7 - スーラトルアアラーフ ()

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(1) アリフ・ラーム・ミーム・サードについては、雌牛章の初めに説明の通りである。

(2) 使徒よ、クルアーンは、アッラーがあなたに降ろされたものだ。だからあなたはそれについて心配も疑念もいらない。それは人びとに警告するためであり、証明するためである。そして受益する信者たちには、思い起こさせるためである。

(3) 人々よ、あなた方は主(アッラー)から啓示された書と預言者たちの慣行に従いなさい。そして悪魔や悪い学者たちであなた方が擁護者だと思った人びとの欲望に従ってはいけない。かれらの後を追い、またしばし自らの欲望に従うために、降ろされた啓示を忘れることになるのだ。あなた方は、ほとんど留意しない。もし留意していたならば、真実以外を好むことはないし、使徒がもたらしたところに従って行動し、それ以外は放置したであろう。

(4) われらは不信仰と過ちに固執している、どれほど多くの町を厳しい懲罰として滅ぼしてきたことか。それはかれらが夜や昼に寝ている間に、襲いかかったのだ。かれら自身は何もできず、またかれらが言い張る神々も、かれらを守るためには何もできなかった。

(5) 懲罰がかれらを襲ったとき、かれらはただ、本当に不信仰によって不正をしてきたと認めるだけだった。

(6) それから復活の日、われらは使徒が遣された人びとに、使徒にどう対応したかについて質問する。また使徒たちにも、伝達するように命じられた、その伝達ぶりに関して質問する。それから人々の対応ぶりについても。

(7) われらは、現世で人々が何をしたかについて、その知識より各自に知らせる。そのために、かれらが何をしていたかについて、すべてその知識を持っている。欠ける所はないのだ。何時であれ、かれらの所業について無関心ということはないのだ。

(8) その審判の日の計量は、公正であり、一切の不正はない。そして善行の秤が悪行のよりも重い人は、欲しかったものを得る成功者で、恐れていたものから逃れるのだ。

(9) また悪行の秤が善行のそれより重い人は、自分自身を損なった者だ。復活の日、かれらは、自分の言動のために破滅させられる。アッラーの印を拒否したので、そうなるのだ。

(10) アーダムの子孫よ、われらはあなた方を地上においてしっかり定住させ、生計の道を授けた。あなた方は感謝すべきところを、ほとんど感謝しないのだ。

(11) 人々よ、確かに地上においてわれらは、あなた方の祖であるアーダムを最善の形と姿に創造した。それから天使たちに向かって、敬意を表するためにアーダムに平伏しなさいと言った。するとかれらは、倣って平伏した。ただしイブリース(悪魔)だけはその傲慢さと強情さによって、平伏することを拒否した。

(12) アッラーはイブリースに非難して言った。わたしがあなたにアーダムに対して平伏するよう命じたとき、あなたその通りにしなかったのはどうしてか?かれは答えて言った。わたしはかれよりも優れているからだ。あなたはわたしを火から創造したが、かれを土から創造した。火の方が、土よりも誉れ高いのだ。

(13) アッラーは言われた。楽園から落ちて行け。あなたはここで高慢であってはならない。ここは、清浄で善良な人びとのいる所だ。だから出て行け。イブリースよ、あなたは、自分がアーダムよりも誉れ高いと思っても、本当に恥ずべき卑しい者だ。

(14) イブリースは言った。主よ、復活する日まで、わたしに時間を下さい。そうすればわたしは、できる限り人びとを迷わせるのだ。

(15) アッラーは言われた。イブリースよ、あなたは全員が死ぬこととなる、第一のラッパが鳴る日まで猶予される一人となった。そうして創造主だけが、残るのである。

(16) イブリースは言った。アーダムに対して平伏するようにとのあなたの命令に従わないので、わたしを迷わせたから、わたしはあなたの正しい道の上でアーダムの子孫を待ち伏せて、かれらをそれから逸脱させるのだ。ちょうどあなたがわたしをかれらの父であるアーダムに平伏しないで迷わせたように。

(17) そしてわたしはかれらの前後左右から襲う。それは、来世を無視し、現世に欲を持ち、疑念を生じて、欲望を是認するものである。主よ、あなたはかれらの多くがあなたに感謝していないことに気付くだろう。それは、わたしがかれらを不信仰に引き入れたからだ。

(18) アッラーは言われた。イブリースよ、アッラーの慈悲から恥をさらし追われて出て行け。復活の日、われは確かにあなたとあなたに従って、主の命令に逆らった人全員で、地獄を満たすだろう。

(19) アッラーは言われた。アーダムよ、あなたとあなたの妻ハウワーゥは楽園に住みなさい。そしてあなた方は何でも好きに食べるのがよい。ただしこの定めた木からは食べないように。この命令の後から食べるとすると、それは二人共、則を犯す者となるのである。

(20) するとイブリースは、隠れていた恥ずかしいところを両人にあらわにするため、ささやいた。かれは言った。あなた方の主が、この木から食べるなと言ったのは、あなた方が天使になり、また楽園で不死の者にならないためだ。

(21) そしてかれはかれらに誓った。アーダムとハウワーゥよ、本当にわたしは、あなた方にするように示唆したことに鑑みて、誠実な助言者であると。

(22) このようにかれは、両人を欺瞞と錯誤によって堕落させた。そしてかれらがこの禁じられた木から食べると、かれらの恥ずかしいところが両人にあらわになった。そしてかれらは楽園の葉で、かれら自身を覆い始めた。そこでかれらの主は、両人に呼びかけた。われはこの木から食べることを、あなた方に禁じなかったか。またわれは悪魔があなた方両人の、明らかな敵だと警告しなかったか。

(23) アーダムとハウワーゥは言った。わたしたちの主よ、わたしたちは禁じられたその木から食べたことで自分自身を欺いた。もしあなたがわたしたちの罪をお赦しにならず、慈悲を与えてくださらなければ、わたしたちは現世と来世において立場もなくて、失敗者になってしまうでしょう。

(24) アッラーは、アーダムとハウワーゥとイブリースに言った。楽園から地上に落ちて行きなさい。あなた方は、互いに敵となるでしょう。あなた方は、地上において定められた間は、生活を享受して住めるでしょう。

(25) アッラーは、アーダムとハウワーゥとかれらの子孫に言った。地上では、あなた方はアッラーが定められた期間は生き、そして死に埋葬され、また墓から復活の時、外へ出されるでしょう。

(26) アーダムの子孫よ、われらはあなた方の恥ずかしいところを覆う必要のため、また装飾として、衣装をあなた方にもたらした。しかしアッラーの命令に従い、禁じられたことは回避する、篤信さという衣装こそ、物質的な衣装よりもっと善い。これはアッラーの能力を示す印のひとつであり、その恩恵を思い起こし、それに感謝するためである。

(27) アーダムの子孫よ、悪魔があなた方を迷わせて、背信が美しいと思わせ、恥ずかしいところを隠す衣装を剥ぎ取ったりするようになってはいけない。それは篤信の衣装を脱ぎ捨てることである。あなた方の両親(アーダムとハウワーゥ)が楽園から追い出されたが、木から食べてはいけないのを、それをいいことと勘違いさせられたからだ。あなた方は悪魔に惑わされてはいけない。実に悪魔とその一味は、あなた方を見て、観察している。しかしあなた方はそうではない。だからかれらに用心しなさい。われらは悪魔を、不信仰者の援護者としたのだ。信仰し、善行に勤しむ者には、悪魔は対抗しようがないのだ。

(28) 多神教徒たちは、多神崇拝や巡礼でカアバ殿を裸で巡回するといった、厳しく禁じられた行為をするとき言う。わたしたちは先祖がこれを行なうのを見た、そしてアッラーがこれをわたしたちに命じたと。ムハンマドよ、言いなさい。アッラーは、背信行為は命じられず、むしろそれは禁じられるのだ。あなた方は、アッラーについてどうしてそのようなことを口にできるのか。多神教徒たちよ、あなた方はアッラーに対して、知らないことで嘘をつき、中傷するのか。

(29) ムハンマドよ、かれら多神教徒たちに言いなさい。わたしの主は、公正を命じ、わいせつ行為や邪悪は命じられない。そしてどこであれ、特にマスジドでは、かれに服従の儀礼を払い、至誠の信心を尽くしかれを呼ぶように命じられた。かれがあなた方を最初に無から創ったと同様に、あなた方は生きて戻る。つまり初めの創造も可能であれば、その生き返り、つまり復活も可能なのだ。

(30) アッラーは、人びとを二つのグループに分けられた。ある一団は導き、導きの原因を容易なものとされ、また障害物を取り除かれた。またある一団には、真理から離れて迷いを必然とした。かれらはアッラーではなく悪魔を擁護者としたので、無知に引きずられて、自分たちは正しく導かれていると考えたのだ。

(31) アーダムの子孫よ、いつも礼拝や巡礼の巡回のときは、恥部を隠す衣服を身に付けなさい。清潔で清浄な衣装を身につけなさい。そして飲食するにしても、アッラーが許された善いものを口にしなさい。中庸を守り、許された範囲を越して、禁じられた範囲に入ってはいけない。真にアッラーは、中庸の限度を超える人びとを好まれないのだ。

(32) 使徒よ、多神教徒たちはアッラーが許された衣類と善い飲食物などを禁じた。かれらに言え。あなた方を飾る衣服を禁じたのは誰か?またアッラーが恵まれた善い飲食物などを禁じたのは誰か?使徒よ、言え。これらは、現世において信仰する人びとのためのものだ。そしてたとえそれ以外の人びとが加わるとしても、復活の日には信者たちが専有するものである。つまり不信仰者には、それらはないのだ。楽園は不信仰者には閉じられているから。アッラーは、このように理解ある人びとにその印を解明する。というのは、かれらこそそれから受益するものだからだ。

(33) ムハンマドよ、アッラーが許されたものを禁じる多神教徒たちに言え。アッラーが禁じたことは、表に現れていようが隠れていようが、醜行な罪で破廉恥な行為であり、またすべての背信行為、人びとへの生命や財産や尊厳上の不当な迫害、アッラーが何の権威も授けていないものを同位に配すること、そしてアッラーについて、何の知識もないのに、その美称や属性や行為や法規範に関して、あなた方が口にすることである。

(34) 各世代には定められた期限がある。だからその期限が来れば、一刻も遅らすこともできず、早めることもできない。

(35) アーダムの子孫よ、あなた方の間から使徒たちが来て、あなた方にわたしの書板からの啓示を語ったら、それに倣いなさい。それに従いなさい。アッラーを意識して命令に従い、禁じられたことを避け、善行に努める人には、復活の日には恐怖もない。また現世の快楽で逃したことに悲哀もない。

(36) 一方、われらのを嘘呼ばわりし、信仰しない不信仰者たちは、使徒たちがもたらしたものに従って行動するのに対して、威張って高慢な人で、地獄の火の人びとであり、かれらはその中にまんじりともせずに永遠に住むのである。

(37) アッラーに対して嘘をつき、かれに同列者を配し、欠陥があると言ったり言わないことを言ったとし、あるいは正しい道に導いてくれる荘厳なかれの印を拒否するよりも、不正な人がいるだろうか。かれらは書板にある現世での分け前を受け取り、やがて死の天使とその補佐たちがその元に来て、魂を召すのだ。そして天使たちは、不信仰者を非難して言う。アッラーの他にあなた方が呼んでいたもの(多神)は、どこにいるのか。益するために、かれらを呼んだらどうだ。不信仰者は天使たちに言う。かれら(多神)は、わたしたちを置いてきぼりにし、いなくなったので、どこにいるのか分からない。こうして不信仰者であったと、自ら認める。しかしそのように認めても、かれらの利益に反するものであり、何も益をもたらさないのだ。

(38) 天使たちは言う。多神教徒たちよ、地獄の火の中で、不信仰と迷いにあったあなた方以前に去ったジンと人間の一団に加われ。毎回ある一団が地獄の火に入るたびに、先行した仲間の一団を呪う。そして全員その中で追いついて集合すると、最後の一団は最低で後ろについて回るだけだが、高慢で威張り屋の最初の一団について言う。わたしたちの主よ、かれらがわたしたちの道を美化して導きの道から迷わせたので、倍の地獄の火の苦痛を与えるように。かれは言う。それぞれに倍の苦痛があるが、あなた方はそれを知らずに認識していないだけなのだ。

(39) また指導的で従われていた初めの一団は、従ってきた最後の一団について言う。従者たちよ、あなた方に、苦痛を軽減するような、わたしたちよりも善いところはないのだ。だから、自らが稼いできたことに対する苦痛を味わえ。過ちに従ってきたことについての言い訳はないのだ。従う者たちよ、だから私たちと同様の苦痛を味わえ。自らの不信仰と不服従で稼いできたものに鑑みて。

(40) われらの明瞭な印を嘘呼ばわりし、それに歯向かい高慢であった人びとは、すべての善いことを失うのだ。かれらの不信仰のために天の門は開かれず、死んでもその魂にも開かれず楽園には入らない。最大の獣であるラクダが、最小のものである針の穴を通ったとしても入らないが、そんなことは元々不可能である。だから上述の楽園に入るなどと言うことは、不可能なのだ。アッラーは、罪の深い人には、このように報われるのだ。

(41) 嘘つきで高慢な人びとには、地獄がかれらの寝床であり、上には幾重にも重なる火の覆いがある。われらはこのように、不信仰と背反でアッラーの定めを逸脱するような人びとに報いるのだ。

(42) でも信仰して最大限の善行に励む人は、われらは誰にも能力以上の重荷を与えない。かれらは楽園の人びとで、その中に永遠に住むのである。

(43) 楽園での最良の安楽として、アッラーはかれらの心の中にある嫌悪や怨恨を取り除かれる。川がかれらの足元を流れる。かれらはそこに来て住み着くと、アッラーの恵みを認めて言う。わたしたちはアッラーのお陰で善行を行い、またそのお陰でここに導かれた。すべての称賛をアッラーに捧げる。もしアッラーの導きがなければ、わたしたちは正しい道を見つけられなかっただろう。確かにわたしたちの主の使徒たちが、疑いもない真理をもたらした。善行者への約束は真実であり、悪行者への警告も真実である。そして信者に対する呼び声が聞こえてくる。これが現世で預言者たちが告げた楽園である。あなた方がしてきた善行にアッラーは結論を出されたが、そのような善行によって、あなた方はアッラーの尊顔を望んでいたのだと。

(44) 全員が用意された住まいに入ると、楽園の人びとは地獄の火の人びとに向かって呼びかける。わたしたちは、主が自分たちに約束した、楽園のことが真実であると分った。あなた方も、主が地獄の火について約束したことが真実であると分ったかと。かれらは、はい、地獄の火についての約束は真実だったと言う。そのとき両者の間から、こう告げられる。アッラーは不正の人びとを慈悲から拒絶するのだ。慈悲の扉が開かれていたが、かれらは現世において、それから遠ざかったのだ。

(45) これらの不正の人びとは、アッラーの道を妨げ、他の人びとにも妨げさせる。そして人々が従わないように、その真実の道を歪めようとする。しかし来世については、かれらは不信仰であり、来世に不用意なのである。

(46) 両者の間には仕切り壁(ヒジャーブ)があり、その高壁と言われる壁の上には、善悪が均等になった人びとがいて、かれらは善人の顔が白く、悪人の顔は黒いなどの特徴によってすべての人を認知している。かれらは楽園の人びとに向けて、あなた方に平安あれ、と挨拶する。高壁の人びとは、楽園に入ることなく、ただ望むだけなのだ。

(47) またかれらの目が地獄の火の人びとの方に向くと、きつい苦痛を味わっていることが分かる。かれらは言う。主よ、わたしたちを不信仰と神に並置したという不正の人びとと一緒にしないでくれと。

(48) 高壁の人びとは、黒い顔や青い目などの特徴によって認知できる地獄の火の不信仰者に呼びかけ言う。あなた方(地獄の火の人びと)の蓄財と高慢であったことは役に立たなかった。また威張ったり高慢であることで真実からそれることは、あなた方にとって益するところはなかった。

(49) アッラーは不信仰者を非難して、かれらはアッラーが慈悲を与えないとあなた方が誓言した人びとではないのか。アッラーは信者に、楽園に入りなさい、何があるか怖がらずに入るように、また永遠の安楽に恵まれたのだから、現世において運が悪かったと悲嘆してはならない。

(50) 地獄の火の人びとは、楽園の人びとを大声で嘆願して呼ぶのだった。わたしたちの上から水を注いでくれ。もしくはアッラーがあなた方に恵まれた食物をと。楽園の人びとは言う。アッラーは、そのどちらも不信仰に鑑みて、不信仰者に禁じられた。われわれは、アッラーが禁じられたものであなた方を救うことはない。

(51) 地獄の火の人びとは、自分自身の宗教を遊びや戯れとする人びとである。金製品や装飾で現世の生活がかれらを欺いたのだ。だから審判の日には、かれらの苦痛が計算されても、アッラーはかれらを無視する。他方それはちょうど、かれらがこの日の会見を無視し、その日のために何もせず、何の準備もしないかったと同じことだ。アッラーの論拠と証にも拘わらず、またかれらはそれらが真実だということは知っているのに、かれらはそれらを拒否し否定してきた。

(52) われらはかれらに対して、ムハンマド(アッラーの祝福と平安を)を通じてこのクルアーンを啓示した。そしてわれらが解明する知識でもって、それを説明した。信仰する人びとを導き真実をもたらす。また慈悲でもあるのは、それでかれらを現世と来世の善に導くからである。

(53) 厳しい苦痛という、知らされていたことが起こるのを、不信仰者は待つだけである。それはかれら自身の行いから来る、来世の結果である。他方信者にも知らされているが、それは報奨である。現世でクルアーンとその内容を無視した連中は、言うであろう。わたしたちの主の使徒たちは、確かに疑念の余地のない真理を持って来た。それは間違いなく、アッラーからのものだ。そこで審判の日、わたしたちのために執り成してくれる人がいて、懲罰を免除してくれるといいのだが。もしくは、悪行ではなくて、わたしたちがしてこなかった善行をするため、現世の生活に送り返されればいいのに。結局かれらは不信仰が原因で破滅の要因を持ち込んで、自らを滅ぼし、崇拝してきたものは、かれらを置き去りにして、何の役にも立たなかった。

(54) 人々よ、誠にあなた方の主は、アッラーで、かれは諸天と地を6日で創り、それから玉座に着かれた。それには荘厳さが伴っており、どのように登られたかはわれわれには分からない。かれは昼の白さで夜の暗さを追い払い、夜の暗さで昼の白さを追い払われた。それに少しも遅れないよう、互いに急かすのである。あれが出ればこれが入るといった調子である。また太陽、月、群星を創造して、かれの命令に従順に従わせるのだ。かれにこそすべての創造があり、かれ以外に創造主はいるのか。統括権もある。その善を称え、その善行を増やすように(祈る)。かれこそは荘厳と完璧さで描写されている、つまりそれが全世界の主であると。

(55) 信者たちよ、あなた方の主を呼ぶのは、完全に謙虚にして、そっと隠れて低姿勢でして、祈るに誠実で、また外見のためや多神を呼ぶのではない。礼拝において、かれは限度を越す人びとを好まない。最悪の祈り方が、かれ以外をかれと共に祈ることである。それは多神教徒たちがすることである。

(56) アッラーが使徒たち(平安を)を送られて地上を正されて、また従順にしてそれを繁栄させてからは、謀反という罪を犯して、地上で腐敗を引き起こしてはいけない。アッラーの懲罰を恐れ、報奨を楽しみにして、かれだけを呼ぶようにしなさい。善行者にはアッラーの慈悲は近いのだから、その一人になるように。

(57) 至高なるアッラーが雨をもたらす雲を送られるのだ。風は雨で重くなった雲を運んで、その雲を今度は不毛の大地に送られて、そこに雨を降らせられる。その雨が今度はあらゆる果実をもたらして果実が生まれるように、われは使者を墓から甦らせるのである。そのようなことをしたのは、信者たちよ、あなた方がアッラーの能力とその創造のすばらしいことを想起するためである。そうしてかれは、本当に死者を復活するのである。

(58) 良い土地には、アッラーの許しによって、植物がよく育つ。同様に信者は、戒めを聞いて、それから裨益し、正しい行動を取る。腐って塩分の多い悪い土地には、貧弱なものしか育たず、それには用益はあまりない。不信仰者は戒めから裨益せず、また益のあるような行動はとらない。こうして様々に、アッラーは印と証明を明らかにされ、感謝する人々に対して真実を確証される。アッラーの恵みあれ。かれらは不信仰を抱かず、その主に従順なのである。

(59) 確かにわれらは、ヌーフをかれの民に遣わした。その民にアッラーに仕え、かれの他に神はいないので、他の神は手放させるために。かれは言った。あなた方はアッラーだけを崇拝しなさい。それ以外には真に奉るものはない。それだから、不信仰を続けるならば、わたしはあなた方に降りかかる絶大な日の苦痛を恐れる。

(60) かれの民の指導者たちと有力者たちは言った。ヌーフよ、本当にわたしたちは、あなたが明らかに間違っていると思う。

(61) ヌーフは言い返した。わたしの民よ、あなた方が言うようには、わたしに間違いはない。わたしは主の導きにあり、アッラーからの使徒である。かれは、わたしの、そしてあなたの、そして全世界の主なのだ。

(62) わたしはあなた方に、アッラーの啓示を伝える。その命令に従い、報奨を授かることを願うようにすることで、あなた方に善を願うのだ。また禁止されたことをしてしまうことと、その懲罰からを恐れさせることを願う。至高なるアッラーは啓示によりわたしに教えられたように、わたしはあなた方が知らないことを、アッラーから知っているのだ。

(63) あなた方は自分たちの中にいる一人の男の舌を通して、あなた方の主から戒めが来たことに驚くのか。かれはあなた方の中で育ち、嘘もつかず誤ってもいなかったし、他の民族でもなかった。かれはあなた方に、嘘をつき反逆するときには、苦痛が襲うことを警告するためであり、その命令に従いその禁止令を遵守することで、あなた方がアッラーを意識するためである。信仰することで、あなた方は慈悲に授かるように。

(64) ところがかれらはかれを拒否し信じず、不信仰を続けた。だからかれは、アッラーがかれらを滅ぼすように祈った。そこでかれと方舟の中でかれと一緒であった人びとを救い、われらの印を嘘呼ばわりした人びとを、懲罰である洪水で溺れさせた。かれらの心は真実からは盲目であった。

(65) またアードの民に、かれらの同胞のフード(平安を)を使徒として遣わした。かれは言った。わたしの民よ、アッラーに仕えなさい。かれの他に神はいません。あなた方は懲罰から救われるため、その命令に従いその禁止令を遵守し、アッラーを意識しないのか。

(66) かれの民の中にいる不信仰で、アッラーに不信仰でフードを拒否した有力な指導者たちは言った。わたしたちが思うに、あなたはアッラーだけを崇拝するように言うなんて、本当に愚かで遅れている。アッラーのみを崇拝し、偶像を捨てろと言う。わたしたちは、使徒だと言うあなたのことは、嘘付きだと確信している。

(67) かれは言った。わたしの民よ、わたしは愚かでも遅れてもいない。ただし、わたしはすべての世界の主からの使徒である。

(68) わたしはあなた方にアッラーの唯一であるということとその法規を伝える。わたしはあなた方への、伝達に関する信頼できる助言者であり、何も加えず、何も減らさない。

(69) あなた方は驚くのか。天使やジンではなく、自分たちの一族の中にいるひとりの男を通して、警告のために、あなた方の主から戒めが来たことに。主を称賛し、不信仰のために滅ぼされたヌーフの民の後継ぎとして地上で確立し、またあなた方の身体を強大で強靭にされた、アッラーに感謝しなさい。そして欲するものを獲得し、恐れるものを回避できることを願いながら、その大きな恩恵を想いなさい。

(70) かれらは言った。フードよ、あなたがやって来たのは、わたしたちがアッラーだけに仕え、自分の先祖が仕えてきたものを捨てるためなのか、もしあなたが主張することに正直な人なら、あなたが約束する苦痛をわたしたちにもたらしてみろと。

(71) かれは言った。あなた方の主の懲罰と怒りは、もうあなた方に降りかかり、それから逃れることはできない。あなた方と先祖が命名した真実ではない多くの偶像神の名前については、アッラーが何の神性も授けていないのに、わたしと議論するのか。それならば延期を求めたその懲罰を待ちなさい。確かにわたしも、あなた方と共に待ちます、それは現実なのだ。

(72) そしてわれらは慈悲をもって、フード(平安を)及びかれと一緒にいる信者たちを救い、われらの印を拒否した人びとと信仰しなかった人びとを根絶した。かれらは嘘つきで、懲罰に価したのだ。

(73) またサムードの民に、かれらの同胞サーリフを遣わし、アッラーが唯一なこととその崇拝を呼び掛けた。かれは言った。わたしの民よ、アッラーだけに仕えなさい。かれの他に崇拝すべき神はなく、あなた方の主から真実の明証が来た。それは岩から出てくるこの雌ラクダで、あなた方への印である。それには水を飲む一定の時間があり、あなた方には別の水飲みの時間がある。雌ラクダに食べさせるため、アッラーの大地に放牧しなさい。あなた方には食料の責務はない。しかしそれに害を加えてはいけません。そうしないと、厳しい苦痛があなた方を襲うだろう。

(74) あなた方をアードの民の後継ぎとし、その地に定住させときのアッラーの恵みや、あなた方の願望のことを想いなさい。それはアードの民が不信仰と拒否に固執し、破壊された後のことだった。あなた方は平原に宮殿を設け、また岩山に家を彫った。だからアッラーの恵みを想い、感謝しなさい。そして地上で腐敗を広げてはいけない。つまりそれは、アッラーへの不信仰や謀反を犯さないということだ。

(75) かれの民の中の高慢な指導者たちは、そこで虐げられていた信者たちに言った。あなた方はサーリフが、かれの主から遣わされたことを知っているのか。かれら(信者)は言った。確かにわたしたちは、かれを信頼して、かれがもたらしたものに導かれ、その命に従う者である。

(76) 高慢な人びとは言った。確かにわたしたちは、あなた方が信じることを信じてはいない。また信じるはずもない。その命に従うこともない。

(77) そこでその雌ラクダを屠殺して、サーリフの約束したことを疑っているかれらは、主の命令に逆らって言った。サーリフよ、もしあなたが使徒たちの1人であるならば、あなたがわたしたちに約束した痛ましい懲罰をもたらしてみろ。

(78) するとかれらが急いでいた懲罰が降ろされ、大地震がかれらを襲った。朝までにかれらはその家の中に平伏して、その顔と膝は床の上にあり、破壊を逃れた者はいなかった。

(79) それでサーリフ(平安を)はその反応にがっかりして、かれらから去って言った。わたしの民よ、確かにわたしは、主のお告げをあなた方に伝え、希望を与え、また恐怖も示して、助言をした。でもあなた方は、善を示し悪を避けるための証を望む助言者たちを好まない民である。

(80) ルートはその民に言った。あなた方は、このような禁止され醜悪な男性に近づくという行為を犯すのか。あなた方以前、そのような行為はどの民族も行なったことがないのに。

(81) あなた方は女性でなくて、情欲を満たすために男性に向う。それでは、理性にも慣用にも天性にも従っていないことになる。本当にあなた方は過度な人びとで、アッラーの定めを逸脱する。人としての中庸さを失い、正常な理性が求める所から外れ、自然な人の尊厳を傷つけている。

(82) かれの民は禁じられた醜行について、真実に反して答えてこう言った。ルートとその従者たちを、あなた方の町から追い出そう、かれらは本当にわれわれの行為には手を染めない人びとなのだから、われわれと共にいるのは不適当だ。

(83) こうしてわれらは、かれとその家族を救った。罰を受ける町から、夜の間に逃げ出せというもの。ただしその妻は、後方に残された民の仲間として、同等の罰が襲った。

(84) われらはかれらの上に、泥の塊の雨を降らせた。町は上下が逆になった。ルートの民のような、罪を犯す人の最後がどんなものであったかを考えてみよ。それは破壊と永久の恥辱であった。

(85) またマドヤンの民に、かれらの同胞シュアイブ(平安を)を遣わした。かれは言った。わたしの民よ、アッラーに仕えなさい。かれの他に神はいない。あなた方の主から明証が来た。わたしがもたらすものは、真実なのだ。だからきちんと寸法をとり計量し、人のものを安く値を踏んではいけない。人々の商品の悪口を言い、誤魔化したり、欺いたりしてはいけない。また預言者たちの啓示によって正された後、不信仰と不服従により地上で腐敗を引き起こしてはいけない。もしあなた方が信者ならば、以上のことはあなた方のために最も善い。それで謀反を阻止し、アッラーの禁止されたことを避け、そしてその命令に服することでアッラーに近づけるからだ。

(86) あなた方は路上で待伏せして道行く人を脅かし泥棒をしたり、信者にアッラーの道を妨害したり、それを歪曲させようとしてはいけない。アッラーの恩寵に感謝しなさい。あなた方は少数であったけれど、かれがあなた方を大勢にしたことを思い出しなさい。腐敗をもたらす人の最後がどうであったかを見なさい。それは破壊と破滅であった。

(87) もしあなた方の中に、わたしの使命を信じる一団と信じない一団とがあるときは、嘘だという者たちよ、アッラーがわたしたちの間を裁くまで待ちなさい。アッラーは最も優れた判決者であり、最も公正な裁決者なのだ。

(88) かれの民の中の高慢な指導者たちは言った。シュアイブ(平安を)よ、わたしたちは、あなたとあなたを信じた人びとを、わたしたちの町から必ず追い出すぞ。そうさせたくなければ、わたしたちの宗教に返るべきだ。かれは驚いて、考えながら言った。たとえわたしたちが、間違っているあなた方の宗教とその共同体を嫌いでもですか。

(89) アッラーがその恵みによりわたしたちを助けた後、もしあなた方の多神と不信仰の教えに戻ったならば、アッラーに対して嘘をついたことになる。そしてわたしたちの主、アッラーがお望みにならない限り、間違った共同体に戻ることは正しくないのでわたしたちにはできない。本当にアッラーのお望みのままであり、その知識は、あらゆる事物に及ぶ。隠すことはできず、正しい道にいて地獄への道から守られるのは、アッラーのみに依拠するからだ。わたしたちのアッラーよ、わたしたちと不信仰な人びとの間を真理によってお裁きください。虐待された真理の友を執拗な不正者に対して、勝利させてください。あなたは最も優れた裁決者だ。

(90) かれの民の中にいる、唯一性を拒否する不信仰者の指導者たちは、シュアイブとその支持者たちに警告して言った。もしあなた方がシュアイブに従って、祖先の宗教を捨てるならば、破滅をみるだろう。

(91) すると大地震がかれらを襲い、翌朝までにかれらは死んで、その家の中に顔と膝を下にして倒れていた。

(92) シュアイブを嘘呼ばわりした人びとは、そこに住んでいなかったかのようで、そこで生活していなかったようだった。シュアイブを嘘呼ばわりした人びとは、確かに失敗者だった。自らを損ない、また所持するものも損なった。しかし信者はそうではなく、嘘つきの不信仰者たちの言ったことは当たっていなかったのだ。

(93) そしてかれ(平安を)は破滅したその民から立ち去って、言った。わたしの民よ、確かにわたしは、あなた方にアッラーのお告げを伝え、助言をした。しかしその助言を受け入れず、わたしの指導に従わなかった。だから信仰をしつこく拒否し、そうしない人びとのために、どうしてわたしが嘆くことがあるか。

(94) われらがある町に預言者を遣わしたが、人びとは嘘だとして不信仰を表明した。そこでかれらに悲惨さと貧困と病をもって捕らえた。それは、その民が謙虚になって、不信仰と傲慢さを捨てることを望んでのこと。これはクライシュ族への警告であり、嘘つきの諸国においてアッラーの教えに不信仰で嘘呼ばわりする人々全員への警告だった。

(95) その後、われらが悲惨さと病でとらえてから、数も増えて資産も増大すると、かれらは言い出した。わたしたちの先祖も以前に、善いことと悪いことがあった。しかしかれらは、その困難に学ぶべき教訓があり、その安楽に試練があるということに気付かなかった。だからわれらはかれらが気付かない間に、突然かれらを襲ったのだ。

(96) もしこれらの町の人びとが信仰してアッラーを意識し、不信仰と反逆を捨て、その命令に服したならば、われらはいずれの方向からも、きっとその扉を開いたでしょう。でもかれらは預言者たちを信用せず、畏怖しないで、預言者たちがもたらしたものを嘘呼ばわりした。だからわれらは、かれらが稼いできた罪悪のために突然捕らえて、苦痛を与えたのだ。

(97) これらの嘘つきの町の人びとは、夜かれらが静かに眠って休んでいる間に、われらの懲罰が来ないと安心できるのか。

(98) またこれらの町の人びとは、昼かれらが現世のことで戯れている間に、われらの懲罰が来ないと安心できるのか。

(99) アッラーがかれらに時間的な余裕を与えられ、かれらに力と糧を試練として与えられるのを見ろ。それらの町の嘘つきたちは、アッラーの企みと深謀に安心できるのか。アッラーの深謀に安心できるのは、失敗者だけなのだ。成功する者はそれを恐れ、かれらの与えられた恵みについて誤解しないで、その気前良さを認め、アッラーに感謝するのだ。

(100) その罪のために滅びた民の後この地を継いだ人びとは、以前の人びとに襲ってきたことを学ばず、むしろその行動を模倣したが、かれらにはアッラーが望めばその慣行に従い、かれらを罰することが明らかにならないのか。またその心を封じて教えが聞こえなくしてしまい、警告から得るところもないことを。

(101) 預言者よ、ヌーフ、フード、サーリフ、ルート、シュアイブの民たちが、いかに嘘つきで頑固であったか、そしてどのような罰をくらったかを、熟慮する人びとの教訓と助言を受け入れる人びとの警告として、あなたに話し伝えよう。確かに使徒たちは言うことが至当であるとの明証を持って、かれらのところに来た。でもかれらは以前の民が拒否したように、信じようとしなかった。かれらの心をアッラーは閉じられたが、ムハンマド(アッラーの祝福と平安を)を信じない人びとの心を閉じられるのだ。そしてかれらは信仰へと導かれることはない。

(102) 預言者たちが遣わされた人びとの多くがアッラーの助言や命令を守らずに、アッラーに背いている人びとであることを知った。

(103) それでかれらの後に、われらは真実であるとの証明となる印と共に、預言者ムーサー(平安を)をフィルアウンとその民に対して遣わした。ところがかれらはそれらを拒否し、信じなかった。そこで預言者よ、かれらの末路がどんなものかを見なさい。アッラーはかれらを沈められ、現世と来世で拒否されたのだ。

(104) 遣わせられたムーサーは言った。フィルアウンよ、誠にわたしは、すべての世界の主でその所有者ですべてを統率する方から遣わされた使徒なのだ。

(105) ムーサーは言った。間違いなく、アッラーに遣わせられた以上、真理の他にわたしがアッラーについて言うことはない。確かにわたしは、アッラーからの明証を持って、あなた方のところに来た。だからイスラーイールの子孫を、囚われと強制から救って、わたしと一緒に行かせてください。

(106) フィルアウンは言った。もしあなたが持って来たのであれば、そしてあなたが正直者ならば、それを示しなさい。

(107) そこでかれは、自分の杖を投げた。するとそれは明らかに大蛇になった。

(108) 次にかれが胸近くの、あるいは脇の下の下着の空いた所からその手を伸ばした。するとそれは癩病ではなく、誰にもきらきらと白く見えた。

(109) フィルアウンの民の指導者たちは言った。杖が変化したり、手が白かったり、ムーサーは確かに熟練の魔術師だ。

(110) かれはこの土地、エジプトからあなたを追出すつもりなのだというので、フィルアウンがムーサー(平安を)について言った。ではあなた方の助言は?

(111) かれらは言った。ムーサーとその兄ハールーンを留めさせ、町々から魔術師を召集する者を遣わそう。

(112) 腕の立つ魔術師全員が、エジプトの町々からあなたのところに来るだろう。

(113) それから魔術師たちは、フィルアウンのところに来て言った。わたしたちがムーサーに対して勝者となれば、わたしたちには報酬があるのか。

(114) フィルアウンは言った。そうだ。あなた方は、報酬があり、またわたしの側近の部署もあるだろう。

(115) かれらは優越心と増長もあり、言った。ムーサーよ、あなたが投げるのか、それともわたしたちが先に投げるのか。

(116) かれはアッラーが勝たせてくれると信頼して、心配せずに言った。あなた方が先に、綱と杖を投げなさい。そこでかれらが投げると、人びとの目を惑わし恐れさせ、大魔術を見せた。

(117) そこでアッラーは、ムーサー(平安を)に申し渡した。あなたの杖を投げなさいと。そこでかれが投げると、それは突然蛇になり、それはかれらが蛇に見せかけて使用していた綱や杖を飲み込んでしまった。そして蛇だと思っていた人々の幻惑を打ち破ったのだった。

(118) こうして真理は確認されて、ムーサー(平安を)の言うことの正しいことも証明され、かれらがしたことは虚偽だとわかった。

(119) かれらは打ち負かされ、人前ですっかり恥さらしとなった。

(120) 魔術師たちはアッラーの偉力のすごさと明瞭な印を目にした時、身を投げ出して至高なるアッラーに平伏するだけだった。

(121) 魔術師たちは言った。わたしたちは、すべての創造の主を信じる。

(122) ムーサーとハールーン(平安を)の主は、すべての人の祈りの対象であり、虚偽の神は祈るに値しない。

(123) フィルアウンは、かれらのアッラー信仰に対して脅かして言った。あなた方は、わたしが許していないのにかれを信じるのか。これはこの町の民を追出すために、あなた方が企んだ共謀に違いない。だがあなた方は、それに対する罰や苦労といった、その結果についてすぐに思い知るだろう。

(124) わたしはあなた方の右手と左足、あるいは左手と右足を互い違いに切断し、さらに1人残らずナツメヤシの木にはりつけよう。そうすれば人々はそれを見て、恐れおののくであろう。

(125) 魔術師たちは言った。結局わたしたちは主の元に帰る。だからあなたの恐喝は、怖くないのだ。

(126) あなたは、主の印がムーサーを通して届くと、わたしたちがそれらを信じるというだけで復讐しようとする。もしそれが罰せられるべき罪であるならば、それはわれわれの罪である。そう言ってかれらは、畏れつつアッラーへの祈りに向かった。主よ、わたしたちに忍耐を与え、真実を確固たるものとして、それに埋没させてください。われわれをムスリムとして死なせてください。あなたの命に従い、あなたの預言者に従う者として。

(127) フィルアウンの民の指導者たちは、ムーサーとその従者たちを何とか始末しようと願って言った。あなたはムーサーとその従者たちが地上で腐敗を広げ、あなたとあなたの神々を捨てて、アッラーだけを祈ることを勧めるのを放っておくのですか。フィルアウンは言った。わたしたちは、イスラーイールの男児を殺して、女児を奴隷として生かしておくことにする。わたしたちは、かれらを力と支配と権威で圧倒するのだ。

(128) ムーサーはその民に助言して、言った。アッラーの助けを祈り、害を避け、益を得るには、試練を耐え忍びなさい。本当に大地はアッラーのもので、フィルアウンらのものではない。アッラーは御心の人々にこれを継がせる。しかし最後の良い結果は、アッラーの命令に従い、禁止されたことは避ける人びとにあるのだ。それは受ける試練にも拘らず、そうなのである。

(129) イスラーイールの子孫たちは、ムーサー(平安を)に対して言った。わたしたちは、あなたが来る前も来た後も、男児を殺し女児を生かせて、迫害を受けてきた。かれは助言として、試練から逃れるという望みを持つように言った。おそらくアッラーは、あなた方の敵を滅ぼし、あなた方をこの地上の後継者とし、その後、感謝するのか不信仰なのかなど、どのようにあなた方が行なうかをご覧になるだろう。

(130) われらはフィルアウンの一族が戒めを受け入れるように、果物も穀物も含めて長年の飢饉と不作で懲らしめた。かれらがそれで反省し、不信仰に対するアッラーからの懲らしめだと気が付いて、いずれ悔悟するためであった。

(131) フィルアウン一族に、豊かさ、収穫、繁盛など良いことがあれば、これはわたしたちの成果であり、わたしたちのものだと言いはった。しかし不作の飢饉、疫病など悪いことがあれば、ムーサー(平安を)とかれと共にいるイスラーイールの人びとによる悪運だとした。真実はかれらの悪運はすべて、賛美されるアッラーの定めから来ているのであって、ムーサーたちのためではない。ムーサーが関係しているのは、悪運のかれらのために祈ったことだけである。かれらの多くは理解していなくて、アッラーの命令以外のもののせいにする。

(132) フィルアウン一族はムーサー(平安を)に、真実を拒否して言った。あなたがどんな印や証拠を持ってきて、またどんな論拠を持ってきて、われわれが過っていて、自分が正しいと言い張っても、われわれはあなたを信じないのだ。

(133) そこでわれらはかれらにその虚偽と執拗さに対する罰として、洪水を送ってかららの作物や果実を沈めた。またイナゴで、その収穫物を食べ尽くさせた。シラミも食ったが、それは作物や人の髪の毛を襲った。カエルでかれらの器を満たし、食べ物をダメにし、寝床を騒がせた。また血を送り、井戸や川をその色で染めた。それらすべては、われらが明瞭な印として、次々に送ったものであった。ところがこれらの苦痛にも拘らず、かれらはアッラーに従うにはあまりに傲慢で、ムーサー(平安を)のもたらしたものにも従わなかった。かれらは背信の民で、虚偽を排除せず、真実に導かれない人びとであった。

(134) 懲罰がかれらに降りかかると、かれらは言った。ム-サー(平安を)よ、主に対してこの懲罰をなくすようお願いしてくれ。あなたは預言者なのだし、主に従うならば苦痛をなくしてくれると、アッラーはあなたに約束したのだから。もしあなたがわたしたちからこの苦痛を除けば、わたしたちはあなたを信じ、イスラーイールの子孫をあなたと一緒に釈放するだろう。

(135) でもアッラーがかれらから懲罰を除いて、一定の猶予期間を与えると、沈められる前にしていたかれらの約束を破り、不信仰を続けて、またムーサーを信じずに、イスラーイールの民をムーサー(平安を)と一緒に解放することはなかった。

(136) それでかれらの破滅のときが来た時に、われは懲罰として、かれらを海に溺れさせた。かれらはアッラーの印を拒否し、疑いようのない真実に背いたからであった。

(137) それからわれらは、フィルアウンとその民に虐げられていたイスラーイールの民を、アッラーが祝福した東西の大地における後継者とした。それは大シリア地方のことである。そこには最良の穀物と果実が実っている。こうしてあなたの主の最善の言葉は、現実のものとなった。「われは、この国で虐げられている者たちに恩恵を与えたいと思い、かれらを(信仰の)指導者となし、(この国の)後継ぎにしたいのだ。」(物語章:5)フィルアウンとその民の迫害にイスラーイールの子孫がよく耐え忍んだことにより、その土地では支配を達成させた。一方、フィルアウンとその民が造り築き上げてきた田畑や住居、そして宮殿などは壊滅させたのだった。

(138) われらはムーサーが杖で海を割って、イスラーイールの子孫に海を渡らせた。するとかれらは偶像に仕えている民のところにやって来て、言った。ムーサー(平安を)よ、かれらが持っている神々のような神を、わたしたちのためにも造ってくれないか。かれは言った。実にあなた方は、無知の民で、アッラーだけを礼拝し、その偉大さを称えるべきだ。かれに同列に並置し、それを崇拝することは全く不適当だ。

(139) 実にこれらの偶像崇拝をしている人々は、確かに滅びるでしょう。かれらがしてきたことは間違いで、無意味だ。かれらはアッラー以外を崇めているのだから。

(140) ムーサーは言った。アッラーという唯一にして真実の神の他に、わたしはあなた方のために神を求められるのか。あなた方は、偉大な印を見てきたし、あなた方を他の誰よりも優遇されたのに。だから敵を滅ぼし、この国で後継者とし支配者とされたというのに。

(141) イスラーイールの子孫よ、われらがフィルアウンの一族から、あなた方を救ったときを思い出しなさい。かれらはあなた方をひどい辱めと苦痛で悩まし、あなた方の男児を殺し、女児を生かしておいた。実にその中には、あなたの主からの感謝すべき偉大な試練があったのだ。

(142) またわれらはムーサーと話すために30夜を定め、さらに10夜追加して完成した。だからかれの主の定めた期間は、40夜で完了した。ムーサーは兄弟のハールーンに言った。自分が主と話すために不在中、人びとの間でわたしの代理をせよ、そして正しい政策と優しさでかれらを統率し、謀反を起して腐敗を広める人の道に従わず、背信をしないで、反徒どもを助けないように。

(143) ムーサー(平安を)がわれらとの約束通り来ると、主はかれに40夜、命令や禁止事項について語りかけた。ムーサーは主の尊顔を拝見したくなったので、こう言った。主よ、御姿を現したまえ。そしてわたしにあなたを拝顔させてください。至高なるアッラーは言われた。あなたは決してわれを見ることはできない。だがあの山を見なさい。もしそれがその場所にしっかりあれば、あなたはそこにわれを見るでしょう。しかしもしそれが砕かれていたならば、現世で見ることはないのだ。しかしかれの主はその山に姿を現わして山を粉みじんにしたので、ムーサーは意識を失い倒れた。そして意識が回復すると、かれは言った。あなたは完璧で、どのような欠陥もない、現世で見たいなどと言ったことをお赦しください。実にわたしは一族の中でも、あなたを信仰する者の先駆けである。

(144) アッラーは言われた。ムーサーよ、われらは啓示と直接の話しかけによって、あなたを万人の上に選んだ。だからわれらが授けた偉大な名誉を忘れずに、感謝する者の1人となりなさい。

(145) またわれらはムーサーのために、現世と来世に必要となるすべてのことに関する戒めと解釈とを、木などの板の上に書き記した。そして言った。この律法を真剣にかつ精一杯しっかり守りなさい。またイスラーイールの子孫たちであるあなたの人びとに、その中の最も優れたものを守るよう命じなさい。そうすれば、完璧に最善の命令に従うことや忍耐と赦しの心を持ってすることで、最大の報奨が得られるのだ。われはムーサーに対して、命令に反する人びとの行き着く先を示し、その結果かれらが受ける破滅と破壊を明らかにすると。

(146) アッラーの僕や真実に対して不当に高慢である人びとは、遥かな水平線であれ自分自身の中であれ、目にする印について考え、その言葉が明瞭でも理解することから遠ざけられる。啓示から背き去り、それを信じることができない。アッラーとその使徒に背くからである。アッラーの喜ばれる真実への道を見ても、それに従わず、それを好まない。逆にアッラーが嫌われる歪んだ誤道を見ると、それに従う。それはかれらが、預言者が持って来た真実を証明するアッラーの印と言葉を拒否するからで、またかれらはそれに注意を払わないのだ。

(147) われらの預言者たちに託した印と来世における会見を虚偽であるとした人びとの行ないは、服従の行為としては無意味となる。信仰を欠いたという条件が満たされない事情により、応報もない。不信仰とアッラーに同列に配置したといった自分の行なってきたこと以外のことで、かれらが応報されることはなく、それは地獄の火に他ならない。

(148) ムーサーの民は、かれがアッラーとの話に去った後、自分たちの装飾品を使って、魂はないが鳴き声の出る子牛の像を造った。かれらにはそれがものを言わず、また感覚的にも抽象的にも善への道案内もできないことが分らなかったのか。益もなく、損害を防いでもくれないのだ。それを崇拝対象として、それによって自らに不正を働いていたのだ。

(149) かれらは後悔し、迷い、アッラーと並んで子牛を崇拝したことで過ちの道に反れたことに気づいて、嘆願して言った。もしわたしたちの主が慈悲を与えず、また子牛崇拝で赦さなかったならば、わたしたちは間違いなく現世と来世の失敗者の仲間になっただろう。

(150) ムーサーはアッラーに嘆願して言った。主よ、わたしとわたしの兄弟ハールーンを赦し、あなたの慈悲で覆って、その中に入れてください。あなたは慈悲ある者の中で、最も慈悲深い方です。ムーサーが主との面談からその民のところに帰って、子牛崇拝をしているのを見たとき、すっかり怒り悲しんで言った。わたしの去った後、あなた方がここでしたことは、何と悪質なことか。それは破滅と悲惨さに導くだけだ。あなた方はわたしを待つのにうんざりして、子牛を拝み始めたのか。かれは石版を投げ、怒りと悲しみに溢れて、かれの兄弟ハールーンの頭と髭を掴んで、引っ張った。かれが人々と一緒にいても、子牛崇拝を阻止できなかったからだ。ハールーンは、ムーサーに情けを請うて言った。わたしの母の子よ、この民はわたしを弱いと見て、敬意も払わずに、もう少しでわたしを殺すところだった。だからわたしと対立することで、敵を喜ばせてはいけない。そしてわたしを、怒りの余りアッラー以外を奉る不正の民と一緒に見なさないでほしい。

(151) ムーサーはアッラーに嘆願して言った。主よ、わたしとわたしの兄弟ハールーンを赦し、あなたの慈悲で覆って、その中に入れてください。あなたは慈悲ある者の中で、最も慈悲深い方です。

(152) 疑いなく、子牛を崇拝した人びとには、主から怒りが届き、現世の生活においても屈辱があるだろう。主の不興を買い、その命令に反したからだ。このようにアッラーは、嘘を捏造する人びとに報いるのである。

(153) しかしアッラーに並置して背信で罪を犯しても、その後にアッラーのみへの信仰に悔い改め、背信を改めるならば、このような悔悟と多神崇拝停止、そして背信から帰依に戻った後では、あなたの主は過ちを消去しやり過ごして、実によく赦される方であり、慈悲深い方である。

(154) ムーサー(平安を)は怒りが静まると、怒って投げつけた石板を取り上げた。その中には、かれらの主を畏怖して主の結果を恐れる人びとに向けて、過ちからの導きと真実の説明、そして慈悲が記されていた。

(155) ムーサーは、間違った人々が子牛崇拝を犯したので、最良の70名を選抜して、お赦しを請うこととした。アッラーはかれらに時間と場所を定めたが、そこに到達するとかれらはいい気になり、ムーサーに対して、アッラーを見られるようにしてほしいと懇請した。そこで大地震がかれらを襲って、かれらは倒れて、その力で息の根が止まってしまった。ムーサーは、主に言った。主よ、あなたがお望みならば、以前にすでにかれらとわたしを滅ぼしていたでしょう。あなたはわたしたちの中の愚かな者が犯したことのために、わたしたち全員を滅ぼすのですか。しかし子牛を崇拝したというのは、あなたのわたしたちへの試練に他なりません。だからそれにより、あなたは御心の人を迷わせ、また御心の人を導く。あなたはわたしたちの擁護者で、わたしたちの罪を赦し、わたしたちに大いなる慈悲を与えてください。あなたは、最もよく赦し大目に見る方なのだから。

(156) またわたしたちに恩寵と健康を授け、正しい行いをするようにされた人々の仲間に入れて下さい。来世に楽園を準備された、正しい僕たちの仲間に入れてください。本当にわたしたちは、過ちを認めてあなたに帰る。至高なるアッラーは言った。われは望みのままの人を、苦痛で悩ます。またわれの慈悲は、この世のすべてのものに及ぶ。アッラーの慈悲が及ばないで、その寵愛と善慮が覆わないものはないのだ。だからアッラーを意識し命令を守り禁止を避ける人びと、定めの施しをそれに価する人びとに与える人びと、われらの印を信じる人びとに、それ慈悲を書き記すのである。

(157) かれらは文字を知らない預言者で、使徒である人、ムハンマド(アッラーの祝福と平安を)に追従する人びとである。かれは主から啓示を授けられるだけだ。またかれはムーサー(平安を)に降ろされた律法とイーサー(平安を)に降ろされた福音の中に、その名前と特性が記されて、そこに見出される人である。かれは善で正しいことをかれらに命じ、正しくない頭脳と天性にある醜悪なものをかれらに禁じる。またかれらに食物、飲料、性交など善いものを合法(ハラール)とし、醜悪なものを禁忌(ハラーム)とする。こうすることで、意図的であろうがそうでなかろうが、殺人者は殺さねばならないなど、以前は義務とされていたかれらの重荷のような困難な命令を除かれるのだ。だからかれを信じるイスラーイールの子孫など、かれを尊敬し、かれを助けて、反対する不信仰者に対抗して手助けし、かれに御光として降ろされたクルアーンに従う人びとは、成功する人びとなのである。かれらは望むものを得て、恐れるものを回避できる。

(158) ムハンマド(アッラーの祝福と平安あれ)よ、言いなさい。人びとよ、わたしはアラブであれそうでなかれ、あなた方全人類のための、アッラーの使徒である。かれに諸天と地の大権はある。かれの他に祈るべき神(賛美あれ)はなく、かれは生を授け、死を与える方である。だからアッラーと、かれの使徒でありアッラーとかれの言葉(クルアーン)を信じているが文字を知らない預言者(ムハンマド)を信じなさい。ムハンマドは、かれ以前の預言者たちに主から降ろされた啓示も信じている。そしてかれが主からもたらしたものに従えば、現世と来世であなた方に益をもたらすものに導かれるでしょう。

(159) ムーサーの民でイスラーイールの子孫の中には、真理に人びとを導き、またそれによって正義を行ない、暴力的でない一団がいるのだ。

(160) われらはかれらを共同体として、12支族に分けた。そしてムーサーの民が水を求めたとき、われらはムーサーに啓示した。あなたの杖で岩を打ちなさいと。するとそこから12の泉が涌き出て、全員自分の水場を知った。またわれらはかれらと共に行ったり来たりする雲であなた方の頭上に陰を創り、蜜のように甘い飲料と肉のうまいウズラのような小さい鳥を与えた。われらが与えた良きものを食べなさい。かれらは不正や恵みに感謝せず、また正当に評価しないことで、われらを損なったのではなく、自分自身を悪に陥れたのだ。かれらは、アッラーの命令に従わず、その恵みをありがたく思わないで、破滅の原因を生み出したのだ。

(161) 預言者よ、アッラーはイスラーイールの子孫にこう命じられた。このエルサレムの町に入り、いつどこでもいいから、あなた方の好きなようにそこの果実を食べなさい。そして過ちを遠ざけてと言い、頭を低くして門を入りなさい。そうすればわれらはあなた方の過ちを赦し、また善行の人びとには、現世と来世の報酬を増加するだろう。

(162) ところがかれらの間で不正を行なう人びとは、命じられた言葉を変更してしまった。そして赦しを請うのではなく、「儀礼の穀物」と言うのであった。また言われたようにアッラーに対して低い姿勢で入るのではなく、そっくり返って入城するといった始末。このように不正を繰り返してきたので、かれらの上にわれらは天から災厄を下したのだ。

(163) 預言者よ、とある海岸の町を巡って、ユダヤ人びとの祖先にアッラーが降ろされた懲罰に関して、イスラーイールの子孫に問いなさい。かれらが漁業禁止の安息日に背いたときのこと。アッラーの命により、魚はかれらの安息日に水面に現われたが、かれらが安息しない日(平日)には、それらはやって来なくなった。このようにわれらがかれらを試みるのは、かれらが背いてきたためである。結局かれらは網を張って穴も設け、罠を仕掛けて、そこに土曜日に魚が入るようにし、日曜日にそれを食べることとした。

(164) 預言者よ、言え。かれらの中の一団が、禁じたり警告したりしていたので、他の一団は聞いた。なぜあなた方は、アッラーを信じず背いたので、アッラーが現世で滅ぼし、あるいは復活の日には激しい苦痛を与えようとする人びとに、諭すのかと。そこでその一団は答えて言った。あなた方の主に、良識を命じ醜悪を禁じるという命令を実行することで、そうしないで非難されないためであり、それによりわれわれはそのような罪を問われないようにするのだ。こうすることで、安息日を守らない人びとは、警告に得るところもあるだろうし、背反から脱するかもしれない。

(165) それでかれらが諭されていることを無視し、不信仰を止めなかったとき、アッラーは悪を禁じた人びとを救い、土曜日に魚取りをして禁制を破って不正を働いた人びとをこの上ない苦痛で襲った。なぜなら、かれらはアッラーに背いて、自身の反逆を続けたからである。

(166) だからかれらが誇りと頑固さからアッラーに反対して、禁じられていることについて則を越えるので、われらはかれらに言った。何と不信仰な者たちよ、あなた方は猿になって、軽蔑されるがよいと。それでかれらはそうなった、というのも、われらが望む時には、「あれ」と言うだけである。

(167) 預言者よ、あなたの主が、現世では復活の日まで、イスラーイールの子孫に対して激しい苦痛を負わせる征服者を遣わすと明確に宣告したときのこと。実にあなたの主は懲罰に迅速だが、現世では罰を遅らせることもあり、悔悟した僕にはよく赦される方であり、慈悲深い方なのだ。

(168) われらはかれらを、統合の後、地上で宗派に散り散りにした。かれらの中、ある人びとはアッラーと僕の権利を守る正しい人びとで、ある人びとは中庸で、またある人々は背信して不信仰に拘っていた。かれらがアッラーに戻って来るかも知れないと思い、われらは順境と逆境でかれらを試みた。

(169) そこでかれらの後に律法を継承した人びとは、それを読んでもその通りにはしなかった。かれらは啓典から逸脱して、裁きは書いてあるのとは違うだろうと言って、この低俗な現世の物品(賄賂)を受けとった。そしてわたしたちの罪は赦されるだろうと言って、またそれと同じような物品が届けば、さらにそれを受け取っていた。だがかれらはアッラーに反対して、真理の他に改竄や変更などを言ってはならないことは、啓典での約束ではなかったのか。かれらが啓典を知りつつそうであったので、決して無知ではなかった。読んで知っていたのだ。それこそその罪は重いのだ。来世の永遠の恩寵は、あのような消滅する享楽よりはるかに良くて、それは命令と禁制を遵守する、アッラーを意識する人びとのためである。こういったつまらぬ享楽を受け取る連中は、アッラーが来世に準備されたものこそは最善で、永遠であることを理解しないのか。

(170) 啓典を遵守し、時間、条件、諸義務や慣行を守りつつ礼拝の務めを励行する人びと。このように身を正す人びとへの報奨を、アッラーは喪失されない。

(171) 預言者よ、言え。イスラーイールの民が律法にあることを拒否したので、われらがかれらの上を覆う雲のように山を持ち上げ、自分たちの上にそれが落ちて来るとかれらが恐れたとき、アッラーは言った。われらがあなた方に確かに授けた啓典を真剣に、精いっぱい、そして決意を持って遵守し、その中にある主の掟に留意し、忘れないように。そうしてあなた方は、アッラーを意識するように。

(172) 預言者よ、言え。あなたの主が、アーダムの子孫の腰からかれらの子孫を取り出し、主の創造については認めることを天性の一部とされたので、その主であることを証言させたときのこと、アッラーは言った。われは、あなた方の主ではないのか。かれらは言った。はい、まさしくわたしたちは証言すると。アッラーは言った。こうして試練を与えて、誓約させたのは、復活の日、アッラーの証拠を否定し、わたしたちは知らないと言わないためである。

(173) もしくは、約束に反してあなたに同位者を配していたのはわたしたちの先祖で、わたしたちはその後の子孫にすぎない。それでアッラーに並置することで自身の行いを無意味にしていた祖先が行なったことのために、わたしたちを罰するのか、われわれには罪はなく、われわれは知らず、祖先を模倣していただけだと、あなた方が言わないためである。

(174) このようにわれらは以前の嘘つきの人々にもそうしたように、かれらにも印や証拠を解明する。かれらも反省して、多神ではなく、唯一神アッラーに戻って来るかも知れないと思って。それは以前にかれとした、約束の通りにすることである。

(175) 預言者よ、われらが印を与えた人の話を、イスラーイールの民に告げなさい。かれらはそれを読んで、証明された真実を理解したのにそれから離れたので、悪魔はかれを付け狙い、その人は導かれていたのに、迷い去った破滅の人びとの一人となった。

(176) もしわれらが望んだならば、われらはこれらの印に従うことで現世と来世において、かれに役立てて、引き立てたことだろう。しかしかれはこの世の欲望に執着し、来世よりも好んだので、失敗の道を歩んだ。現世の欲に駆られるかれは、犬のようなもので、たとえ休んでいても追いかけられても、ハーハーと舌を垂れている。これはアッラーの印を嘘呼ばわりした、迷える人の例である。だからかれらが熟考するために、そしてかれらが真実を拒否し過ちに導かれることに引き入れられないために、この物語を告げなさい。

(177) 最悪は、アッラーの印と証拠を嘘呼ばわりし、それを信じずに、自分自身を損ない、破滅を稼いできた人びとである。

(178) 誰でもアッラーが正しい道に導いた人は、真に導かれた人である。他方、かれが正しい道から迷わせた人は、損失者である。復活の日には、かれらとその家族は損失をこうむるが、かれらこそは明瞭な失敗者である。

(179) 確かにわれらは地獄行きとなる、多くの幽精(ジン)と人間を創ったが、それらは地獄の住人の行動を取ることが分かっているからである。かれらは、心はあっても何が益し何が害するかが分からず、目はあっても心の中や水平線上のアッラーの印を見ないで学ばず、また耳はあっても反省のためにアッラーの啓示を聞くことはない。かれらに理性はなくて、家畜のようだ。いや、それよりも迷っている。かれらは、アッラー信仰と最後の日に不注意な人びとである。

(180) 称賛されるべきアッラーに、その荘厳さと完璧さを示す、最もすばらしい美称は属する。だから何かお願いするときは、これらの美称で、かれを呼び、称えなさい。そしてかれの美称の真実に背いて、それを他の神に賦与したり、拒否したり、意味をねじ曲げたり、それで別のものをアッラーに似せたりする人を放っておきなさい。アッラーは、こられの真実に反する人びとに痛烈な罰を与えられる。

(181) またわれらが創った人びとには、真理によって導かれ、またそれに呼び掛けることでまた導かれ、真実を通じてその判断も公正になり、過ちをしない共同体がある。

(182) しかしわれらの印を否定し、信じないで、拒否する人びとは、この世で引き続き糧を与えられる。しかしそれはかれらを評価してではなく、かれらの過ちを継続させて、徐々にその過ちを深めるためである。そして突然に、われらが懲罰をもたらすためである。

(183) かれらに猶予が与えられるのは、かれらが罰を受けないと考えるまでである。つまり、拒否と不信仰を継続し、罰も増大するのである。実にわれらの深謀は強く、外見では良く見えても、恥辱を望んでいるのである。

(184) アッラーの印と預言者を拒否し、かれらは熟考しないのか。ムハンマド(アッラーの祝福と平安を)は気が狂ったのではないことに気付かないのか。かれは懲罰につき明瞭に知らせるために送られた、アッラーからの一人の警告者に他ならない。

(185) かれらは諸天と地の大権について、またアッラーが創造した動物や植物などすべてのものについて、そしてかれらの期限が近くに迫っているかもしれないことについて、時機を逃す前に考察しないのか。それでこの後、クルアーンとその中にある約束と警告を信じないならば、どんな書をかれらは信じようとするのか。

(186) アッラーが真実と正しい道から迷わせた人に、導きはない。かれは、このような人びとを、過ちと不信仰のまま、さ迷い、何にも導かれることがないままに放っておかれる。

(187) かれら嘘つきで頑固な連中は復活のときについて、到来がいつか、そしてそれを知ることとなるのかとあなたに問うだろう。言いなさい、預言者よ。その知識は、わたしにはなく、他の誰にもない。それはアッラーだけにある。その定められた時を明らかにするのはかれの他にいない。それは、諸天でも地の人々には知らされていない。それは突然あなた方にやって来るのだ。かれらは、あなたがそれについて知りたがっているかのように聞くであろう。しかしあなたは主をよく知っているので、それを知ろうとはしていないが、かれらはそれを知らないのだ。言え、その知識はただアッラーのみにあるのだ。しかし大半の人びとには、これがわからない。

(188) 言いなさい、預言者よ。アッラーがお望みにならない限り、わたし自身を益しまたは害する力もない。それらはアッラーのみの分野であり、わたしはアッラーが教えてくれたことだけしか知らない。もしわたしが見えない世界を知っていたならば、わたしは善を増幅させていただろうし、災いが起こる前にそれを知って、わたしは防衛することもできたであろう。わたしが預言者であることとわたしがもたらす啓示を信仰する人びとのための、至高なるアッラーからの1人の懲罰の警告者であり、報奨の吉報を伝える1人の使者にすぎない。

(189) 男女よ、かれこそは、アーダム(平安あれ)というひとつの魂からあなた方を創り、安らぎを得るために、その肋骨からハウワーゥという配偶者を創られた方である。かれがかの女と交わると、かの女は少し荷を感じたけれど、それと共に生活していた。しかしかの女が重くなるにつれて、両人はかれらの主に祈願した。もしあなたが健全な良い子をわたしたちにお授けになれば、わたしたちはその恵みに対して感謝を捧げるだろうと。

(190) ところがアッラーが両人に良い子を授けると、かれらは授けられたものでもって、かれに同位者を並置した。名前をアブド・アルハーリスとして、その子を崇めたのだが、アッラーは、かれら多神教徒が同位を配するものの上に、高くおられる。かれは、唯一の主であり、唯一の神である。

(191) かれらは偶像で、何も創造できないものや、自らが創造され、崇拝に価しないというものを、どうしてアッラーと同位に配することができるのか。

(192) それらアッラーに並置される被造物はかれらを助けず、さらには自分自身も助けられない。だからそれらを崇めるというのは、どういうことだ。

(193) 多神教徒よ、たとえあなた方が導きへと、それら偶像を呼んでも、あなた方に答えず、従わないでしょう。あなた方が呼びかけても、黙っていても、あなた方にとっては同じことである。それらは単に物に過ぎず、考えもせず、聞かず、話さないのだ。

(194) 多神教徒よ、確かにアッラーの他にあなた方が呼んでいた被造物も、あなた方のようにアッラーのものである。その意味ではあなたと同じだが、あなたは生きているし、話し、歩き、聞き見るが、偶像はそうでないので、あなたの方がまだましだ。だからもしあなた方が言うことが本当ならば、それらを呼びなさい。そしてあなた方に返答させなさい。

(195) それら神として崇められる被造物には、生活のために歩く足があるのか、力で守るための手があるのか、隠れていたものを見てそれを知らせる目があるのか、または聞いて知らせる耳があるのか。もしできないならば、裨益し害から防御することを望んで、それらをどうして拝むのか。ムハンマドよ、言いなさい。あなた方多神教徒の多神を呼びなさい。さらにわたしに対して策謀してみなさい。躊躇することはない。

(196) 誠にわたしの擁護者はアッラーで、かれ以外には必要ない。偶像に恐れることはなく、かれは啓典を導きとして人々に啓示された。かれこそは正しい人びとを擁護し、安全にし、助力する。

(197) そしてアッラーの他にあなた方が呼んでいた偶像たちは、あなた方を助けることができず、自分自身さえも助けることができない。かれらは全く無能で、何もできず、アッラーを置いてどうしてかれらを呼ぶことができるだろうか。

(198) たとえあなた方がかれら偶像を正しさに招いても、かれらは聞かない。あなたはかれらが、目を塗られてあなたを傍観しているのを見る。かれらは物であり、見ることはできない。人間や動物の像を手、足、目を付けて、像を造っていたが、それらは物に過ぎないのだ。非生物で動くこともできない。

(199) 預言者(アッラーの祝福と平安あれ)よ、人びとの心が許し、かれらが容易にできる行動や道徳を受け入れて、かれらの性向からして難しすぎることは求めるではない。そうしたら、かれらは離れてゆくからだ。美しく話し、善行を重ね、馬鹿げた人から遠ざかり、その無知さに向かい合うではない。馬鹿さに対して、馬鹿さで向かうではない。人があなたを傷つけても、かれらを傷つけてはならない。またあなたを拒否するとしても、その人を拒否してはならない。

(200) そしてあなたを悪魔がつぶやいて誘惑に来たり、善行を差し止めようとするときは、アッラーに逃れて、その庇護を求めなさい。誠にかれは全聴にして、あなたが庇護を求めた時はそれを知り、悪魔から守ってくれる。

(201) アッラーを意識して、その命令に従い、禁止されたことから遠ざかる人びとは、悪魔からの悪い誘惑がかれらに来て罪を犯させると、アッラーの力と悪行の輩への懲罰と善行の者への報奨を想起する。不信仰者の背反行為から遠ざかり、赦しを請いつつアッラーに向かうことで、かれらは正しくあり、悪行を明瞭に見つつ、それには同調しないのである。

(202) でも悪魔の兄弟は、非道徳と不信仰を犯しつつ、他の悪魔によって次から次へと罪を重ねるのだ。決して手を緩めない。過ちの悪魔、非道徳なそれ、あるいはそれらに従う人間ども、それらは悪行を犯し続けるということである。

(203) 預言者(アッラーの祝福と平安あれ)よ、あなたが印をかれらにもたらすと、それを拒否し、背いてしまう。そしてそれをもたらさないと、なぜあなたはそれを自身で創作しないのかと、かれらは言う。言え。わたしは、自分で印をもたらすのではない。ただ自分の主がわたしに啓示されるものを繰り返すだけなのだ。このわたしが読むクルアーンは、あなた方の創造の主であり統率者であるアッラーからの証拠で証明だが、それは信じる人びとへの導きであり、慈悲である。不信仰の人びとは、迷って惨めな状態にある。

(204) それでクルアーンが読誦されるときは、それを傾聴し、また話を止めなさい。また他のことに気を奪われるな。そうすれば、あなた方は慈悲を授かるでしょう。

(205) そしてあなたの主であるアッラーを、腰を低くして、自分の心の中で畏怖しなさい。大声を控え、一日の初めと終わりに唱えなさい。それは格別の時間帯である。称賛されるアッラーについて、不注意な人びとの仲間となってはいけない。

(206) 本当にあなたの主の元にいる天使たちは、かれに服従することで高慢にならずに、ひたすらかれに帰依し、疲れ知らずに従って、夜も昼もかれを奉り、かれのみに平伏している。