(1) 彼ら（不信仰者*たち）は何について、尋ね合っているのか？
(2) 偉大なる消息¹について（、である）。
１ 「偉大なる消息」とは、死後の復活を伝えるクルアーン*のこと（ムヤッサル５８２頁参照）。
(3) 彼らはそこにおいて、意見を異にしている¹。
１ 「意見を異にしている」には、「ある者はそれを嘘と決めつけ、またある者はそれを疑った」「それを魔術、詩、占い師の言葉などと異なる言葉で表現した」「ある者はそれを信じ、ある者はそれを信じなかった」といった解釈がある（イブン・ジュザイ２：５２７－５２８参照）。
(4) 断じて（、復活は嘘では）ない！やがて、彼らは（自分たちが噓呼ばわりしたことの結末を、）知ろう。
(5) 更に、断じて（、復活は嘘では）ない！やがて、彼らは（自分たちが噓呼ばわりしたことの結末を、）知ろう。
(6) われら*は大地を、（平坦な）寝床（のよう）にはしなかったのか？
(7) また、山々を（堅固な）杭のように？
(8) また、われら*はあなた方を（様々な）種類¹に創造し、
１ この「種類」の解説には、「男女」「様々な色」「美醜（びしゅう）、背の高低など、対になった、あらゆる種類のこと」といった諸説がある（アル＝クルトゥビー１９：１７１参照）。
(9) あなた方の眠りを休息とし、
(10) 夜を衣とし、¹
１ 識別章４７の訳注も参照。
(11) 昼を生計（の手段）とし、
(12) あなた方の上に、（割れ目一つない）強固な七層（の天）を築き上げ、
(13) 煌々とした灯火¹を置き、
１ この「灯火」については、識別章６１の訳注を参照。
(14) 絞り時のもの（雨を湛えた雲）から、ざあざあという雨を降らせた。
(15) （それは）われら*がそれで、（人が食べる）種粒と（家畜が食べる）植物を生え出させるため。
(16) そして、（いくつもの枝が交差して）重なり合った農園を。
(17) 本当に裁決の日¹はもとより、時が定められている。
１ 「裁決の日」については、整列者章２１の訳注を参照。
(18) 角笛に吹き込まれ¹、あなた方が（各々、自分たちの指導者と共に）集団でやって来る日は。
１ 「角笛に吹き込まれる」については、家畜章７３の訳注を参照。尚、これは復活を知らせる一吹きのこと（ムヤッサル５８２頁参照）。
(19) また（その日、）天は開かれ、（天使*が降臨するための）いくつもの扉（を有するもの）となり、
(20) 山々は動かされ、（それから粉々にされて）蜃気楼のようになる。¹
１ 復活の日*の天変地異の様子については洞窟章４７、ター・ハー章１０５－１０７、蟻章８８、山章９－１０、出来事章５－６、衣を纏（まと）う者章１４、階段章８－９、巻き込む章３、衝撃章４－５も参照。
(21) 本当に地獄はもとより、（不信仰者*たちに対する）見張りの場である。
(22) （それは、不信仰において）度を越した者たちの、帰り場所なのだ。
(23) 彼らはそこに長期間、留まる身の上。
(24) 彼らはそこで、（暑さを冷ます）冷たさも（、喉を潤す）飲み物も、味わうことがない、
(25) 煮えたぎる湯と膿汁¹の外は。
１ 「膿汁」については、サード章５７の訳注を参照。
(26) （それらは、彼らの現世での行いに）相応しい報いとしてのもの。
(27) 本当に彼らは、清算を望んでおらず、¹
１ この「望む」に関しては、ユーヌス*章７の同語についての訳注も参照。
(28) われら*の御徴¹をひどく嘘呼ばわりし、
１ クルアーン*のアーヤ*を始めとした、アッラー*からの「御徴」のこと（アッ＝シャウカーニー５：４８６参照）。
(29) そしてわれら*は、全ての物事を書で数え尽くしておいた¹のだから。
１ ヤー・スィーン章１２とその訳注も参照。尚、この「書」の解釈には、「天使*たちが書き留める、行いの帳簿（ちょうぼ）」「守られし碑板*」という説がある（アル＝クルトゥビー１９：１８２参照）。
(30) ならば（不信仰者たちよ、自分たちの行いの応報を）味わえ。われら*はあなた方に、懲罰以外の何も上乗せはしまい。
(31) 本当に敬虔*な者たちには、勝利の場がある。
(32) 農園、葡萄、
(33) （彼女ら自身が互いに）同い年の、胸もふっくらとした女たち、
(34) （酒*で）満杯の¹盃が。
１ ほかにも、「次々とやって来る」「澄（す）んだ」といった解釈もある（アル＝バガウィー５：２０２参照）。
(35) 彼らはそこで、戯言¹も嘘の言い合いも、耳にすることがない。²
１ 「戯言」については、信仰者たち章３の同語の訳注を参照。 ２ 山章２３と、その訳注も参照（イブン・カスィール８：３０８参照）。
(36) （それらは全て、）あなたの主*からの報い、ふんだんなる贈り物としてのもの。
(37) 諸天と大地、その間にあるものの主*、慈悲あまねき*お方（からの）。彼らはかれに対し、（お許しを授かった者以外、）語りかけることが出来ない、¹
１ 復活の日*に「話すこと」については、夜の旅章９７の訳注も参照。
(38) 魂¹と天使*たちが、列をなして立つ日に。慈悲あまねき*お方が（執り成し¹を）お許しになり、正しいこと²を語った者しか、話すことはないのだ。
１ この「魂」は、ジブリール*のこととされる（ムヤッサル５８３頁参照）。「魂」と呼ばれている所以については、マルヤム*章１７の訳注を参照。 ２ 復活の日*の「執り成し」については雌牛章４８、マルヤム*章８７、ター・ハー章１０９とその訳注を参照。 ３ 「正しいこと」の筆頭が、シャハーダ*の言葉である（イブン・カスィール８：３１０参照）。
(39) それは、（必ずや起こる、）真実の日。ならば、誰でも（その日の救いを）望む者には、（正しい行い*により、）自らの主*を帰り場所とさせるのだ。
(40) 本当にわれら*は、あなた方に間近に迫った懲罰を警告した。人が、自分が行った（全ての）ことを目にし、不信仰者*が（清算の恐怖ゆえ、）「ああ、私が土であったらよかったのに！¹」という日の（懲罰を）。
１ その日、人間は懲罰を目にし、自分が現世で（清算を受ける必要のない）土であったならば、と望む。あるいは、その日は動物でさえも集められ、公正な裁きを受けるが、それらはその後に懲罰を受けることなく土と化す。彼らは、自分たちもそのような存在であったなら、と望むのだという（前掲書８：３１０－３１１参照）。