37 - スーラッサーッファート ()

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(1) 列をなす整列者たち¹にかけて(、誓う)。²
1 アッラー*に仕えるため、整列する天使*たちのこと、とされる(アッ=サァディー700頁参照)。 2 これは、アッラー*の近い。アッラー*は、かれがお望みになるもので誓われるが、人間はアッラー*以外のものにおいて誓ってはならない(ムヤッサル446頁参照)。

(2) また、力強く追い立てる者たち、

(3) そして、教訓を読誦する者たちにかけて。¹
1 大半の解釈学者は、アーヤ*2を「雲を追いやり、移動させる」天使*たちのことであるとし、このアーヤ*も「アッラー*の教訓を読誦する」天使*たちである、としている(アッ=シャルビーニー3:448参照)。

(4) (人々よ、)本当にあなた方の崇拝*すべきは、ただお一方、

(5) 諸天と大地とその間にあるものの主*、いくつもの東¹の主。
1 ここでの「東」は、同年において毎日異なる、太陽の昇る地点のこととされる。また、「陽の目を見る、全てのものの主」という説もある(アル=バガウィー4:26参照)。

(6) 本当にわれら*は、最下層の天を、星々という装飾で飾った。

(7) 反抗的な、あらゆるシャイターン*からの護衛のため。

(8) 彼ら(シャイターン*)は、(天の)最上層の貴人たち(である天使*たちが、啓示について話すこと)に聞き耳を立てては、あらゆる方向から(流星で)撃たれ(、それを阻止され)る。

(9) (彼らを)放逐すべく。そして彼らには(来世で)、常なる懲罰がある。

(10) 但し、(話を)さっと掠め取り、貫く流星によって追尾される者は別である。¹
1 アル=ヒジュル章17-18、詩人たち章212,223とその訳注、王権章5、ジン*章8-9も参照。

(11) (使徒*よ、)彼ら(復活を否定する者たち)に聞いてみよ。一体彼らがより強力なのか、それともわれら*が創造した(これらの)ものか?本当にわれら*は、彼ら(の父祖アーダム*)をねばねばする泥土から創ったのだぞ¹。
1 人間の創造の変遷については、巡礼*章5、信仰者たち章14とその訳注を参照。

(12) いや(使徒*よ)、あなたは(彼らが復活を否定することに)驚いた。彼らは(あなたの言葉を)嘲笑している。

(13) また喚起させられても、教訓を得ない。

(14) そして(あなたの預言者*性を示す)御徴を見れば、嘲笑する。

(15) また、彼らは言った。「これは紛れもない魔術に外ならない。

(16) 一体、死んで土と骨と化した後で、本当に私たちが蘇らされる身であるなどというのか?

(17) そして、私たちの昔のご先祖様たちも?」

(18) (使徒*よ、)言ってやれ。「ああ。あなた方は蔑まれた者となって(、蘇らされる)」。

(19) それは、ただの一声¹に過ぎないのだぞ。するとどうであろうか、彼らは(蘇って、復活の日*の恐怖を)目の当たりにする。
1 この「一声」は、二回目の角笛とされる(アル=クルトゥビー15:72参照)。家畜章73の訳注も参照。

(20) そして彼らは言う。「我らが災いよ!¹これは報いの日*だ」。
1 「我らが災いよ」という表現については、食卓章31の訳注を参照。

(21) (すると、彼らに言われる。)「これが、あなた方が(現世で)嘘呼ばわりしていた裁決の日¹である」。²
1 善い行いの者と悪い行いの者が分けられる、「裁決の日」のこと(アル=バガウィー4:29参照)。 2 この言葉の主には、「アッラー*」「天使*」「地獄の民どうしの言葉」という説がある(アル=クルトゥビー15:72参照)。

(22) (そして天使*たちに、こう言われる。)不正*を犯した者たちと彼らと同様の者たち¹、そして彼らが崇めていた者たちを召集せよ。
1 「不正*を犯した者たち」とは、シルク*を犯した者たちのこと。それと「同様の者たち」には、「不信仰において同調していた彼らの妻たち」「彼らの仲間であるシャイターン*」といった解釈がある(前掲書15:73参照)。

(23) アッラー*をよそに(崇めていた者たちを)。そして彼らを、火獄の道へと案内せよ。

(24) また(地獄に入る前に)、彼らを止めよ。実に彼らは(現世での言動について)、問われる者たちなのだから。¹
1 食卓章109、高壁章8の訳注も参照。

(25) (そして彼らには、こう言われる。)「あなた方が互いに助け合わないのは、どういうことか?」

(26) いや、彼らはその日、(アッラー*のご命令に)降参した者たちなのだ。

(27) 彼ら(不信仰者*)は互いに近づき、質問し合う。

(28) 彼ら(他人に倣って不信仰者*となった者たち)は、(自分たちを不信仰へと主導した者たちに)言う。「本当にあなた方は(私たちを迷わせるべく)、右側から私たちのもとにやって来ていた¹」。²
1 「右側から来る」の解釈には、「期待させるようなことを言いつつ」「誓いの言葉を添えつつ」「宗教的側面から」「力づくで」などの諸説がある(アル=クルトゥビー15:75参照)。 2 同様の情景の描写として、雌牛章166-167、高壁章38、イブラーヒーム*章21-22、識別章17-19、物語章63、部族連合章67-68、サバア章31-33なども参照。

(29) 彼ら(不信仰へと主導した者たち)は、言う。「いや、あなた方は(そもそも)信仰者(となるべき者)ではなかったのだ。

(30) また。私たちには(あなた方を信仰から阻むことにおいて)、あなた方に対するいかなる(正当な)根拠¹もなかった。いや、あなた方は放埓な民だったのである。
1 イブラーヒーム*章22の同語に関する訳注も参照。

(31) それで私たちに対して、我らが主*の御言葉¹が実現したのだ。本当に私たちは、まさしく(懲罰を)味わう者たちなのである。
1 この「御言葉」は、アッ=サジダ*章13にある、懲罰の言葉とされる(アル=バガウィー4:30参照)。

(32) そして私たちは、あなた方を(正しい道から)逸脱させた。本当に私たちは、誤った者たちであった」。

(33) (復活*の)その日、本当に彼らは(全員)、共に懲罰の中にある。

(34) 本当にわれら*は罪悪者たちに対し、このようにするのだ。

(35) 実に彼らは、「アッラー*の外に、崇拝*すべきいかなるものもない(、と言いなさい)」と言われた時、(そうせずに)奢り高ぶっていた。

(36) そして、彼らは言うのだ。「一体、本当に私たちが、憑かれた¹詩人(ムハンマド*のこと)ゆえに、自分たちの神々²を棄て去ろうか?」
1 アル=ヒジュル章6「憑かれた者」の訳注も参照。 2 「神々」に関しては、雌牛章133の訳注を参照。

(37) いや、彼(ムハンマド*)は真実を携えてやって来たのであり、(彼以前に)遣わされた(預言)者*たち(がアッラー*について伝えたこと)を確証したのだ。

(38) 本当に(シルク*の徒よ、)あなた方はまさに、痛ましい懲罰を味わう者たちである。

(39) そしてあなた方が(来世で)報われるのは、自分たちが(現世で)行っていたこと(によるもの)以外の、何ものでもない。

(40) 但し、精選されたアッラー*の僕たち¹は別であるが。
1 「精選されたアッラー*の僕」については、ユースフ*章24の訳注を参照。

(41) それらの者たちには、周知の糧¹がある。
1 その永遠性、美味さといった特質において、「周知の」糧(アル=バイダーウィー5:11参照)。

(42) (それは)果実であり、彼らは厚遇される者たち。

(43) 安寧の楽園で、

(44) 互いに向かい合いつつ¹、寝台の上に。
1 アル=ヒジュル章47の訳注を参照。

(45) (酒の)湧き水からの盃が、彼らに回される。

(46) (その盃は)白く、飲む者たちにとって美味なもの。

(47) そこには(頭や腹の)痛みもなければ、それゆえに理性を失うこともない。

(48) また彼らのもとには、(自分の夫だけに)視線を定めた¹、麗しい眼の女性たちがいる。
1 天国の妻は貞淑で、夫以外の誰のそばにも近づかない。そしてそれは彼女の夫もまた美しく、完全であるためである。あるいは、彼女が夫だけを見つめるのは、夫が完全な美しさを備えた彼女だけを見つめているからなのである(アッ=サァディー702頁参照)。雌牛章25「純潔な妻」、及び煙霧章54の訳注も参照。

(49) 彼女たちはまるで、秘められた卵¹のよう。
1 「秘められた卵」の意味には、「その羽で風や埃(ほこり)から守った、ダチョウの卵。黄色地に白身がかった色で、最も美しい女性の色の象徴」「殻(から)が割れる前の、卵の中身のこと」「卵の薄い殻」「真珠のたとえ」といった諸説がある(アル=クルトゥビー15:80-81参照)。

(50) 彼らは互いに近づき、(現世における彼らの状態について、)質問し合う。

(51) 彼ら(天国の民)の内の、ある者は言う。「本当に私には(現世で)、付きまとう者¹がありました。
1 これには「シャイターン*」「人間」「兄弟」などの説があるが、いずれにせよ復活を否定する者であった(アル=バガウィー4:32参照)。

(52) 彼は(こう)言っていました。『本当にあなたは、(復活を)信じるというのか?

(53) 死んで土と骨と化した後で、本当に私たちが(蘇らされ、自分の行いで)報われる身であると?』」

(54) 彼(天国の民のある者)は、(仲間たちに)言う。「あなた方は、(現世で付きまとっていたその者の結末を)見てみますか?」

(55) それで見てみると、かれが 火獄の真ん中にいるのを目にする。

(56) 彼は(現世で付きまとっていた者に、)言う。「アッラー*に誓って。本当にあなたは、私のことを(信仰の妨害によって、)まさしく(破滅へと)転落させるところだった。

(57) そしてもし、(信仰という)我が主*の恩恵がなければ、私は(あなたと共に懲罰へと)連行される者となっていた。

(58) 私たちは(永遠に安寧を味わう者であり、)死にゆく者ではないのではないか?

(59) ただ、(現世で)一度の死だけ(を味わったのみ)であり、(天国に入った後、)私たちは罰されることなどないのではないか?

(60) 本当にこれこそは、まさに偉大なる勝利。

(61) このようなもの(の獲得)のためにこそ、勤行者たちは、(現世で)勤行するがよい」。¹
1 アーヤ*60-61は、天国の民の言葉ではなく、アッラー*の御言葉という説もある(アル=バイダーウィー5:14参照)。

(62) 一体それが、より善い御もてなしなのか、それともザックームの木¹か?
1 夜の旅章60「呪われた木」の訳注、および煙霧章43-46、出来事章52-53を参照。

(63) 本当にわれらはそれを、不正*者たちの試練としたのだ。

(64) 実にそれは、火獄の奥底に生え出る木。

(65) その実は、あたかもシャイターン*の頭のよう(に醜い)。

(66) 本当に彼ら(シルク*の徒)は、まさしくそこから食べ、それで腹を満たすことになる。

(67) それから彼らの戻り場所こそは、まさに火獄なのだ。

(68) 本当に彼らは、自分たちの先祖が(シルク*を犯して)迷っているのを認め、

(69) その跡を辿って急ぐのだから(、そのような結末となったのである)。

(70) 彼ら以前にも確かに、昔の人々の多くが(真理から)迷った。

(71) そしてわれら*は確かに、彼らに警告者たちを遣わしたのである。

(72) ならば、見てみるがよい。警告された者たちの結末がいかなるものであったかを?

(73) 但し、精選されたアッラー*の僕たち¹は別であるが。

(74) 但し、精選されたアッラー*の僕たち¹は別であるが。
1 「精選されたアッラー*の僕」については、ユースフ*章24の訳注を参照。

(75) ヌーフ*は確かに、われら*に呼びかけた¹。(彼に)応えられるお方の、何とまさしく素晴らしいことか。
1 呼びかけた祈願の内容については、月章10、ヌーフ*章26-27を参照。また、ヌーフ*とその民の間の出来事については、高壁章59-64、フード*章25-48、信仰者たち章23-30、詩人たち章105-122、月章9-17なども参照。

(76) そしてわれら*は、彼とその家族をこの上ない苦悩¹から救った。
2 「この上ない苦悩」については、預言者*たち章76の訳注を参照。

(77) また、われら*はその子孫を(溺れずに)生き残る者とした。

(78) そして後世の人々の内に、彼へ(の賛美を)残しておいた。¹
1 アッラー*は復活の日*まで、彼が他の預言者*たちや民の間で、賛美され、褒(ほ)めたたえるようにされた(アル=バガウィー4:34参照)。

(79) 全創造物において、ヌーフ*に平安を。¹
1 一説に、この「平安」はアッラー*からの御言葉で、誰からも彼が悪く言われることはない、というアッラー*からの保証のこと。また一説に、これは彼が復活の日*まで、「平安を」という挨拶(家畜章54の訳注を参照)を受け続けるということ(イブン・アティーヤ4:478参照)。

(80) 本当にわれら*はこのように、善を尽くす者¹たちに報いるのだ。
1 「善を尽くす者」については、蜜蜂章128の訳注を参照。

(81) 実に彼(ヌーフ*)は、信仰者であるわれら*の僕たちの一人である。

(82) それからわれら*は、(信仰者ではない)他の者たちを溺れさせた。

(83) また、彼(ヌーフ*)の党派¹の一人が、まさしくイブラーヒーム*である。
1 その宗教と手法において、同じ党派であったということ(ムヤッサル449頁参照)。

(84) 彼が健全な心¹と共に、その主*の御許へやって来た時²のこと。
1 「健全な心」については、詩人たち章89の訳注を参照。 2 「主*の御許へやって来た時」とは、アッラーの唯一性*とかれへの服従へと人々を招いた時のこと、あるいは、彼が日の中に放り込まれた時のことを指す、とされる(アル=クルトゥビー15:91参照)。イブラーヒーム*とその父親、及びその民のやり取りについては、家畜章74-82、マルヤム*章42-48、預言者*たち章52-70、詩人たち章70-89、金の装飾章26-28も参照。

(85) 彼がその父と民に、(こう)言った時。「あなた方は、何を崇めているのですか?」

(86) でっち上げ、つまりアッラー*以外の神々¹を、あなた方は求めているのですか?
1 「神々」に関しては、雌牛章133の訳注を参照。

(87) 全創造物の主*についての、あなた方のご推測はいかがなものなのですか?¹」
1 もしあなた方がアッラー*にシルク*を犯したら、かれはあなた方をどうされると思うのか、ということ(ムヤッサル449頁参照)。

(88) そして彼(イブラーヒーム*)は、星々の方へと視線をやると、¹
1 人々と共に祭日に出かけなくても済むよう、言い訳を思案した様子を表す(前掲書、同頁参照)。そしてそれは彼らの不在中に、彫像を破壊するためであった(イブン・カスィール7:24参照)。この一連の出来事については、預言者*たち章57-70とその訳注も参照。

(89) (民に)言った。「本当に私は、病気なのです」。

(90) こうして彼らは背を向けて、(イブラーヒーム*を後に)立ち去った。

(91) それから彼(イブラーヒーム*)は、彼らの神々(彫像)のところへ赴き、(蔑んで)言った。「あなた方は、(供え物の食事を)食べないのか?

(92) あなた方が喋らないのは、どういうことか?」

(93) そして彼は右の手で殴り(壊し)つつ、それらを回った。

(94) こうして彼ら(民)は、彼(イブラーヒーム*)のもとに、駆け足でやって来た。

(95) 彼(イブラーヒーム*)は言った。「一体あなた方は、自分たちが彫ったものを崇めるのですか?

(96) アッラー*があなた方と、あなた方が行うもの¹をお創りになったというのに?」
1 「あなた方が行うもの」とは、「行為一般」または「作成した彫像のこと」(イブン・カスィール7:24頁参照)。

(97) 彼らは言った。「彼のために建屋を建て(て、そこに火をつけ)、彼を火獄の中へと放り込んでしまえ」。¹
1 預言者*たち章69-70とその訳注も参照。

(98) こうして彼らは彼(イブラーヒーム*)に策略を望んだが、われら*は彼らを敗北者とした。

(99) また、彼は言った。「私はまさしく、我が主*の御許へと赴く¹者である。かれは私を、お導き下さろう。
1 不信仰の民*の土地から、アッラー*の崇拝*が出来る土地へと移住すること(ムヤッサル449頁参照)。預言者*たち章71とその訳注も参照。

(100) 我が主*よ、私に正しい者*たちから(の者となる子供を)、お授け下さい」。

(101) それでわれら*は、彼に、寛大な(者となる)男児(イスマーイール*)の吉報を伝えた。

(102) こうして、彼(イスマーイール*)が彼(イブラーヒーム*)と共に働くようになるまで成長した時、彼(イブラーヒーム*)は言った。「息子よ、実に私は夢で、私がお前のことを屠るのを見る¹のだ。ならば、お前はどう思うか、考えてみるがよい」。彼(イスマーイール*)は言った。「お父さん、あなたが命じられることをして下さい。あなたはーーアッラー*がお望みならーー、私が忍耐*強い者であることを見出すでしょう」。
1 つまり、アッラー*が夢の中で彼を屠(ほふ)るようにご命じになる、ということ。預言者*の夢は啓示である、と言われる(アッ=サァディー705頁参照)。

(103) こうして彼らが(主*のご命令に)服し、彼(イブラーヒーム*)が彼(イスマーイール*)を、こめかみを(地面に)つけて(横向きに)倒した時、

(104) われら*は彼に呼びかけた。「イブラーヒーム*よ、

(105) あなたは確かに夢を確証した。実にわれら*は善を尽くす者¹たちに対し、このように報いるのだ。
1 「善を尽くす者」については、蜜蜂章128の訳注を参照。

(106) 本当にこれこそはまさしく、紛れもなき試練であった」。

(107) そしてわれら*は彼(イスマーイール*)を、この上ない犠牲で償った。¹
1 「この上ない犠牲」とは大きな羊のこと。これがイスマーイール*の代わりに屠られた(ムヤッサル450頁参照)。

(108) そして後世の人々の内に、彼へ(の賛美を)残しておいた。¹
1 この意味については、アーヤ*78の訳注を参照。

(109) イブラーヒーム*に平安を。¹
1 この意味については、アーヤ*79の訳注を参照。

(110) 本当にわれら*はこのように、善を尽くす者¹たちに報いるのだ。
1 「善を尽くす者」については、蜜蜂章128の訳注を参照。

(111) 実に彼(イブラーヒーム*)は、信仰者であるわれら*の僕たちの一人である。

(112) またわれら*は彼(イブラーヒーム*)に、(後に)正しい者*の一人である預言者*となる、イスハーク*(誕生)の吉報を伝えた。

(113) そしてわれら*は、彼(イブラーヒーム*)とイスハーク*を祝福した。彼ら二人の子孫には、善を尽くす者¹もいれば、自らに明らかな不正*を働く者もいる。
1 アーヤ*110の訳注を参照。

(114) またわれら*は確かに、ムーサー*とハールーン*に(預言者*としての使命という)恵を授けた。

(115) そして彼ら二人とその民(イスラーイールの子ら*)を、この上ない苦悩¹から救った。
1 彼らの「苦悩」とは、溺死(できし)のこと(ユーヌス*章90-92、ター・ハー章77-78、詩人たち章61-66、煙霧章24参照)、またはフィルアウン*に対する隷属(れいぞく)状態と抑圧(雌牛章49とその訳注を参照)のこと。

(116) またわれら*は彼らを助け、彼らはまさに(フィルアウン*とその民に対する)勝利者となった。

(117) そしてわれら*は彼ら二人に解明の啓典¹を授け、
1 トーラー*のこと。高壁章145の訳注も参照。

(118) 彼ら二人をまっすぐな道(イスラーム*)へと導いた。

(119) また後世の人々の内に、彼ら二人へ(の賛美を)残しておいた。¹
1 この意味については、アーヤ*78の訳注を参照。

(120) ムーサー*とハールーン*に平安を。¹
1 この意味については、アーヤ*79の訳注を参照。

(121) 本当にわれら*はこのように、善を尽くす者¹たちに報いるのだ。
1 「善を尽くす者」については、蜜蜂章128の訳注を参照。

(122) 実に彼ら二人は、信仰者であるわれら*の僕たちの内の者である。

(123) また実にイルヤース*は、まさしく(預言者*として)遣わされた者の一人であった。

(124) 彼がその民に、(こう)言った時。「一体あなた方は、(アッラー*を)畏れ*ないのか?

(125) 一体あなた方はバァル¹に祈り、創造する者の内でも最善のお方(アッラー*)を放ったらかしにするというのか?
1 「バァル」とは、彫像の名とされる(アッ=サァディー707頁参照)。

(126) アッラー*を、つまりあなた方の主*であり、あなた方の昔の先祖の主を?」

(127) そして彼らは、彼(イルヤース*)を噓つき呼ばわりした。ゆえに、本当に彼らは(復活の日*、)必ずや(懲罰へと)連行される者となる。

(128) 但し、精選されたアッラー*の僕たち¹は別であるが。
1 「精選されたアッラー*の僕」については、ユースフ*章24の訳注を参照。

(129) またわれら*は、後世の人々の内に、彼へ(の賛美を)残しておいた。¹
1 この意味については、アーヤ*78の訳注を参照。

(130) イル・ヤースィーン¹に平安を。²
1 「イル・ヤースィーン」の解釈としては、「イルヤース*自身の別称」「イルヤース*の使徒たち」など、諸説ある(アル=バイダーウィー5:26参照)。 2 この意味については、アーヤ*79の訳注を参照。

(131) 本当にわれら*はこのように、善を尽くす者¹たちに報いるのだ。
1 「善を尽くす者」については、蜜蜂章128の訳注を参照。

(132) 実に彼(イルヤース*)は、信仰者であるわれら*の僕たちの一人である。

(133) また、実にルート*は、まさに(預言者*として)遣わされた者の一人であった。¹
1 彼とその民の間に起こった話については、高壁章80-84、フード*章69-83、詩人たち章160-175、蟻章54-58、蜘蛛章28-35、月章33-40も参照。

(134) われら*が彼とその家族を、皆救い出した時のこと。

(135) 但し、残っ(て滅ぼされ)た者たちの一人であった老女¹だけは、別だったが。
1 この「老女」については、詩人たち章171の訳注を参照。

(136) それからわれら*は、(信仰者ではない)他の者たちを滅ぼした。

(137) そして(マッカ*の民よ)、本当にあなた方はまさしく、彼ら(ルート*の民)のもとを朝に通り過ぎている。¹
1 アル=ヒジュル章76とその訳注を参照。

(138) また、夜にも。一体、あなた方は弁えないのか?

(139) また実にユーヌス*は、まさに(預言者*として)遣わされた者の一人であった。

(140) 彼が(自分の民に立腹して、)満載の船へと逃げた時のこと。¹
1 この出来事については、預言者*たち章87とその訳注を参照。

(141) そしてくじ引きをし、彼(ユーヌス*)は負けた内の者となった。¹
1 船は荒波に襲われ、乗員たちは船の転覆(てんぷく)を恐れた。それで彼らは船の重量を減らすため、誰が犠牲になるかで、くじ引きをした(ムヤッサル451頁参照)。

(142) こうして(ユーヌス*は海に落とされたが)、大魚が彼を呑み込んだ。彼は咎められるべき者であった。

(143) もし彼が、(アッラー*を)よく称える*者の一人でなかったなら、¹
1 それ以前に行っていた多くの崇拝*行為や正しい行い*がなかったら、という意味とされる。預言者*たち章87に描写されている、この時の彼の言葉も参照(前掲書、同頁参照)。

(144) 彼らが蘇らされる(復活*の)日まで、その腹の中に留まったことであろう。¹
1 そこが彼の墓となったであろう、という意味(前掲書、同頁参照)。

(145) こうしてわれら*は彼を(大魚の腹の内から)、弱り切った状態で、不毛の地に放り投げた。

(146) そしてわれら*は彼の上に、瓜の木¹を一本、生やしてやった。
1 これにより彼は日陰と、その他の益を得た(前掲書、同頁参照)。

(147) またわれら*は彼を十万人、いや、それ以上(の民)へと遣わした。¹
1 そもそもユーヌス*が預言者*として遣わされたのは、大魚から出た後のことであるという説もある。また大魚から出た後、彼が自分の民だけでなく、別の民にも遣わされたのだ、という説もある(イブン・カスィール7:40参照)。

(148) そして彼らは信じ、われら*は彼らを(彼らに死が訪れる)その時まで楽しませておいた。

(149) ならば、(使徒*よ)、彼ら(マッカ*の不信仰者*たち)に尋ねよ。一体あなたの主*には娘があり、彼らには息子があるのか、と。¹
1 このアーヤ*の意味については、蜜蜂章57とその訳注を参照。

(150) それとも、われら*は彼らが立ち会う中、天使*を女として創ったのか?

(151) 本当に彼らはでっち上げて、まさに(こう)言っているのではないか。

(152) 「アッラー*は子供をお産みになった」。本当に彼らは、まさしく噓つきなのだ。

(153) 一体かれが、息子を差しおいて娘をお選びになったというのか?

(154) 一体、あなた方はどうしたことか?あなた方はいかに(不当な)決め方をするのか?

(155) 一体、あなた方は教訓を受けないのか?

(156) いや、一体あなた方には(そのような主張への、)紛れもない証拠でもあるというのか?

(157) では、あなた方の啓典を持って来てみよ。もし、あなた方が本当のことを言っているのなら。

(158) 彼ら(シルク*の徒)は、かれ(アッラー*)とジン*の間に近親関係をもうけた。そしてジン*は確かに、彼ら(シルク*の徒)が(復活の日*、懲罰へと)まさしく連行されることを、知っているのだ。¹
1 ここでの「ジン*」は、大半の学者によれば天使*のこと(アル=クルトゥビー15:135参照)。

(159) 彼らの言うようなことから(無縁な)、アッラー*に称え*あれ。¹
1 雌牛章116の訳注も参照。

(160) 但し、精選されたアッラー*の僕たち¹は別であるが。²
1 「精選されたアッラー*の僕」については、ユースフ*章24の訳注を参照。 2 つまり、彼らはアッラー*にふさわしくないことを言わない(ムヤッサル452頁参照)。

(161) (シルク*の徒よ、)本当にあなた方と、あなた方が(アッラー*を差しおいて)崇めているもの、

(162) あなた方はそれゆえに、(誰かを)迷わせる(ことが出来る)者ではない、

(163) (不信仰ゆえに)火獄に入り炙られる(ことになる、とアッラー*によって定められた)者を除いては。

(164) (天使*たちは、言う。)「私たちの内で、(天に)特定の持ち場¹がない者はいない。
1 アッラー*を崇拝*し、命じられた通りの任務をこなす「持ち場」(アル=カースィミー14:5068参照)。

(165) 私たちこそは、まさしく(アッラー*に仕えるため)整列する者。

(166) そして本当に私たちこそは、(アッラー*を)称える*者」。

(167) (預言者*よ、あなたが遣わされる前、)本当に彼ら(マッカ*の不信仰者*ら)は、(こう)言っていた。

(168) 「もし私たちのもとに、昔の人々からの教訓¹があったならば、
1 この「教訓」とは、過去の民に到来した、啓典や預言者*のこと(ムヤッサル452頁参照)。

(169) 私たちは、精選されたアッラー*の僕¹であったのに」。
1 「精選されたアッラー*の僕」については、ユースフ*章24の訳注を参照。

(170) しかし彼らは(使徒*ムハンマド*がクルアーン*を携えて到来した時)、それを否定した。ならば、彼らは(来世での自分たちの結末を)知るであろう。

(171) 遣わされた者であるわれら*の僕たちには確かに、(彼らが理論と力によって勝利するとの)われら*の言葉が、既に定められている。

(172) 本当に彼らこそは、援助される者。

(173) また本当にわれら*の軍勢こそは、勝利者。

(174) ならば(使徒*よ、)その時まで、彼らから背を向けよ。¹
1 真理を受け入れない頑固な者たちを、アッラー*が猶予(ゆうよ)されたその時まで放っておけ、ということ(前掲書、同頁参照)。

(175) そして彼ら(が、そんな目にあうか)を見ておけ。そうすれば、彼らはやがて(懲罰を)見ることとなろう。

(176) 一体彼らは、われら*の懲罰を性急に求めるのか?¹
1 「懲罰を急ぐ」については、家畜章57-58、戦利品*章32、ユーヌス*章50、フード*章8、雷鳴章6、夜の旅章92、巡礼*章47、蜘蛛章53-54、サード章16、相談章18、階段章1-2なども参照。

(177) そしてそれが彼らの庭に到着する時、警告されていた者たちの朝は、何と忌まわしいことだろうか。¹
1 懲罰が、敵の軍隊にたとえられている。また「朝」という語は、不意打ちを連想させる(イブン・アーシュール23:197参照)。

(178) ならば(使徒*よ、)その時まで、彼らから背を向けよ。¹
1 アーヤ*174の訳注を参照。

(179) そして彼ら(が、どんな目にあうか)を見ておけ。そうすれば、彼らはやがて(懲罰を)見ることとなろう。

(180) 彼らの言うようなことから(無縁な)、あなたの主*、権勢の主*に称え*あれ。

(181) また遣わされた者たちに、平安を。¹
1 この意味については、アーヤ*79の訳注を参照。

(182) そして全創造物の主*アッラー*に、称賛*あれ、