定相続

    ] 日本語 [

    أصحاب الفروض

    [اللغة اليابانية ]

    ] 日本語 [

    ムハンマド・ブン・イブラーヒーム・アッ=トゥワイジリー

    محمد بن إبراهيم التويجري

    翻訳者: サイード佐藤

    ترجمة: سعيد ساتو

    校閲者: ファーティマ佐藤

    مراجعة: فاطمة ساتو

    海外ダアワ啓発援助オフィス組織(リヤド市ラブワ地区)

    المكتب التعاوني للدعوة وتوعية الجاليات بالربوة بمدينة الرياض

    1429 – 2008

    1-固定相続

    ● 相続には2種類あります:①固定相続と、②変動相続です。

     この点に関して、相続人は4種類に区分されます:

     1-常に固定相続の形でのみ相続する者:これには7種類の者があります:

    ①  母親

    ②  異父兄弟

    ③  異父姉妹

    ④  母方の祖母

    ⑤  父方の祖母

    ⑥  夫

    ⑦  妻

     2-常に変動相続の形でのみ相続する者:これには12種類の者があります:

    ①  息子

    ②  孫息子とその男性卑属

    ③  同父母の兄弟

    ④  異母兄弟

    ⑤  同父母の兄弟の息子及びその男性卑属

    ⑥  異母兄弟の息子及びその男性卑属

    ⑦  父親の同父母の兄弟(つまり伯叔父)とその男性尊属

    ⑧  父親の異母兄弟(つまり伯叔父)とその男性尊属

    ⑨  父親の同父母の兄弟(つまり伯叔父)の息子及びその男性卑属

    ⑩  父親の異母兄弟(つまり伯叔父)の息子とその男性卑属

    ⑪  奴隷の解放主である男性

    ⑫  奴隷の解放主である女性

    3-場合によっては固定相続で、または変動相続で、あるいはその両方によって相続する者:これには2種類あります:

    ① 父親

    ② 祖父

    彼らのいずれか(父親がいれば祖父に相続権はありません)は直系卑属と共に相続する際には、固定相続で6分の1を相続します。そして他に誰も直系卑属の相続人がない場合には、変動相続で相続します。

    また固定相続の分配後に全体の遺産の6分の1以上の剰余が存在し、かつ彼の他に女性の直系卑属がいたら、彼は固定相続と変動相続両方によって相続することになります。例を挙げるならば:相続人に父親と母親と1人の娘がある場合、相続分は均等に6分割され、その内の半分を娘が、6分の1を母親が、そして残りの6分の2を父親が固定相続と変動相続で相続することになります。

    4-場合によっては固定相続で、または変動相続で相続するものの、その両方によって相続することはない者:これには4種類あります:

    ① 娘(単数複数を問いません)

    ② 息子側の孫娘と、息子の男性卑属の娘(単数複数を問いません)

    ③ 同父母の姉妹(単数複数を問いません)

    ④ 異母姉妹(単数複数を問いません)

    上記の女性たちは彼女らに兄弟がないことを条件に固定相続で相続しますが、もし兄弟がいる場合は変動相続によって相続します。

    ● 固定相続で相続する者たち:

     固定相続で相続する者には、11種あります:

    ① 夫

    ② 妻(単数複数を問いません)

    ③ 母親

    ④ 父親

    ⑤ 祖父

    ⑥ 祖母(単数複数を問いません)

    ⑦ 娘

    ⑧ 息子側の孫娘

    ⑨ 同父母の姉妹

    ⑩ 異母姉妹

    ⑪ 異父兄弟及び異父姉妹

    ① 夫の相続分

    ● 夫の相続の状態:

     1-妻に直系卑属の相続人がない場合、夫は妻の遺産の2分の1を相続します。因みに直系卑属の相続人とは:息子と娘、そして息子側の孫とその男性卑属です。尚娘側の孫は卑属ではあっても、相続権を有しません。

     2-他界した妻に、その夫の実子であるかどうかを問わず直系卑属の相続人がある場合、夫は妻の遺産の4分の1を相続します。

     至高のアッラーは仰られました:-そしてあなた方の妻に子供がない場合、あなた方は彼女らの残した物(遺産)から半分を得る。しかしもし彼女らに子供がある場合は、あなた方は彼女らの残した物から、4分の1を得る。(そしてこれらの分配は)彼女らがした遺言と(抱えていた)債務の清算後のことである。,(クルアーン4:12)

    ● 例題:

    1-妻が、夫と母親と両親を共にする1人の兄弟を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    2分の1

    固定相続

    母親

    3分の1

    固定相続

    同父母の兄弟1人

    残余分

    変動相続

     2-妻が、夫と1人の息子を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    4分の1

    固定相続

    息子1人

    残余分

    変動相続

    ② 妻の相続分

    ● 妻の相続の状態:

     1-夫に直系卑属の相続人がいない場合、妻は夫の遺産の4分の1を相続します。

     2-他界した夫に、その妻の実子であるかどうかを問わず直系卑属の相続人がある場合、妻は夫の遺産の8分の1を相続します。

     至高のアッラーは仰られました:-そしてあなた方に子供がない場合、あなた方の妻はあなた方の残した物(遺産)から4分の1を得る。しかしあなた方に子供がある場合は、彼女らはあなた方の残した物から8分の1を得る。(そしてこれらの分配は)あなた方がした遺言と(抱えていた)債務の清算後のことである。,(クルアーン4:12)

    ● 啓典の民(ユダヤ教徒かキリスト教徒)の妻を持つ者が他界した場合、彼女は宗教の相違ゆえ彼に対する相続権を有しません。

    ● 例題:

    1-夫が、その妻1人と母親と父親の同父母の兄弟(つまり伯叔父)1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    妻1人

    4分の1

    固定相続

    母親

    3分の1

    固定相続

    父親と同父母の兄弟(伯叔父)1人

    残余分

    変動相続

     2-夫が、妻1人と1人の息子を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    妻1人

    8分の1

    固定相続

    息子1人

    残余分

    変動相続

    3-夫が、その妻3人と娘1人と息子1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    妻3人

    8分の1

    固定相続

    娘1人

    残余分

    共同の変動相続

    (男女の相続の比率は2:1)

    息子1人

     至高のアッラーは仰られました:-…そして(故人に)子供があれば、その両親は各自その者の遺産から6分の1を得る。またその者に子供がなくても両親はその者を相続するが、その際母親には3分の1(の相続分)がある。但しその者に複数の兄弟がいる場合には、母親には6分の1である。(そしてこれらの分配は)その者がした遺言と(抱えていた)債務の清算後のことである…,(クルアーン4:11)

    ③ 母親の相続分

    ● 母親の相続の状態:

     1-母親は以下の3つの条件を満たせば、故人の遺産の3分の1を譲り受けます:①直系卑属の相続人の不在、②故人(つまり彼女の子供)に複数の兄弟姉妹がないこと、③いわゆる「ウマルの事例[1]」ではないこと。

     2-母親は故人に直系卑属の相続人があったり、あるいは複数の兄弟姉妹があったりした場合、遺産の6分の1を相続します。

     3-母親は「ウマルの事例」の際には通常の形のように遺産全体の3分の1を取るのではなく、残余分の3分の1を取ることになります。[2]

    ① 相続人が「妻と母親と父親」である場合:

    相続人

    相続分

    備考

    4分の1

    固定相続

    母親

    残余分の3分の1

    特別事例

    父親

    残余分の3分の2

    特別事例

    ② 相続人が「夫と母親と父親」である場合:

    相続人

    相続分

    備考

    2分の1

    固定相続

    母親

    残余分の3分の1

    特別事例

    父親

    残余分の3分の2

    特別事例

    ● 上記の例では母親は遺産全体の3分の1ではなく、故人の伴侶の取り分を差し引いた残余分の3分の1を取ることになります。これは故人から見て同親等にある男性の父親の正当な相続分‐同親等の男女の相続比率は2:1‐まで侵害しないためです。

     至高のアッラーは仰られました:-…そして(故人に)子供があれば、その両親は各自その者の遺産から6分の1を得る。またその者に子供がなくても両親はその者を相続するが、その際母親には3分の1(の相続分)がある。但しその者に複数の兄弟がいる場合には、母親には6分の1である。(そしてこれらの分配は)その者がした遺言と(抱えていた)債務の清算後のことである…,(クルアーン4:11)

    ● 例題:

    1-故人が母親と同父母の兄弟(つまり伯叔父)1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    母親

    3分の1

    固定相続

    同父母の兄弟1人

    残余分

    変動相続

     2-故人が、母親と1人の息子を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    母親

    6分の1

    固定相続

    息子

    残余分

    変動相続

    ④ 父親の相続分

    ● 父親の相続の状態:

    1-故人に息子や孫息子、あるいはその男性卑属などの直系男性卑属の相続人がいる場合、故人の父親は彼の遺産の6分の1を固定相続によって相続します。

    2-故人に直系卑属の相続人がない場合、故人の父親はその遺産を変動相続によって相続します。

     3-故人に娘や息子側の孫娘などの直系女性卑属の相続人がいる場合、故人の父親は固定相続‐6分の1‐と変動相続‐残余分‐両方の経路によって遺産相続します。

    ● 同父母か異母か、あるいは異父兄弟かを問わず、故人の兄弟は故人の父親や祖父の存在によって相続権を喪失します。

    ● 例題:

    1-故人が、父親と息子1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    父親

    6分の1

    固定相続

    息子1人

    残余分

    変動相続

     2-故人が、父親と母親を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    母親

    3分の1

    固定相続

    父親

    残余分

    変動相続

    3-故人が、父親と娘1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    2分の1

    固定相続

    父親

    6分の1

    +残余分

    固定相続

    と変動相続

     4-故人が、父親と兄弟(同父母、異母、異父のいずれでもよい)1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    父親

    全部

    固定相続

    兄弟1人

    父親の存在により

    相続権が消失

    ⑤ 祖父の相続分

    ● 相続権を持つ祖父とは、故人と彼との間にいかなる女性も挟まないような位置関係‐例えば父親の父親など‐にある者です。ゆえに母方の祖父は彼と故人との間に母親を挟んでいるため、相続しません。

    ● また祖父の相続の形は「ウマルの事例[3]」の場合を除き、父親の相続と同じ形になります。因みにウマルの事例の場合、母親は父親ではなく祖父が相続人として加わっている際、遺産全体額の3分の1の配当を得ることが出来ます。一方祖父でなく父親がいる場合は前出の通り、夫婦の固定相続分を差し引いた後の残余分の3分の1を受け取ります。

    ● 祖父の相続の状態:

    1-故人に直系男性卑属の相続人がおり、かつ父親がいない場合、故人の祖父は彼の遺産の6分の1を固定相続によって相続します。

    2-故人に直系卑属の相続人がなく、かつ父親もいない場合、故人の祖父はその遺産を変動相続によって相続します。

     3-故人に娘や息子側の孫娘などの直系女性卑属の相続人がいる場合、故人の祖父は固定相続と変動相続両方の経路によって遺産相続します。

    ● 例題:

    1-故人が、祖父と息子1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    祖父

    6分の1

    固定相続

    息子1人

    残余分

    変動相続

     2-故人が、祖父と母親を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    母親

    3分の1

    固定相続

    祖父

    残余分

    変動相続

    3-故人が、祖父と娘1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    2分の1

    固定相続

    祖父

    6分の1

    +残余分

    固定相続

    と変動相続

    ⑥ 祖母の相続分

    ● 相続権を有する祖母とは父方の2人と母方の1人、つまり母親の母親、父親の母親、祖父の母親、そして彼女たちの直系女性尊属です。

    ● 父親がいる場合に祖父が相続することがないのと同様、祖母も母親がいれば相続権を有しません。

    ● 1人であれ2人以上いる場合であれ、祖母の相続分は6分の1です。尚故人に母親がいないことが、祖母が相続する条件です。

    ● 例題:

    1-故人が、祖母と息子1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    祖母

    6分の1

    固定相続

    息子

    残余分

    変動相続

     2-故人が、祖母と母親と息子1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    母親

    6分の1

    固定相続

    祖母

    母親の存在ゆえ

    相続せず

    息子

    残余分

    変動相続

    ⑦ 娘の相続分

    ● 娘の相続の状態:

     1-故人に息子(娘にとっての兄弟)がある場合、娘(単数複数を問わず)は変動相続によって相続します。

    至高のアッラーは仰られました:-アッラーはあなた方に、あなた方の子供(の相続)に関して(このように)命じられる:男子には、(その姉妹である)女子の倍の取り分がある。但し女子が2人以上いる場合、彼女たちには(親の)残したもの(遺産)の3分の2が当てられる。そして娘1人しかいない場合には、(遺産の)半分である・・・,(クルアーン4:11)

    2-故人に息子(娘にとっての兄弟)も自分以外の他の娘(娘にとっての姉妹)もいない場合において、娘は遺産の2分の1を相続します。

    3-故人に息子(娘にとっての兄弟)がおらず、かつ自分以外にも娘(つまり娘の姉妹)がいるような場合、娘たちは共に3分の2の遺産を相続します。

    至高のアッラーは仰られました:-・・・但し女子が2人以上いる場合、彼女たちには(親の)残したもの(遺産)の3分の2が当てられる・・・,(クルアーン4:11)

    ● 例題:

    1-故人が、祖母1人と息子1人と娘1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    祖母

    6分の1

    固定相続

    娘1人

    残余分

    共同の変動相続

    (男女の相続の比率は2:1)

    息子1人

        至高のアッラーは仰られました: -アッラーはあなた方に、あなた方の子供(の相続)に関して(このように)命じられる:男子には、(その姉妹である)女子の倍の取り分がある。・・・,(クルアーン4:11)

     2-故人が、娘1人と叔父を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    娘1人

    2分の1

    固定相続

    叔父1人

    残余分

    変動相続

    3-故人が、母親と娘2人と祖父を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    母親

    6分の1

    固定相続

    娘2人

    3分の2

    固定相続

    祖父

    6分の1

    固定相続

    ⑧ 息子側の孫娘の相続分

    ● 息子側の孫娘の相続の状態:

     1-息子側の孫娘(単数複数を問わず)は、彼女(あるいは彼女たち)に同親等の兄弟‐つまり息子側の孫息子‐があり、かつ彼女(あるいは彼女たち)よりも故人にとって親等的に近い直系卑属男性‐故人にとっての息子など‐がいない場合、変動相続によって相続します。

     2-息子側の孫娘は彼女に兄弟姉妹がなく、かつ故人にとって彼女よりも親等的に近い直系卑属‐故人の息子や娘など‐もない限りにおいて、固定相続で遺産の2分の1を相続します。

     3-息子側の孫娘が2人以上おり、かつ彼女たちに兄弟がおらず、また故人にとって彼女たちよりも親等的に近い直系卑属‐故人の息子や娘など‐もない限りにおいて、固定相続で遺産の3分の2を相続します。

     4-息子側の孫娘(単数複数を問わず)は彼女(たち)に兄弟がおらず、またその相続分が全遺産の2分の1である故人の娘を除いては彼女(たち)よりも親等的に近い直系卑属がいない限りにおいて、固定相続で遺産の6分の1を相続します。息子側の孫娘は、その相続分が全遺産の2分の1である故人の娘と共にある場合しか遺産の6分の1を相続しません。この規定は同様の状況下であれば、息子側の孫息子の娘と息子側の孫娘の組み合わせでも適用されます。

    ● 例題:

     1-故人が、娘1人と息子側の孫娘1人と息子側の孫息子1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    娘1人

    2分の1

    固定相続

    息子側の孫娘1人

    残余分

    共同の変動相続

    (男女の相続の比率は2:1)

    息子側の孫息子1人

     2-故人が、息子側の孫娘1人と叔父1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    息子側の孫娘1人

    2分の1

    固定相続

    叔父1人

    残余分

    変動相続

    3-故人が、息子側の孫娘2人と同父母の兄弟1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    息子側の孫娘2人

    3分の2

    固定相続

    同父母の兄弟1人

    残余分

    変動相続

     4-故人がその後に、娘1人と息子側の孫娘1人と異母兄弟1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    娘1人

    2分の1

    固定相続

    息子側の孫娘1人

    6分の1

    固定相続

    異母兄弟1人

    残余分

    変動相続

    ⑨ 同父母の姉妹の相続分

    ● 同父母の姉妹の相続の状態:

     1-同父母の姉妹は彼女に兄弟姉妹がなく、かつ故人に直系卑属も直系男性尊属(父親と祖父のみ)もない限りにおいて、固定相続で遺産の2分の1を相続します。

     2-同父母の姉妹が2人以上おり、彼女たちに兄弟がおらず、また故人に直系卑属も直系男性尊属もない限りにおいて、固定相続で遺産の3分の2を相続します。

     3-同父母の姉妹(単数複数を問わず)は彼女(たち)に兄弟があるか、あるいは直系女性卑属‐故人にとっての娘など‐がある場合、彼ら(あるいは彼女たち)と変動相続によって共同相続します。但し兄弟と共同相続する時は、男女の相続比率を2:1としなければなりません。

     至高のアッラーは仰られました:-彼らはあなたに尋ねる。言え、「アッラーは親も子もない者(の遺産相続)についての規定を下される:もし子供(も親)もない男性が他界し、彼には(同父母の)姉妹が1人いるだけであれば、彼女には彼が残したもの(遺産)の半分が与えられる。一方(故人が女性で)子供も親もない場合、(彼女に同父母あるいは異母兄弟が1人いたら、)彼は彼女の(全)遺産を得る。そしてもし(子供も親もなくして遺産を残した者に)2人の(同父母の)姉妹があれば、彼女たちには彼が残したものから3分の2の割り当てがある・・・」,(クルアーン4:176)

    ● 例題:

     1-故人が、母親と同父母の姉妹1人と異父兄弟姉妹2人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    母親

    6分の1

    固定相続

    同父母の姉妹1人

    2分の1

    固定相続

    異父兄弟姉妹2人

    3分の1

    固定相続

     2-故人が、妻1人と同父母の姉妹2人と異母兄弟の息子1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    妻1人

    4分の1

    固定相続

    同父母の姉妹2人

    3分の2

    固定相続

    異母兄弟の息子1人

    残余分

    変動相続

     3-故人が、妻1人と同父母の姉妹1人と同父母の兄弟1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    4分の1

    固定相続

    同父母の姉妹1人

    残余分

    共同の変動相続

    (男女の相続の比率は2:1)

    同父母の兄弟1人

     4-故人がその後に、妻1人と娘1人と同父母の姉妹1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    妻1人

    8分の1

    固定相続

    娘1人

    2分の1

    固定相続

    同父母の姉妹1人

    残余分

    変動相続

    ⑩ 異母姉妹の相続分

    ● 異母姉妹の相続の状態:

     1-異母姉妹は彼女に兄弟姉妹がなく、かつ故人に直系卑属も直系男性尊属も同父母の兄弟姉妹もない限りにおいて、固定相続で遺産の2分の1を相続します。

     2-異母姉妹が2人以上おり、彼女たちに兄弟がおらず、また故人に直系卑属も直系男性尊属も同父母の兄弟姉妹もない限りにおいて、固定相続で遺産の3分の2を相続します。

     3-異母姉妹(単数複数を問わず)は彼女(たち)に兄弟がおらず、また故人に直系卑属も直系男性尊属も同父母の兄弟もないものの、固定相続で故人の遺産に対する相続権を持つ同父母の姉妹が1人だけ存在する限りにおいて、固定相続で遺産の6分の1を相続します。

     4-異母姉妹(単数複数を問わず)は彼女(たち)に兄弟があるか、あるいは直系女性卑属‐故人にとっての娘など‐がある場合、彼ら(あるいは彼女たち)と変動相続によって共同相続します。但し兄弟と共同相続する時は、男女の相続比率を2:1としなければなりません。

    ● 例題:

    1-故人が、母と異母姉妹1人と異父兄弟姉妹2人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    6分の1

    固定相続

    異母姉妹1人

    2分の1

    固定相続

    異父兄弟姉妹2人

    3分の1

    固定相続

    2-故人が、妻1人と異母姉妹2人と異母兄弟の息子1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    妻1人

    4分の1

    固定相続

    異母姉妹2人

    3分の2

    固定相続

    異母兄弟の息子1人

    残余分

    変動相続

    3-故人が、母と異父姉妹1人と同父母の姉妹1人と異母姉妹2人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    6分の1

    固定相続

    異父姉妹1人

    6分の1

    固定相続

    同父母の姉妹1人

    2分の1

    固定相続

    異母姉妹2人

    6分の1

    固定相続

     4-故人が、母と異母姉妹2人と異母兄弟1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    6分の1

    固定相続

    異母姉妹2人

    残余分

    共同の変動相続

    (男女の相続の比率は2:1)

    異母兄弟1人

    至高のアッラーは仰られました: -アッラーはあなた方に、あなた方の子供(の相続)に関して(このように)命じられる:男子には、(その姉妹である)女子の倍の取り分がある。・・・,(クルアーン4:11)

    5-故人が、夫と娘1人と異母姉妹1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    4分の1

    固定相続

    2分の1

    固定相続

    異母姉妹1人

    残余分

    変動相続

    ⑪ 異父兄弟姉妹の相続分

    ● 異父兄弟姉妹が共同相続する場合、男女の相続比率は通常見られるように2:1とはならず、1:1となります。つまり兄弟が姉妹の相続分を減少させることなく、均等に分配するのです。尚異父兄弟は例外的に、故人との間を女性(彼らの母親)に阻まれているにも関わらず、相続します。またこれまた例外的に、彼らよりも親等的に故人に近い位置にいる者‐つまり彼らと故人の母親‐の相続分を遮断して削減させます[4]

    ● 異父兄弟姉妹の相続の状態:

     1-異母兄弟姉妹は単独の場合、故人に直系卑属も直系男性尊属もない限りにおいて、固定相続で遺産の6分の1を相続します。

     2-異父兄弟姉妹が2人以上いる場合、故人に直系卑属も直系男性尊属もない限りにおいて、固定相続で遺産の3分の1を相続します。

     至高のアッラーは仰られました: -そして子供も親もない男性、あるいは女性が遺産を残す場合、その者に(異父)兄弟か姉妹が1人だけいるのなら、その者には(遺産の)6分の1の取り分がある。そしてもし(その異父兄弟姉妹が)2人以上であれば、彼らは3分の1を共同で受け取る。(そしてこれらの分配は)その者がした害悪のない遺言と(抱えていた)債務の清算後のことである。これこそアッラーのご命令。アッラーは全知かつ寛大なお方である。,(クルアーン4:12)

    ● 例題:

    1-故人が、妻1人と異父兄弟姉妹1人と、伯叔父(自分の父親と同父母の兄弟)の息子1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    妻1人

    4分の1

    固定相続

    異父兄弟姉妹1人

    6分の1

    固定相続

    伯叔父(自分の父親と同父母の兄弟)の息子1人

    残余分

    変動相続

    2-故人が、夫と異父兄弟姉妹2人と伯叔父(自分の父親と同父母の兄弟)1人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    2分の1

    固定相続

    異父兄弟姉妹2人

    3分の1

    固定相続

    伯叔父(自分の父親と同父母の兄弟)

    残余分

    変動相続

    3-故人が、母と父と異父兄弟姉妹2人を残して他界しました。

    相続人

    相続分

    備考

    6分の1

    固定相続

    6分の1

    +残余分

    固定相続

    と変動相続

    異父兄弟姉妹2人

    父の存在により

    相続権消失

    固定相続による相続人の諸事例

    ● 固定相続による相続人の事例には3種類あります:

     1-相続分の分割における共通項(分母)が相続人の取り分(分子)によってちょうど割り切れる形のもの:これは符号と呼びます。

    例題:故人が、夫と同父母の姉妹1人を残して他界しました。

    相続人

    相続人の

    相続率

    事例の

    基準分割数

    相続人の

    取り分

    備考

    2分の1

    2

    1

    固定相続

    同父母の姉妹1人

    2分の1

    1

    固定相続

     2-相続分の分割における共通項(分母)の方が、相続人の取り分の合計よりも大きいもの(つまり遺産の合計額の方が、相続人の取り分の合計よりも多いもの)。これは不足と呼びます。そして相続分の残余分は、夫婦以外の固定相続による相続者へと返還します。遺産が固定相続で分配しきれず、また変動相続によってそれを相続する者もいない場合は固定相続者がその相続率に応じて残余分の返還を受ける権利を得るのです。

    例題:故人が、妻1人と娘1人を残して他界しました。

    相続人

    相続人の

    相続率

    事例の

    基準分割数

    相続人の

    取り分

    備考

    妻1人

    8分の1

    8

    1

    固定相続

    娘1人

    2分の1

    7

    固定相続

    +残余分

    の返還

     3-相続分の分割における共通項(分母)の方が、相続人の取り分の合計よりも小さいもの(つまり遺産の合計額の方が、相続人の取り分の合計よりも少ないもの)。これは過剰と呼びます。

    例題:故人が、夫1人と異父姉妹2人を残して他界しました。

    相続人

    相続人の

    相続率

    事例の

    基準分割数

    相続人の

    取り分

    備考

    夫1人

    2分の1

    6

    7

    3

    固定相続

    異父姉妹2人

    3分の2

    4

    固定相続

     上記の図を見ても分かるように、このままだと相続分が相続人に等しく分割されません。そこで事例の基準分割数を6から7に増やし、妻には7分の3、異父姉妹2人には7分の4が行き渡るようにします。こうすることで、不足分が各人の相続率に応じて漏れなく行き渡るようにするのです。

    [1] 訳者注:ある特別な相続事例に関し、ウマル(彼にアッラーのお悦びあれ)が判断した相続の分割案のことです。詳細は下記を参照のこと。

    [2] 訳者注:こうすることで、母親が父親よりも多くの遺産を得ることになってしまう相続法上の矛盾はなくなります。例題①を例えに挙げてみると、この場合妻が固定相続の4分の1を取り、母親が固定相続の3分の1を取ってしまうと、(この場合は直系卑属の相続人がいないため)変動相続の形で相続することになった父親の取り分は2人の残余分である12分の5となってしまいます。これは故人から見て同親等にある男女の相続比率が2:1であるという基本法則に反してしまいますが、ウマルはこの問題を法的に矛盾のない形で見事に解決したのです。そしてこの例は以後彼に因んで、「ウマルの事例」と呼ばれるようになりました。

    [3] 訳者注:訳者注2及びこの章の「③母親の相続」を参照のこと。

    [4] 訳者注:通常はその逆で、より故人から近い位置にある相続人が、より遠い位置にある者の相続分を遮蔽します。

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