80 - スーラト アバサ ()

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(1) 眉をひそめて、背を向けた、

(2) 自分のもとに、盲目の者が来たために。¹
1 アッ=ラーズィー* によれば、解釈学者らは、このアーヤ*が預言者*ムハンマド*と教友*イブン・ウンム・マクトゥームに関して下ったということで、一致している(11:53参照)。預言者*はある時、クライシュ族*の有力者らがムスリム*になることを望み、彼らをイスラーム*へと熱心に招いていた。そのような場にやって来た盲目のイブン・ウンム・マクトゥーム*の教えを彼にしつこくせがんでしまう。預言者*は話を邪魔されるのを嫌い、彼を相手にせず、有力者たちへの話に勤しんだ。このアーヤ*が下ってそのことを咎められた後、預言者*は彼を大事に扱い、重用するようになった(アル=バガウィー5:210参照)。尚、預言者*・使徒*の無謬(むびゅう)性については、雌牛章36の訳注を参照。

(3) そして、何があなたに(彼の真実を)知らせるのか?彼が清められる¹かもしれない、ということを?
1 ここでの「清められる」とは、預言者*からの教えを得ることで、自らの宗教においてより清浄となり、無知という闇が消えさること、とされる(アル=クルトゥビー19:213参照)。

(4) あるいは、彼が教訓を受け、それで教訓が彼を益するかもしれないことを?

(5) (導きなしでも)十分だとする者¹はといえば、
1 これは善への意欲がないため、質問も教示も請うこともないようなもののこと(アッ=サアディー910頁参照)。

(6) あなたは彼に掛かりきり。

(7) 彼が清められずとも、あなたには何のお咎めもないというのに。

(8) そして(あなたと会うことに)意気込んで、あなたのもとにやって来た者はといえば、

(9) (アッラー*を)恐れているというのに、

(10) あなたは彼をそっちのけにしている。

(11) 断じて(、使徒*よ、あなたがしたようなことは、許され)ない!実にそれ(このスーラ*)は、教訓なのだ。

(12) そして誰でも(教訓を)望む者は、それ(啓示)を熟慮せよ。

(13) (このクルアーン*は)貴い書巻¹の中、
1 「貴い書巻」とは、守られし碑板*、あるいは啓典のこと(アル=バガウィー5:210参照)。

(14) (位)高く、(あらゆる不純さや改変から)清浄な(書巻の中)、

(15) 使いの者(天使*)たちの手許にある。

(16) 高貴で、善良な者たちの(手許に)。

(17) (不信仰な)人間が、成敗されますよう。彼は(自分の主*に対し)、何とひどい不信仰に陥っていることか!

(18) かれ(アッラー*)は彼を、いかなるものからお創りになったのか?

(19) 一滴の精液から彼をお創りになり、それを(徐々に)調整されたのだ。¹
1 「その各身体器官、美醜(びしゅう)、大小、不幸な者となるか、幸福なものとなるか、ということなどをお決めになった」という解釈もある(アル=クルトゥビー19:218参照)。尚、人間の創造の変遷(へんせん)については、巡礼*章5、信仰者たち章14を参照。

(20) それからかれ(アッラー*)は、道を容易くされ、¹
1 この「道」には、「母親の胎内から出て来ること」「真理と虚偽の道、及びその判別(人間章3とその訳注も参照)」「各自が運命づけられた物事」といった解釈がある(アル=バガウィー5:211参照)。

(21) やがては彼に死を与えられ、墓にお埋めになり、

(22) それから、かれがお望みになったら、(清算と報いのために、)彼を生き返させ給う。

(23) 断じて(、不信仰者*の状況は正しく)ない!彼は、かれ(アッラー*)が自分にご命じになったこと¹を、遂行してはないないのだから。
1 つまり信仰と、かれへの服従ということ(ムヤッサル585頁参照)。

(24) ならば人間に、自分の食べ物(が、いかに創造されたか)について考えさせてみよ。

(25) われら*は、(地上に)水をざあざあと降らせ、

(26) それから大地を、ひび割れさせ(、そこから各種の植物を芽出せさせ)たのだ。

(27) そして、われら*はそこに種粒を生育させた、

(28) また、葡萄、まぐさ、

(29) オリーブ、ナツメヤシ、

(30) 木深い農園、

(31) 果実、牧草も(生育させた)、

(32) あなた方と、あなた方の家畜の利益のために。

(33) そして、(復活の日*を知らせる)轟きの一声¹が到来した時(、人々は自分の事で、掛かりきりになる)。
1 「轟きの一声」は、一説に、角笛が吹き鳴らされること(アル=バイダーウィー5:454参照)。家畜章73とその訳注も参照。

(34) 人間が、(その恐怖ゆえに、)自分の兄弟から逃げ出す日、

(35) また、自分の母親、父親、

(36) 自分の妻、子供たち(から逃げ出す日)。

(37) 彼ら全員にはその日、自分のことだけで精一杯な用事がある。

(38) その日、(天国に入る)顔の数々は輝いており、

(39) 笑い、心躍らせている。

(40) またその日、(地獄に入る)顔の数々は、その上に煤がかか(って真っ黒にな)る。

(41) 埃がそれらを覆(い、辱めにあ)う。

(42) それらの者たちこそは、不信仰者*、放逸な者たちである。