(1) (復活の日*という)出来事が起こる時。
(2) それが起きるのを、嘘とする者はいない。
(3) (その出来事は、ある民を地獄へと)下げ、(ある民を天国へと)上げる。
(4) 大地は激しく揺れ動き、
(5) 山々は細かく砕け散って、
(6) ばらばらの塵屑となり、¹
1 復活の日*の天変地異の様子については、洞窟章47、ター・ハー章105-107、蟻章88、山章9-10、衣を纏(まと)う 者章14、真実章13-15、階段章8-9、消息章20、巻き込む章3、衝撃章4-5なども参照。
(7) あなた方(人々)が三つの種類¹となる時。
1 アーヤ*8、9、10のそれぞれで言及されている者たち(イブン・カスィール7:515参照)。
(8) 右側の徒、右側の徒とは何か?
(9) また左側の徒、左側の徒とは何か?¹
1 「右側の徒」とは、高い位の者たちで、「左側の徒」は低い位の者たち(ムヤッサル534頁参照)。 その名前の由来については、「天国が右側、地獄が左側にあるため」「アーダム*の全ての子孫がその後背部から出された時(高壁章172とその訳注も参照)、彼の右側にいた者たちが、天国の民となることを約束されたため」「行いの帳簿を右手に渡された者が天国の徒に、左手に渡された者が地獄の徒となるため」「右fが善行を、左が悪行を表しているため」などの諸説がある(アル=クルトゥビー17:198参照)。
(10) そして(現世で善に)先んじる者たちは、(来世で高い位へと)先んじる者たち。
(11) それらの者たちは、(アッラー*の御許における)側近である、
(12) 安寧の楽園において。
(13) (彼ら側近たちは、)先代の者たちから多く、
(14) 後代の者たちからは少ない¹。
1 「先代」とは、預言者*ムハンマド*の共同体、及びその他のイスラーム*共同たちの先代の者たち。「後代」とは、イスラーム*共同体の後代の者たち(ムヤッサル534頁参照)。
(15) (金銀宝石で)刺繍された寝台の上に、
(16) その上に寄りかかって、互いに向かい合いつつ。¹
1 アル=ヒジュル章47の訳注を参照。
(17) 永遠の少年たちが、彼らの周りを(奉仕のために)回って歩く。
(18) 杯と、水差しと、(酒*の)湧き水からの盃を携えて。
(19) 彼らはそれ(酒*)ゆえに頭痛を催すことも、理性を失うこともない。
(20) また(永遠の少年たちは)、彼ら(側近たち)が選り取りの果実と、
(21) 彼らが欲する鶏肉を(携えて、彼らを回って歩く)。
(22) また(彼らには)、麗しい眼の色白の女性たちがいる、¹
1 雌牛章25「純潔な妻」の訳注、および整列者章48、煙霧章54の訳注も参照。
(23) 秘められた真珠のような(女性たちが)、
(24) 彼らが(現世で)行っていた(正しい)ことゆえの、報いとして。
(25) 彼らはそこで、戯言¹も罪な言葉も、耳にすることがない。
1 「戯言」については、信仰者たち章3の同語の訳注を参照。
(26) ただ、「(あなた方に)平安を、(あなた方に)平安を¹」という(互いに交わサれる)言葉を聞くだけ。
1 「あなた方に平安を」については、雷鳴章24の訳注を参照。
(27) そして右側の徒、右側の徒¹(の大いなる位と報い)とは何か?
1 「右側の徒」については、アーヤ*8-9の訳注を参照。
(28) (彼らは、)棘のないスィドル¹、
1 「スィドル」に ついては、サバア章16の訳注を参照。現世では棘だらけで実のな少ないスィドルの木だが、来世では逆に棘がなく、沢山の実をつけるのだという(イブン・カスィール7:525参照)。
(29) 折り重なるバナナ¹、
1 アル=クルトゥビ ー*によれば、この「バナナ」という解釈が大半の学者の見解だが、ほかにも「アカシアの木」という解釈もある(17:208参照)。
(30) (消え入ることなく)行き渡る陰、
(31) (涸れることなく)流れる水、
(32) ふんだんな果実の中にいる。
(33) 絶えることがなく、禁じられもしない(果実の中に)。
(34) また、高く上げられた寝床(の中に)。
(35) 本当にわれら*は彼女(天国の女性)たちを、(完全な形に)創り上げ¹、
1 雌牛章25「純潔な妻」の訳注、および整列者章48、煙霧章54の訳注も参照。
(36) 彼女たちを処女とし、
(37) 愛らしく、(彼女ら自身が互いに)同い年の女性とした。
(38) 右側の徒のために。
(39) (彼らは、)先代の者たちから多く、
(40) 後代の者たちからも多い。
(41) そして左側の徒、左側の徒¹(の状態と報い)とは何か?
1 「左側の徒」については、アーヤ*8-9の訳注を参照。
(42) (彼らは、)熱風と煮えたぎる湯、
(43) 黒煙の陰の中。
(44) 涼しくも、麗しくもない(陰の中にいる)。
(45) 本当に彼らはそれ以前、(現世で禁じられた)贅を尽くしていた者たちだったのであり、
(46) この上ない罪¹に固執し、
1 「この上ない罪」とは、アッラー*への不信仰、シルク*、かれへの反抗のこと(ムヤッサル535頁参照)。
(47) (こう)言っていたからなのだ。「一体、私たちが死んで砂と骨と化した後、本当に蘇らされるというのか?
(48) そして、私たちの先代のご先祖様たちも?」
(49) (使徒*よ、)言ってやるがいい。「本当に先代の者たちも、後代の者たちも、
(50) (復活の日*という)定められた日の定められた時に、まさしく集められるのである。
(51) それからーー(アッラー*のお約束を)嘘呼ばわりする迷い人たちよーー、本当にあなた方は、
(52) まさにザックームの木¹から食べ、
1 「ザックームの木」については、夜の旅章60「呪われた木」の訳注、および整列者章62-66,煙霧章43-46を参照。
(53) それで腹を満たし、
(54) その上に煮えたぎる湯を飲み、
(55) 喉を渇かせたラクダが飲むように、(それを)飲む者たち。
(56) これが報いの日*の、彼ら(へ)の御もてなし¹である。
1 この「御もてなし」については、洞窟章102の訳注を参照。
(57) (人々よ、)われら*があなた方を、創ったのだ。なのに、どうしてあなた方は(死後の復活を)信じないのか?
(58) 言ってみよ、あなた方が(自分たちの妻の子宮に)射精するものについて。
(59) 一体、あなた方がそれを(人間として)創るのか?それとも、われら*が創造者なのか?
(60) われら*はあなた方(各々)の間に、死(の時期)を定めたのであり、不能者などではない、
(61) われら*が(あなた方を、)あなた方と同様の存在と取り替え、あなた方をあなた方が知らない形に創造することにおいて。¹
1 これは一説に、過去の民に起こったように、その姿形を猿や豚などに変えられてしまうこと(食卓章60参照)。あるいは来世において、現世のものとは違う形に蘇(よみがえ)らされる、ということ(アル=クルトゥビー17:217参照)。
(62) あなた方は確かに、最初の創造を知っている。なのに、どうして(アッラー*は二度目の創造もされるとの、)教訓を得ないのか?¹
1 「最初の創出」とは、アッラー*が彼らを創造されたこと。二度目のものは、復活(ムヤッサル536頁参照)。 マルヤム*章67、ビザンチン章27、ヤー・スィーン章77-79、復活章36-40も参照。
(63) 言ってみよ、あなた方が耕すものについて。
(64) 一体、あなた方がそれ(作物)を生育させるのか?それとも、われら*が生育者なのか?
(65) もし望んだなら、われら*はそれを木っ端微塵にし、あなた方は(その罰に)驚愕したままとなっただろう。
(66) 「本当に私たちは、破滅者である。
(67) いや、私たちは(糧を)禁じられてしまったのだ」(と言いつつ。)
(68) 言ってみよ、あなた方が飲むもの(水)について。
(69) 一体、あなた方がそれを雲から(地上へ)降らすのか?それとも、われら*が降らす者なのか?
(70) もし望んだなら、われら*はそれを辛いものとしたのだ。なのに、どうしてあなた方は感謝しないのか?
(71) 言ってみよ、あなた方が点す火について。
(72) 一体、あなた方が(火種とする)その木を創ったのか?それとも、われら*が(その)創造者なのか?
(73) われら*はそれを(復活と地獄の業火を想起させる)教訓と、広漠な地にある者¹たちへの益としたのだ。
1 「空腹な者たち」という解釈もある。いずれにせよ、広漠な地にある者は明かりや暖において、空腹な者は食べ物とその調理において、火から特に大きな益を得る(イブン・アーシュール27:327参照)。
(74) ならば(預言者*よ)、この上なく偉大なあなたの主*の御名と共に、(かれを)称え*よ。
(75) われら*はまさに、星々の沈む場所¹にかけて誓う。²
1 「星々の沈む場所」のほかにも、「クルアーン*が徐々に下ったこと」「星々の位置」といった解釈の仕方もある(イブン・カスィール7:544参照)。 2 この誓いについては、整列者章1の訳注を参照。
(76) 本当にそれはまさしく、偉大なる誓いなのである。もし、あなた方が(そのことを)知っているのならば。
(77) 実にそれはまさしく、気高いクルアーン*なのだ、
(78) 秘められた書¹の中の。
1 「秘められた書」には、「クルアーン*が記録されている、守られし碑板*(金の装飾章4とその訳注を参照)」「啓示と共に下される、天使*たちの手許にある書」(アッ=サァディー836頁参照)「書物としての形のクルアーン*」といった解釈がある(アル=クルトゥビー17:225参照)。
(79) 清浄な者たちしか、それに触れることはない。¹
1 それに触れることが出来るのは、害や罪のない清浄な存在である天使*たちと、シルク*、ジャナーバ*、穢(けが)れのない状態にある者たちだけである(ムヤッサル537頁参照)。
(80) (それは)全創造物の主*からの、降示なのである。
(81) (シルク*の徒よ、)一体あなた方は、(クルアーン*という)この話を嘘呼ばわりする者¹なのか?
1 「噓呼ばわりする者(ムドゥヒン)」の語源的な意味は、「本心ではないもので上辺を取り繕(つくろ)う者」のことで、ほかにも「否定者」「偽善(ぎぜん)者」「背(そむ)く 者」「受け入れる決意のない者」などといった解釈がある(アル=クルトゥビー17:227-228参照)。
(82) そして自分たちの糧(への感謝の念)を、(恩恵に対する)嘘呼ばわりに替えるというのか?
(83) さあ、(魂を体に押し留めてみよ、)それが喉元に達した時に。¹
1 家畜章61,93とその訳注も参照。
(84) あなた方はその時、(その様子を)目の当たりにして(何も出来ずに)いる。
(85) われら*(の天使*たち)は、あなた方(自身)よりもそれ(あなた方の魂)に近いのだが、あなた方には(彼らが)見えないのだ。
(86) さあ、もしあなた方が、(自分たちの行いによって)報いを受ける者ではないというのであれば、
(87) それ(魂)を(体に)戻してみるがいい。もし、あなた方が本当のことを言っているというならば。
(88) もし(死んだ者が、)側近たち¹の内の者だったのであれば、
1 「側近たち」については、アーヤ*10-11も参照。
(89) (彼には)ご慈悲、芳しいもの¹、安寧の楽園がある。
1 「ご慈悲(ラウフ)」の解釈には、ほかにも「安息」「喜び」「お赦しとご慈悲」といった諸説があり、「芳しいもの(ライハーン)」には、「安息」「糧」「香り高い植物 」といった解釈もある(アル=バガウィー5:22参照)。
(90) また、もし右側の徒¹の一人だったのであれば、
1 「右側の徒」については、アーヤ*8-9の訳注を参照。
(91) (彼には、こう言われる。)「あなたに平安を¹。(あなたは、)右側の徒の一人である」。
1 「あなたに平安を」については、雷鳴章24の訳注も参照。
(92) そして、もし(復活を)噓呼ばわりする、迷った者の類いだったのであれば、
(93) (彼には)煮えたぎる湯からの御もてなし¹と、
1 この「御もてなし」については、洞窟章102の訳注を参照。
(94) 火獄の火炙りがある。
(95) (使徒*よ、)本当にこれこそは、まさに確固たる真理なのだ。
(96) ならば、この上なく偉大なあなたの主*の御名と共に、(かれを)称え*よ。