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ここではイスラームで厳しく禁じられているリバーについて、その意味、法的位置づけ、種類などをご説明します。

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4リバー

 

     財産に関する法規定には3種類あります:

つまり①公正と、②好意、③不正のことです。

そして①公正とは売買取引、②好意とはサダカ(施し)、③不正とはリバーやそれに準ずる物事のことなのです。

     リバーとは:リバーが発生する売買取引における利益の増加のことです。

 

     リバーの法的位置づけ:

1-リバーは大罪[1]1つで、全ての天啓宗教において非合法とされてきました。というのもそれには以下に挙げるような諸々の大きな害悪が伴うからです:

     人々の間に敵意や憎悪が生じること。

     貧者の財を出しにして財の増大化すること。

     困窮者に対する不正。

     富者の貧者に対する抑圧。

     サダカ(施し)や善行を妨害すること。

     利己主義による心の硬化と吝嗇による、人間に対する同情心の消失。

     精神的重圧。

     金銭崇拝主義。

 至高のアッラーはこう仰られました:-リバーを貪る者は(審判の日に墓から)蘇らされる時、シャイターンによって気が触れさせられた者のように躓きながらでしか進むことが出来ない。それというのも彼らは(現世で)「売買はリバーのようなものだ」などと言っていたからである。アッラーは売買を合法化され、リバーを禁じられたのだ。ゆえに主からの戒めを耳にした後にそれを放棄する者は、以前(リバーによって得た物)のことを問われないであろう。そしてそのことについての裁決は、アッラーのみが下されることである。しかし(リバーについての規定を知った後に及んで)それを止めない者は、それこそ地獄の業火に永遠に留まる者なのである。,(クルアーン2275

 2-リバーは他人の財を偽って貪ることであり、人々が必要とする勤労や商売、生産的行為などを停滞させてしまいます。というのもリバーを貪る者は人々を益する商売や福利をそっちのけにして、何の労苦もなく財を獲得するからです。そしてリバーを貪る者は1人の例外もなく、貧困という結末を見る目に遭うのです。

 

     リバーに対する懲罰:

リバーは罪の中でも最悪のものに属します。偉大かつ荘厳なるアッラーはそれを貪る者やその原因をもたらした者に対し、戦いを宣言されました。

1-至高のアッラーはこう仰られました:-信仰者よ、あなた方がイーマーン[2]の徒であるというのならアッラー(のお怒りや懲罰の原因となること)から身を慎み、まだ残っているリバーを完全に放棄するのだ。そしてそうしないというのなら、アッラーとその使徒との戦いを覚悟せよ。もし悔悟するのなら、あなた方には元金を手にする権利がある。あなた方は(貸す際には)不正を働くこともなく、(借りる場合には)不正を被ることもないのだ。,(クルアーン2278279

2ジャービル(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)はリバーを貪る者とそれを利用する者、またその(契約の)筆記者とその(契約に立ち会った)2人の証人を呪われました。そして(預言者は)こう言ったのです:“それらは皆同罪である。”(ムスリムの伝承[3]

3-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“「7つの大罪を避けよ。”(教友たちは)言いました:“アッラーの使徒よ、それは何のことでしょうか?”すると(預言者は)言いました:“アッラーに対するシルク[4]。リバーを貪ること。孤児の財産に不当に手を付けること。戦場からの逃亡。無実なムフサン[5]の婦人の貞節に関する名誉毀損。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[6]

 

     リバーの種類:

1-遅延のリバー:つまり売る側が掛売りにおいて、買う側の支払いの遅延を理由に要求する余分な料金のことです。例えば現金30000円を譲渡し、1年後に33000円を返却する契約などがこれにあたります。

またこれと同種のものとして、債務の返済が困難な状況にある者に対して債務額を付加していく形もあります。それはつまり債権を有する相手に対して、支払いの期日が来たら「債務を返済しますか?それとも債務を付加しますか?」などと言い、もし返済しなければ支払期日を延長する一方で債務額にも付加し、自らの債権額を増加させていくという方法です。

これこそがイスラーム以前の無明時代に存在していた本来のリバーの形であり、偉大かつ荘厳なるアッラーはそれを禁じられました。そもそも債務の返済に困っている者には猶予を与えてやらなければなりません。このような形のリバーはその害悪の甚大さゆえ、最も危険性の高いものです。

       至高のアッラーはこう仰られました:-信仰者よ、リバーを増やしに増やして貪ってはならない。あなた方が真の成功を得るように、アッラー(のお怒りや懲罰の原因となるようなこと)から身を慎むのだ。,(クルアーン3130

       至高のアッラーはこう仰られました:-そしてもし(債務者が)厳しい状況にあったら、状況が改善するまで猶予を与えてやるのだ。しかしもし(債務を)施して(免除して)やるのなら、それがあなた方にとって最善であろう。もしあなた方がこのことを知っていたのなら。,(クルアーン2280

またこの種のリバーと同様のものに、次に言及される「過分のリバー」発生の原因と成り得る種類の物同士‐例えば金と金、小麦と小麦など‐を取引し、その受領時期を両方とも、あるいは片方だけ遅延させる形があります。またこれらの種類の物の内、互いに異なる種類の物同士の取引において受領時期を遅延させても同様にリバーが生じます。

2-過分のリバー:これは同種の貨幣同士や、同種の食べ物同士などを、量や質が不均等な状態で取引することです。これは禁じられており、イスラーム法源テキストの中ではこの種のリバーが発生する6つの種類の物が言及されています。

ウバーダ・ブン・アッ=サーミト(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“金と金、銀と銀、小麦と小麦、大麦と大麦、ナツメヤシの実とナツメヤシの実、塩と塩。(これらの物同士の取引の際には)同量同質の物を同量同質の物で、かつ手渡しで(行わなければならない)。そしてもしこれらの種類が互いに異なったら、その時は手渡しを条件に(量や質の均等にとらわれず)望むままに取引するのだ。”」(ムスリムの伝承[7]

 

     過分のリバーが生じ得る他の物:

上記の6種の物と同様の性質を有する物は、全て過分のリバーが生じ得ます。

例えば金銀の性質は「金額」であり、他の4つは各々「容積による計量によって量られる食物」あるいは「重量によって量られる食物」です。

そもそも「容積による計量」はマディーナの計量器、「重量による計量」はマッカの

計量器を使用しますが、それがなければ現行の測量機器を用いて重さを計量します。

また過分のリバーが発生し得る物には全て、遅延のリバーも発生し得ます。

 3-貸与に関するリバー:誰かに何かを貸し、それよりも良い物を返済するよう条件付けたり、あるいはその行いの見返りに何らかの利益‐例えばその者の家に1ヶ月住まわせることなど‐を条件付けたりすることです。これもまた非合法ですが、但し条件付けることなしに借りた側が自発的に、貸してくれた側に何らかの利益や贈り物などをすることは合法であると同時に、報奨が期待できる行為です。

 

     過分のリバーに関する法規定:

1-リバーが発生する同一種類の物同士を取引する場合、量や質の不均等と受領の遅延は禁じられます。

例えば金と金、あるいは小麦と小麦の取引を正しい形とするには、両方の量と質の均等性と、その場での受領が条件付けられます。というのもそれらは種類と性質において同一であるからです。

2-過分のリバーが発生し得る性質において同一である一方、互いに異なった種類の物を取引する際には受領の遅延は許されませんが、量と質の均等性は条件付けられません。

ゆえに金と銀、または小麦と大麦を取引する場合などは、その場で受領することを条件に、量や質の均等を無視して望むように取引することが出来ます。というのもそれらは種類においては異なっていても、性質においては同一であるからです。

3-リバーが発生し得る種類の物であっても、種類と性質の異なった物同士の取引をする場合、受領の遅延も量や質の不均等も許されます。

例えば食物と銀、または食物と金などの取引においては、受領の遅延をしても、またはどちらか一方の量や質に格差があったりしても、問題ありません。というのもそれらは種類と性質において異なっているからです。

4-そもそもリバーが発生し得ない種類の物で、互いに異なる物同士を取引する場合、受領の遅延も量や質の不均等も許されます。

例えばラクダ1頭とラクダ2頭、あるいは衣服1着と衣服2着などの取引では受領の遅延をしても、またはどちらか一方の量や質に格差があったりしても、問題ありません。

     同種類でも違った形の物同士を取引する時には、その性質が同じ類でなければなりません。例えば熟れたナツメヤシの実と乾燥したそれは互いに取引できませんが、それは熟れた実は乾燥すれば減量するからであり、その結果禁じられている「量の不均等」が発生するからです。

 

     金製品の取引に関して:

金あるいは銀製品をその同種類の物(金、あるいは銀そのもの)と取引する場合は、例え片方に工芸や装飾細工が施してあったとしても、互いの量と質が均等でなければなりません。もしそうしたい場合には自分の所有する物を一旦売却し、それから金あるいは銀製品を購入するようにします。

 

     銀行の利子に関して:

今日通常の銀行が貸し付けの際に取る利息、及び預金の際に支払う利息はリバーであり、禁じられています。いかなる者もこのような財を利用することは許されません。そしてこのような財は放棄することが義務付けられます。

 

     リバーに関連する業務を取り扱う銀行に預金することに関して:

1-そもそも預金や送金などの必要が生じた場合、ムスリムはイスラーム銀行を利用しなければなりません。しかしもしイスラーム銀行の利用が叶わない場合、その必要があれば非イスラーム銀行を利用して預金したり送金したりすることが許されます。但し預金する時は利息を受け取ってはならず、送金の際にもイスラーム法に抵触しないことが条件となります。

2-ムスリムは、リバーを取り扱う銀行や組織のために就労することを禁じられます。そのような所で得る取得は非合法であり、来世での懲罰の原因となります。

 

     リバーによって得た財をいかに放棄するか?

リバーは最も大きな罪の1つです。

もし偉大かつ荘厳なるアッラーがリバーを利用した者に財を与えられ、その後その者がかれに自分の過ちを悔悟し、そして手元にリバーを用いて得た財が残った場合、2つの状況が考えられます:

1-リバーが、まだ取得していない債務の形で他人に課せられている状態。この場合その者は元金だけを自分の物とし、リバーによる増加分は放棄します。

2-リバーを既に取得してしまっている状態。このような場合、その者はリバーで得た利益を返還したり自分で利用したりはしません。というのもそれは邪悪な物であるからです。

既に所得してしまったリバーによる利益は施しに用いたり、あるいは何か有益な事業‐道路の舗装や照明設備、トイレの設営など‐に用いたりして放棄するようにします。

 

     動物の売買に関して:

生きている間であれば、動物の売買にリバーは発生しません。量ではなく、数によって計られる物も同様です。ゆえに1頭のラクダと2頭、あるいは3頭のラクダを交換取引することは許されます。

但し容積や重量で量られる物にはリバーが発生します。それゆえ牛肉1kgと牛肉2kgは交換取引することが許されません。一方牛肉1kgと鶏肉2kgのように異なった種類の物同士であれば、その場で手渡しをすることを条件に交換取引することが出来ます。

     金は資産として所有することが出来ます。また価格が下降した時には購入し、上昇した時には売却する、といった風に利益目的に用いることも可能です。

 

     両替と紙幣に関して:

両替とは:同種類であるかどうか、金銀か現行の紙幣であるかを問わず、貨幣を貨幣でもって売買することです。

紙幣はその貨幣価値としての性質ゆえ、金銀と同様の扱いとなります。

     金と金のように同種の貨幣、あるいは日本円と日本円のように同種の紙幣や貨幣同士を売買する時はあくまで同額でなければならず、かつその場で手渡しの取引をしなければなりません。

     また金と銀のように異種の貨幣、あるいは日本円と米ドルのように異種の紙幣や貨幣同士を売買する時は同額である必要はありませんが、その場で手渡しの取引することは条件付けられます。

     両替する者同士が取引する対象の一部さえ手渡して別れれば手渡した分の取引は完了しますが、手渡されなかった残りの分の取引は無効となります。例えば100米ドルを12000日本円に両替してもらおうとしたのに両替者が6000円しか持ち合わせておらず、それで6000円だけ受け取って別れた場合、互いにその場で受領した分の取引は成立しますが、残りの6000円は両替者の信用として残ります。

 


[1] 訳者注:「大罪(カビーラ)」とは、それに対し現世において刑罰が適用されたり、あるいはそれを犯すことで来世において地獄を警告されていたり、またアッラーのご慈悲からの放逐やかれのお怒りを招くこととされているものです。例としてはシルクや殺人、ズィナー(姦淫)や魔法、リバー、親不孝、嘘の誓いなどがあります。

[2] 訳者注:詳しくは「タウヒードとイーマーン」の章の「イーマーン」の項を参照のこと。

[3] サヒーフ・ムスリム(1598)。

[4] 訳者注:詳しくは「タウヒードとイーマーン」の章の「シルク」の項を参照のこと。

[5] 訳者注:「ムフサン」とは男女の別なく、成人ムスリムで精神的に健常な自由民で、婚姻の経験(つまり合法的な性交渉の経験)があり、慎ましく放縦ではない者のことです。

[6] サヒーフアル=ブハーリー(2766)、サヒーフ・ムスリム(89)。文章はアル=ブハーリーのもの。

[7] サヒーフ・ムスリム(1587)。

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