特別な状況下のサラー(礼拝)

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ここで取り上げる特別な状況下にある者とは:①病人、②旅行者、③通常の形のサラーを行うことの出来ないような危険に晒されている者、のことです。慈悲深いアッラーはこの類の者たちにサラーの報奨を禁じられることもなく、またその困難を取り除いて物事を容易になされました。そして彼らがスンナで示された形に則って、可能な範囲内でサラーを行うように命じられたのです。

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⑭特別な状況下のサラー(礼拝)

     ここで取り上げる特別な状況下にある者とは:①病人、②旅行者、③通常の形のサラーを行うことの出来ないような危険に晒されている者、のことです。慈悲深いアッラーはこの類の者たちにサラーの報奨を禁じられることもなく、またその困難を取り除いて物事を容易になされました。そして彼らがスンナ[1]で示された形に則って、可能な範囲内でサラーを行うように命じられたのです。

 

1-病人のサラー

     病人のサラーの形式:

1-本来病人でも義務のサラーは立って行わなければなりませんが、もしそれが出来なければ胡坐をかいて、あるいはタシャッフド[2]の際の座位姿勢のまま行います。そしてルクーゥ(お辞儀の形の礼拝動作)やサジダ(伏礼)の際には、その都度状態を前方に屈めます。それが出来ない場合は、ただ単に頭でルクーゥやサジダの身振りをするだけに留めます。そしてもし座位姿勢でサラーするのも困難であれば、顔をキブラ[3]に向けて体の右側を下にして横になります。もしそれが大変であれば、体の左側を下にします。もしそのどちらも出来ないようであれば、両足をキブラに向けて仰向けになってサラーします。もしそれすらも出来ないようなら、出来る限り楽な姿勢でサラーを行います。その際頭でもってルクーゥやサジダをする身振りをし、サジダの際にはルクーゥよりも深く頭を動かすようにします。理性がある限り、サラーの義務は免じられることはありません。ゆえにスンナで示されているように、サラーを可能な範囲内で行うようにします。

2-病人もまた健常者同様、サラーにおいてキブラの方向を向かなければなりません。もしそうすることが出来ない場合は、最も無理のない状態でいずれかの方向を向きます。尚病人が手足の先のジェスチャーや指のサインでサラーの各動作を表すことは有効ではなく、前述した通りのスンナに沿った手法で行わなければなりません。

 至高のアッラーはこう仰られました:-ゆえに可能な限り、アッラー(のお怒りと懲罰を招くような事柄)から身を慎むのだ。そして(かれの命を)謹聴し、(かれに)従い、施すのだ。それがあなた方にとって最善なのであるから。そして自らの吝嗇から身を慎む者こそは、真の成功を掴む者なのである。,(クルアーン6416

 ウムラーン・ブン・フセイン(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私には痔があったので、サラーについて預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)に尋ねたところ、彼はこう言いました:“立ってサラーせよ。もしそれが出来なければ座って、そしてもしそれも出来なければ横になって行うのだ。”(アル=ブハーリーの伝承[4]

ウムラーン・ブン・フセイン(彼にアッラーのご満悦あれ)には痔がありましたが、彼は言いました:「私はアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)に、サラーを座って行うことについて尋ねました。するとはこう言いました:“立ってサラーするのならそれが最も良い。座ってサラーする者には、立ってそうする者の半分の報奨があろう。そして横になってサラーする者には、座ってそうする者の半分の報奨があろう。”(アル=ブハーリーの伝承[5]

 

     病人の体の清め方:

病人は健常者同様、サラーをするにあたって水で体を清めなければなりませんが、それが出来なければタヤンムム[6]を行います。そしてタヤンムムすらも出来ないようであれば体を清める義務は免じられるので、その状態のままサラーします。

 

     病人のサラーに関する法的見解:

1-病人が座位姿勢でサラーしている最中に起立やサジダすることが可能になった場合、あるいは横になってサラーしている最中に座ることが出来るようになった場合などにおいては、その可能になった体勢に移行します。というのもそれが彼にとっての新たな義務として生じたからです。

2-起立することが可能でも、信頼のおける医者にそう勧められたのなら、病人は仰向けなどの起立以外の状態でサラーを行うことが許されます。

3-ルクーゥとサジダは出来なくとも、起立と座位姿勢は取ることの出来る病人は、起立姿勢でルクーゥの身振りをし、座位姿勢でサジダの身振りをするようにします。

4-サジダが出来ない場合、座った姿勢でルクーゥやサジダを行います。そしてその際両手を両膝の上に置き、サジダの動作をルクーゥのそれよりも深めに行うようにします。そして額を枕などの上に載せないようにします。

 

     病人が2つのサラーをジャムゥ[7]出来る場合:

病人や障害者などが各サラーを定刻通りに行うことが困難な場合、ズフル(正午過ぎのサラー)とアスル(午後遅くのサラー)をどちら一方の時間帯に、またマグリブ(日没直後のサラー)とイシャー(夜のサラー)をどちらか一方の時間帯にまとめて行うことが出来ます。

     サラーにおける困難とは、フシューゥを消失させてしまうような物事のことです。そしてフシューゥとは、心が込められている、静粛な状態のことを指します。

 

     病人がサラーする場所:

モスクに行くことが出来る病人は、モスクに赴いてサラート・アル=ジャマーア(集団礼拝)に参加する義務があります。そして可能なら立ってサラーをし、もしそうするのが困難であるなら自分にとって可能な体勢のまま人々と共にサラーします。

もしモスクに行けない場合は、その場でサラート・アル=ジャマーアに参加します。もしそれが困難なら、自分にとって可能な体勢のまま単独でサラーします。

 

     病人と旅行者の行いに関して:

偉大かつ荘厳なるアッラーは病人と旅行者に対して、病人が健康な時に常に行っていた行い(任意のサラーやサウムなど)と、旅行者が定住していた時に常に行っていた行いを、あたかもその両者が今でもその行いを行っているかのように記録されます[8]

アブー・ムーサー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“しもべが病に罹ったり旅行に出たりしても、彼が健康な時、あるいは定住状態にあった時に(習慣的に)行っていた行いと同様のものが記録されよう。”(アル=ブハーリーの伝承[9]

 

2-旅行者のサラー

 

     旅行とは:定住の地を離れることです。

     旅行においてサラーが短縮[10]され、かつジャムゥ[11]が許されるのは、イスラームの美点の1つでしょう。というのも大方の場合旅行には困難が付き物であり、そしてイスラームは慈悲と易しさの教えであるからです。

ヤァラー・ブン・ウマイヤは言いました:「私はウマル・ブン・アル=ハッターブに、こう言いました:“-それで不信仰の輩があなた方を試練にかけることを恐れるのなら、サラー(礼拝)を短縮しても問題はない。,(クルアーン4101)。そして(今や)人々は安全な状態になりました!(それなのにまだサラーの短縮は存在しています)”すると(ウマルは)言いました:“私自身、あなたが驚いたのと同じことに関して驚いている。”(ウマルは言いました:)“それで私はアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)に、そのことを尋ねました。すると、彼はこう言ったのです:「それ(サラーの短縮)は、アッラーがあなた方に対してお恵みになられた1つのサダカ(施し)である。ゆえにそのサダカを受け取るのだ。」”(ムスリムの伝承[12]

 

     サラーの短縮とジャムゥに関する法的見解:

1-旅行中のサラーの短縮は安全な状態であろうと危険を感じていようと、スンナ・ムアッカダ(義務ではないが非常に推奨された行為)です。短縮とは具体的に4ラクアの礼拝(ズフル、アスル、イシャーの3つのサラー)を2ラクアに短縮するということで、これは旅行中以外には許されません。尚マグリブとファジュルの礼拝は決して短縮されることはありません。

一方ジャムゥは旅行中にせよ定住中にせよ、ジャムゥをすべき要因が出現したらズフルとアスル、及びマグリブとイシャーをいずれかの時間帯にまとめて行います。

 2-旅行に出たら徒歩や乗り物、陸路や海路や空路などの手段や経路を問わず、4ラクアのサラーを2ラクアに短縮することがスンナです。そして必要なら、旅行が終了する時まで時間帯が連続した2つのサラーをいずれかの時間帯にまとめて行うことがスンナなのです。

 アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「サラーが最初に義務付けられた時には、(全て)2ラクアでした。そして(その後)旅行中のサラーがそのままの形で確定し、定住中のサラーが(4ラクアに)完遂されたのです。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[13]

     一般に旅行と名付けられるものには全て、旅行の特別規定‐①サラーの短縮、②ジャムゥ、③サウム(斎戒)の解除、④靴下の上を撫でること[14]‐が適用されます。

 

     旅行者にはどの時点から旅行の特別規定が適用されるか?

旅行者は自分の町の居住地域から離れた時点で、サラーの短縮とジャムゥを開始します。旅行に特定の距離規定があるわけではなく、常識において旅行と見なされるもの全てに旅行における特別規定が適用されます。

ゆえに旅行に出た後に完全な形の居住や居留を意図しない限り、その者は旅行者と見なされ、自分の町に帰るまで旅行の特別規定が適用されます。

     旅行におけるサラーの短縮はスンナです。そして旅行にある限り常にサラーを短縮しますが、もし短縮せずに完遂してしまってもサラーは有効と見なされます。

 

     定住者のイマームに率いられて行う旅行者のサラー:

1-定住者のイマームに率いられて旅行者がサラーする場合、イマームに従ってそれを完遂します。一方定住者が旅行者のイマームに率いられてサラーする場合、旅行者は本来4ラクアのサラーを2ラクアに短縮し、定住者はイマームのタスリーム[15]の後に4ラクアまで完遂することがスンナです。

2-旅行者が定住者のイマームとして本来4ラクアのサラーを導く場合、2ラクアを終了してタスリームしてから、「私たちは旅行者です。サラーを完遂して下さい」というのがスンナです。

 

     旅行中の任意のサラーに関する法的見解:

旅行中はアッ=スナン・アッ=ラーティバ[16]を行わないのがスンナですが、タハッジュド[17]ウィトル[18]、ファジュルの前の2ラクアはその限りではありません。

一方旅行中であれ定住中であれ、それ以外の任意のサラーはいつでも行うことが出来ます。同様にウドゥー[19]をした後のスンナの2ラクアや、タワーフ[20]の後のスンナの2ラクア、タヒイヤト・アル=マスジド[21]ドゥハーのサラー[22]など何か他の原因に関連付けられたサラーも行うことが可能です。

 

     5つの義務のサラー後にズィクルすることは、性別や旅行者か定住者であるかなどを問わず、スンナです。

 

     常に旅行状態にある者に関する法的規定:

飛行機のパイロットや車の運転手、船や電車の操縦士など常に旅行状態にある者は、旅行の特別規定‐①サラーの短縮、②ジャムゥ、③サウム(斎戒)の解除、④靴下の上を撫でること‐を適用することが出来ます。

 

     旅行から帰った時にすること:

旅行から帰ったらまずモスクに寄り、2ラクアのサラーをすることがスンナで??

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